国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成25年1月29日(火)13:21~13:33

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  拉致問題関係ですけれども、閣議後に第1回目の「政府・与野党拉致問題
対策機関連絡協議会」、略称は「政府・与野党拉致連絡会」というふうにし
ておりますが、これを開会いたしました。これは、拉致議連や各党の拉致問
題対策の組織がある政党の代表者に出席をいただいて、超党派の取組をする
というものでありました。これは、冒頭にも会見のときに申し上げましたよ
うに、党派を超えてこういう形でオールジャパンで、政府の本部の中の組織
として組み入れていくということは、過去に例のない初めてのある意味で挑
戦でありまして、北朝鮮とか、国民、そして国際社会に対して、私たちがま
なじりを決して拉致問題の完全解決に向けて取り組んでいくとの強いメッセ
ージを送るということがこの趣旨であります。

      また、この後、私もアメリカのデービーズ特別代表と30、40分ほど会
談をさせていただきました。ルース大使も出席されておられまして、私の方
から今度の拉致問題対策本部で、こういう今申し上げたような組織を作った
という御報告を申し上げるとともに、もう一点は、今回の与野党協議にも自
由民主党の方から提案がございました、国連の中に北朝鮮の人権問題の委員
会を作ってほしいという要望でございまして、私ども既に関係筋の方には強
力に働きかけをさせていただいておりますが、デッドラインが3月でござい
ますので、このことをデービーズ特別代表にも、是非アメリカからもサポー
トしてほしいという趣旨のお話をさせていただきました。デービーズ特別代
表からは、この問題については、しっかり私らとしても取り組んでいきたい
と、韓国とも連携する必要があるので、韓国は御承知のとおり2月25日に
新政権が発足いたしますので、その政権発足もしっかり見据えながら、韓国
とも連携をして、前向きに取り組んでいきたいと、こういった趣旨の発言が
ございました。それから、人権の調査会の中に「拉致問題」ということをし
っかり具体的に記述をして取り組んでいくということが大切でございますの
で、このこともデービーズ特別代表にも申し上げました。また、我々もこの
せっかくこうやって国連の中に北朝鮮の人権委員会を作るからには、人権全
体という問題もさることながら、やっぱり「拉致問題」ということしっかり
記述して、そこについても取り組んでいく必要があると思っております。世
界で13カ国が、アメリカがもしデイビッド・スネドン氏を含むなら13カ
国ということでございます。このデイビッド・スネドン氏の話につきまして
も、デービーズ特別代表にお話をさせていただきました。私も毎年ワシント
ンを訪問しておりますが、昨年5月に拉致議連の代表として訪問させていた
だいた際にもデービーズ特別代表、あるいはキャンベル国務次官補にもお目
にかかって、この言及をさせていただいております。ちょうど8ヶ月も経っ
ておりますので、その後どうなのかということで、私の方から敢えて触れさ
せていただきました。デービーズ代表の方から、これについては情況証拠し
かないということで、ちょっと腰が引けているような状況は否めない感じで
したので、私の方から申し上げたのは、かつて日本も1978年に拉致が実
行されながら、現実に20年経った後だと、それまで非常に政府は腰が引け
た態度だったと。やっぱりこれがこういう問題の解決を長引かせた原因の一
つであると、だから、日本政府の情況証拠の積み重ねによって、ある意味で
政治決断をして、こういう拉致というものを認めたわけだから、是非、これ
はあくまでも貴国が判断していただく話だけれども、そういった取組をする
ことを期待申し上げる、このことによって、日本とアメリカが拉致問題とい
う共通のテーマで初めて同じ土俵に乗って、しっかり名実ともに言及するこ
とができると、こういうようなことを私から申し上げました。その話は、冒
頭に拉致は私は国家によるテロに等しいと、こういうふうに申し上げまして、
デービーズ代表はこの点についてどう思うかと言ったら、まったくあなたに
賛成であると、こう言っておりましたので、国家によるテロをやはりアメリ
カは、テロは絶対許さない、そして、自国民を保護するためには当然のこと
ながら軍隊を出してでもやるというのがアメリカの基本スタンスですから、
私はそういったことも言及しながら、このデイビット・スネドン氏の拉致の
認定についての前向きな取組について要請させていただいた、こういうこと
であります。

      以上であります。

  デービーズ氏との、代表との会談で、人権調査委員会で、北朝鮮による
「拉致」の調査委員会という「拉致」という単語を入れるということを説明
されたということなんですけれども、それに対してデービーズ氏は何か。

答  まず、人権委員会の中に「拉致」というものをはっきり入れてくれと。だ
から拉致だけの問題じゃない、あくまでも大きい枠は人権。で、人権の中の
一つの大きな柱として拉致を入れてほしいと。こういうことを頼みました。
それについては、即答はありませんけれども、その考え方については、しっ
かり受け止めさせていただいて、今後は、韓国が新しい政権が出来ますので、
そこともしっかり相談をしながら進めていきたいと、こういうことで、印象
としては割と前向きかなという感じがしました。

  今の関連なんですが、政府として拉致対策本部として、人権委員会設置へ
の今後の具体的なスケジュールと、今デービーズ代表の話がありましたが、
アメリカがそこにどう関わってくるのか、もし分かる範囲で教えて下さい。

答  人権委員会のデッドラインは3月末ですから、あまり時間がありません。
したがって、政府としても、外交ルートを通じてということになりますが、
この調査委員会の設置について、強く働き掛けをしていきたい、これが事実
上の、外務省とも、そういう話は事前にさせていただいておりますので、そ
ういう方向であります。その上で、アメリカは、やはり今申し上げましたよ
うに、韓国との、やっぱり相談があるということをデービーズは言っており
ました。ただ、御承知のように今度の朴政権は、ある意味保守の政権でござ
いますし、北朝鮮に対しては、今までのスタンス、厳しく接していくという
ことが多分そういう基本的な考え方に基づくものになるんでしょう。そうい
うことからすれば、やはりこれはしっかり連携が出来るというふうに期待を
いたしておるところです。

  大臣から韓国の方へ働き掛けるっていうお考えは。

答  今のところは、持っておりません。むしろ私よりもこれは外交チャンネル
を通じてやっていただく話でありまして、当然、外交チャンネルを通じては
そういう取組みはやっていくと、私も理解をしています。

  防災に関連してお伺いをしたいのですが、予算の方が、大体固まったと思
うんですけれども、それについての御感想と、あと大臣折衝の中でどういう
ふうなお話をしたのかということを可能な範囲でお伺いしたいのですが。

答  まず、防災関係の予算はですね、私どもの要望は基本的に全部受け入れら
れたと認識しております。減災、防災というものは、この内閣の重要な柱で
ございますので、これはある意味では、当然かなと思っております。大臣折
衝については、会見で大臣折衝の後で私も報告をさせていただきましたが、
警察庁の増員要求です。545人の増員要求です。これは、暴力団対策が2
01人、サイバー対策で272人、それから検視体制の強化で72人という
ことであります。御承知のようにサイバー対策は重要な警察の柱でもありま
すし、これからも警察官の専門知識を持った人をしっかりと確保していくと
ともに、同時に民間の力を出来るだけ活用していく、この二つを上手に取り
入れることによって、このサイバーの技術、犯罪はどんどん高度化してます
ので、それにしっかりキャッチアップを出来るような体制を作っていきたい
ということであります。

   それからやっぱり暴力団対策、これあの財務大臣自身が九州の御出身であ
りますので、よく御存知だったようでありますが、福岡県警だけで100人
増員ということで、私の視察の状況、手りゅう弾を使ったり、白昼堂々銃撃
が行われたり、ちょっと信じられないような活動ですよと言ったら、みんな、
ともに出席していた与党の議員も含めて、みんな驚きの眼差しでした。これ
はそういう意味で非常に御理解をいただいた。結果として全て認めていただ
いたということだと思います。

  防災については、特に折衝は。なかったと。

答  これはないです。防災は基本的に事務折衝でほぼ満額、というか要求の部
分は通りましたので、大臣折衝ではありません。