国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成24年6月28日(木)11:56~12:02

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。委員は、山本
委員以外出席です。議題事項については、「人事案件について」説明があり、
原案どおり決定いたしました。その他警察庁から報告事項について、報告がご
ざいました。以上です。

  長官にお聞きします。運転免許の学科試験で、小型のイヤホンを利用した中
国人の組織的なカンニングが発見されましたが、それについて全国的な広がり
があるのか、また対策について御所感をお願いします。

答  (長官)御指摘の事件は、自動車運転免許学科試験中に携帯電話を使用して、
外部の共犯者が試験問題の解答を教えるなどして不正に運転免許を取得させて
いた事件でありまして、関係警察、すなわち、愛知県警・警視庁・栃木県警に
おいて捜査の上、6月20日に中国籍の男女4名を逮捕したものでございます。

   本件は、運転免許試験の公正を損ねる悪質な事案であると考えております。

   お尋ねの全国的な広がりにつきましては、現在、捜査中でございますので、
恐縮でございますけれども、お答は差し控えさせていただきたいと思います。

   そこで、対策でございますが、これも、今後の事案の全容解明を待って検討
していくこととしておりますけれども、例えば、試験中の監視体制を強化する
とか、また、長年同じ試験問題を使用しないとか、また、出題のパターン数を
増やすといった対策は今後指導していくこととなると考えております。

   なお、今回の事件の舞台となりました警視庁におきましては、不審な受験者
に対する金属探知器によるボディチェック、また、カンニング用に細工した筆
記具を使わせないために、筆記具は試験場で用意したものを使わせるなどの対
策を既に始めていると聞いておりますけれども、この他にも試験場内に電波遮
断装置を設置することについても検討を進めているとの報告を受けているとこ
ろでございます。

  大臣にお伺いいたします。警察庁では、暴力団対策法の改正案を国会に上程
して、国会の方で審議が進んでおりますが、そうした最中、先週の金曜日に福
岡県警が企業の社長を狙った事件に関連しまして、工藤會の組員3人を逮捕い
たしました。こういう情勢の中、大臣は今後どのように九州における暴力団対
策を進めていかれるのか、現状をどのように見ていらっしゃるのか、お聞かせ
ください。

答  (大臣)4月19日に元警察官に対する銃撃事件が発生した直後、私自身、
福岡県に赴き現地を視察し、同県における暴力団対策を全国警察の支援の下で
強化する必要を改めて認識したところであります。

   福岡県警察では、当該事件以降、捜査員、機動隊等を北九州地区に集中的に
投入するとともに、全国警察から機動隊の派遣を受け、暴力団犯罪捜査や保護
対策等を強力に推進してきたところであります。また、佐賀・熊本・山口県警
察も暴力団対策に関する協定に基づき、福岡県内の境界付近で車両による警戒
を実施中であります。

   こうした活動の結果、福岡県では、5月中の工藤會構成員の検挙人員は11
人に上り、前年同期に比べて6人増加いたしました。

   また、今月に入り、工藤會傘下組織組員らによる拳銃発砲等事件や工藤會傘
下組織組長らによる労働者派遣法違反事件を検挙しております。

   このほか、特に北九州地区では、5月中、街頭犯罪を中心として刑法犯の認
知件数が2割近く減少しており、相当の犯罪抑止効果が認められるところであ
ります。

   以上のように、福岡県における暴力団対策には一定の成果が見られるが、他
方で、多くの事業者襲撃事件や元警察官銃撃事件が未検挙となっております。
この種の事件は市民に重大な脅威を与えるものであることから、引き続き、全
国警察の支援の下、福岡県警察を中心にこれらの事件の捜査を強力に推進し、
被疑者の検挙に努めるとともに、警戒活動、保護対策等を徹底し、市民の安全
確保に万全を期する所存であります。

   さらに、今国会に提出している暴力団対策法改正案は、先日、参議院を通過
したところでありますが、その早期成立に努めるとともに、成立後はこれを効
果的に運用し、他の各種施策と相まって、暴力団対策の実が上がるよう取り組
んでいく所存であります。