国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成24年7月12日(木)12:36~12:43

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。松原委員長は、
国会用務のため途中で退席されました。委員は、全委員出席でございます。議
題事項につきましては、「人事案件について」説明がありまして、原案どおり
決定いたしました。その他警察庁から報告事項について、報告がございました。

      以上でございます。

  長官にお伺いいたします。先月、インターネットバンキングを狙った不正送
金事件が確認されましたけれども、こうした不正アクセス事件につきまして、
警察は民間の業者と協定を結んで被害の通報とか、捜査協力を要請するという
ことのようですけれども、これを今後どのように進めていかれるのか、どうい
う狙いがあるのか、長官の御所見をお聞かせください。

答  (長官)まず、インターネットバンキングに関してでございますけれども、
いわゆるフィッシングを手口としてID・パスワードを不正に入手し、それを
使って不正送金をするといった事案は、昨年3月から12月にかけて、56金
融機関、165口座で発生しまして、被害額は約3億800万円でございまし
た。その後、しばらく被害は確認されておりませんでしたけれども、本年6月
から2つの金融機関において、19口座で約1,800万円の被害が確認され
たところでございます。関係警察において、現在、所要の捜査を行い、また、
関係金融機関において被害の発生防止、拡大防止のための対策を講じつつある
ものと認識いたしております。

   一般に、御承知のように、サイバー犯罪というのは、潜在化しやすく、これ
に対する捜査であるとか、また、被害防止のための対策を強化するためには、
やはり警察と民間事業者との連携を強化していくことが是非とも必要でござい
ます。こういった観点から、今回、民間事業者との間で共同対処協定の締結を
進めることにしたわけでございますけれども、現在、金融庁・全国銀行協会の
協力を得まして、警視庁と三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、そして三井住友
銀行の3つのメガバンクとの間で共同対処協定の締結作業を進めているところ
でございます。今後、その他の金融機関も含めまして、関係事業者との間でこ
のような協定の締結が更に進むように努めてまいりたいと考えております。

  長官にお尋ねします。去年の10月に滋賀県の大津市で中学生の男子生徒が
自殺するという事案がありました。この事件で滋賀県警が昨日、当該学校など
を家宅捜索するというような強制捜査をしたわけです。この自殺した生徒の父
親が10月と12月の3回にわたって所轄の人に相談をしてその時は、捜査の
動きはなかったわけですが、それから9ヶ月経って強制捜査に乗り出したのは
何故なのか。捜査中であるので言い難いこともあろうかと思いますが、その狙
いについて1点。

   それからいじめを起因とする事件について、警察は毎年100数十件を立件
して、小・中・高校生200人前後を検挙、補導しているわけでありますが警
察としていじめの事案についての対処の基本的な考え方、方針などがあればお
聞かせください。

答  (長官)まず、亡くなられた男子生徒の御冥福をお祈り申し上げ、また、御
遺族にお悔やみを申し上げる次第でございます。まず相談でございますけれど
も、滋賀県警によれば、昨年10月11日に男子生徒が自殺をして亡くなられ、
その後、御遺族から、大津警察署に対して10月18日、10月20日、12
月1日の3回にわたって相談があったとのことでございます。ただ結果として
被害届の提出には至っていないと承知をいたしております。この間、御遺族の
方と大津警察署の担当官との間で具体的にどのようなやりとりがあったのか、
また、警察が学校関係者等から事情を聞いているようでございますけれども、
それが具体的にどういうものであったのか等の事実関係については、現在精査
中でございますので、恐縮ですがコメントは差し控えさせていただきたいと思
います。それから強制捜査の関係でございますけれども、滋賀県警からは御指
摘があったように学校と市に対して捜索を行ったとの報告を受けておりますけ
れども、ただ、これについては個別事案の捜査に関することですのでコメント
は差し控えさせていただきたいと考えております。

   そして、いじめ問題に対する警察のスタンスでございますけれども、やはり
これは教育の現場で行われているということでありますので、一義的には教育
の現場における対応というものを警察としても尊重していくべきなのだろうと
思っています。ただ、犯罪等の違法行為がある場合には、被害少年であるとか
保護者等の御意向、ないしは学校における対応状況等を踏まえながら、警察と
して必要な対応を行っていくべきであろうと考えております。特に少年の生命、
身体の安全が脅かされるような重大事案があれば、これは警察として積極的に
捜査、補導等の措置を講じていかなければならないと、一般的には考えており
ます。