国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成24年12月13日(木)12:45~12:56

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。小平委員長
は、御欠席でした。委員は、長谷川委員が御欠席です。議題事項につきまし
ては、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令の一部を
改正する政令案」に対する意見の募集についてという議題事項がありました。
これは、原案どおり決定いたしました。その他警察庁から報告事項について、
報告がございました。

      以上でございます。

  長官にお尋ねします。角田美代子容疑者の自殺に関連してなんですけれど
も、兵庫県警は今回死にたいと本人が漏らしていたことなどを受けて、特別
要注意者に指定して、巡回を強化していたというふうに聞いております。し
かし、24時間体制での監視、あるいは、対面監視といったものを行ってい
なかったという話もあります。重大事件の主犯格という意味でも大きな痛手
だと思いますが、今回の事態についての受け止めと、今後の留置管理の在り
方について御所見をお願いします。

答  (長官)今、お話があったように、兵庫県警においては、本件被疑者、角
田美代子被疑者でありますけれども、自殺をほのめかすという言動もあった
ということで、特別に注意を要するものとして指定をしまして、巡回の強化
を図るなどの措置をとってきたと聞いております。しかし、結果として、こ
うした留置施設内において、自殺と思われますけれども、被疑者が死亡した
ということについては、大変残念でございまして、我々としても重く受け止
めているところでございます。

   現在、兵庫県警察で、その経緯であるとか、これまでの対応状況等々につ
いて、詳細を調査中でございますので、警察庁としても、その調査結果につ
いて、報告を求めたいと考えています。

   いずれにしましても、本件は大変特異で複雑な重要な事件でございまして、
兵庫県警においては、その全容解明を図るべく、今後とも全力を挙げるとい
うふうに私は理解をし、期待をしているところでございます。

  北朝鮮の事実上のミサイル発射についてなんですけれども、ミサイルの発
射の予告期間を延長すると発表したばかりの状況の中で、昨日発射に踏み切
ったと、いわば不意打ちとも言えるような状況だと思うんですけれども、こ
うした北朝鮮の動きについて警察としてどう受け止められているのか、それ
から発射前後の警察の対応についての御所見をお願いします。

答  (長官)対応でありますけれども、12月9日に警備局長を長とする警察
庁対策本部を設置いたしまして、沖縄県内全域における機動隊等による即応
態勢の確保、ミサイルの軌道に近い石垣島、宮古島、両島に対する他府県か
らの部隊の派遣、ヘリコプターの石垣島への前進待機、関係施設等の警戒警
備の強化等、所要の措置をとってまいったところでございます。

   発射当日も、その連絡を受けまして、沖縄県警のヘリコプター等が上空か
ら情報収集を行うなどの各種情報収集活動を行いました。また、各都道府県
警察に対しましては、情報収集活動の徹底と警戒警備の更なる強化を指示し
たところでございます。

   結果としまして、今回のミサイル発射に伴う我が国国内での被害等は確認
されなかったということでございます。

   見方ということで大変難しいんですけれども、少なくとも我々いろいろな
報道、情報に接しましたけれども、警戒は緩めることなくやったと考えてお
ります。

  長官にお尋ねします。今年の1月から11月までの刑法犯認知件数ですと
か、検挙件数、検挙状況の発表があったんですけれども、検挙率が、今年1
月から11月までの検挙率が32.1%ということですが、検挙率3割とい
う数字は低いのではないかという指摘もあると思うんですけれども、数字の
評価も含めてコメントお願いします。

答  (長官)本年11月末までの刑法犯の検挙率は、今お話があったように、
32.1%ということで、前年同期と比べてやや増加した、増えたというと
ころでございます。検挙率は御承知のように、かつて20%を切ったという
こともありますので、その後、官民挙げた犯罪抑止活動とか検挙活動を推進
して、検挙率は一定の回復をみたと考えております。最近の傾向は、検挙も
減っているのですけれども、認知件数がそれを上回る減少率でございますの
で、結果として検挙率が増えるという傾向があるわけです。では、何故、検
挙が減っているのかということなんでございますが、これはなかなか分析が
難しいのですけれども、中身を見て一つ言えることは、常習性のある手口の
窃盗犯の余罪の検挙が減っているということでございまして、余罪の追及が
最近非常に難しくなっているという状況がここからうかがえると思っており
ます。ただ、他方で、国民が非常に大きな不安感を抱く殺人とか強盗等のい
わゆる「重要犯罪」であるとか、侵入窃盗等の「重要窃盗犯」、これについ
ては、「重要犯罪」が66%位の検挙率であり、また「重要窃盗犯」が50
%を越える検挙率であるということでございます。いずれにしましても、警
察としては今後とも引き続き、各種犯罪の抑止活動を積極的に進めるととも
に初動捜査の高度化であるとか、科学捜査の徹底であるとか、また、取調べ
の高度化を図るなどによって、可能な限り多くの事件の解決を図ってまいり
たいと考えております。

  ひったくりの認知件数が、1月から11月まで出ていたのですが、大阪が
去年に引き続いて年間でもナンバーワンになることが見込まれていますけれ
ども、これについてコメントをお願いします。

答  (長官)まず、全国のお話からすると、ひったくりについては、認知件数
が平成15年から9年連続して減少しております。今年の11月末現在でも
前年同期比で20%弱の減少率でございます。大阪でございますけれども、
大阪の認知件数は、ピーク時が平成12年だったようでございまして、それ
以後、大阪では11年連続して認知件数が減っている、昨年はピーク時の平
成12年に比べて6分の1近くまで減らしているという状況でございます。
本年も2.6%の減少となっておりまして、大阪府警においては、これまで
関係の機関とか団体とか、事業者とか、地域の方々と連携しながら、ひった
くりの抑止のために相当の努力を重ねてまいってきたのではないかと認識を
しております。今後でございますけれども、大阪に限らず、特にひったくり
の認知件数の多い都道府県については、抑止のために更に努力をしてもらい
たいと考えております。

  長官にお尋ねします。企業テロとか、人へのテロが相次いでいた福岡県の
暴力団の犯行と見られる事件についてでありますが、今年1月に建設会社の
役員が襲撃されて重傷を負った事件で、ようやく福岡県警が工藤會の組員2
人を逮捕しました。これをどうとらえるのか、他に未解決の事件もたくさん
あるわけでありますが、そのことについて長官のお考えをお聞かせください。

答  (長官)12月6日でございましたけれども、先週ですが、福岡県警察に
おいて、本年1月に発生しました建設会社社長に対するけん銃を使用した殺
人未遂事件の被疑者として、指定暴力団五代目工藤會傘下組織幹部らを検挙、
逮捕したところでございます。

   大変困難な環境下での捜査でございまして、懸命に福岡県警察が努力をし
たその結果であると、評価をいたしておりますけれども、今お話があったよ
うに、まだまだ本件以外に事業者襲撃事件が多くありまして、その多くが未
検挙であるという状況でございます。また、本年では8月以降に福岡県内に
おいて、飲食店の経営者を刃物で切り付ける事件とか、電話をかけて飲食店
経営者を脅迫するといったような事件が連続して発生しておりまして、依然
として情勢は厳しいと考えております。

   こうした事業者襲撃事件を抑止するためには、やはり犯人を検挙するとい
うことが大変重要でございますので、引き続き捜査を徹底し、そして、また
引き続き全国からの部隊の派遣も継続し、警戒活動の徹底を図って、一日も
早く市民が安全で安心して暮らせることとなるように、我々としても万全を
期してまいりたいと考えております。