国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成25年6月6日(木)11:16~11:22

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について御報告を申し上げます。委
員は、全員出席です。そして、議題事項については、「国家公安委員会委員
長に対する開示請求の決定」、「旭琉會及び五代目工藤會の指定の確認」に
ついて説明があり、原案どおり決定いたしました。その他警察庁から報告事
項について、報告がございました。

      以上であります。

  大臣にお伺いします。マネー・ローンダリング対策について、12日から
有識者による検討が始まると聞いております。対策を有効なものにするため
には、いろいろな課題があるかと思いますが、大臣の御所見をお聞かせくだ
さい。

答  (大臣)今、御指摘のように、有識者懇談会が12日から秋口までに提言
をまとめるということで取り組まさせていただきたいと思います。

   実効性あるマネー・ローンダリング対策を講じるには、まず、我が国の犯
罪情勢とか、国際的な要請等のマネー・ローンダリングを取り巻く内外の状
況への対応というのが、絶対不可欠であります。

   一方で、取引の実務において、事業者とか国民の負担ということが増える
可能性もあります。我が国の実情を十分に踏まえた幅広い視点での検討とい
うのが必要だと思っております。

   今回、そのために、懇談会では各専門家を配しておりまして、幅広い意見
を頂戴して、場合によっては法改正が必要になるかどうか、それと関係省庁
との連携、これは極めて大切ですので、そういった連携をしつつ、対応策を
検討してまいりたいと思っております。この委員以外にも、例えば脱税等々
についての専門知識を有する専門家からも御意見を頂戴する機会を設けたい
と考えております。

  長官にお尋ねします。愛知県警が5月31日に検挙した犯人隠避事件につ
いてでありますが、愛知県警の暴力団担当警部が脅迫された事件に絡んで、
検察出身の弁護士が脅迫事件にかかわった者を逃がす手助けをしたという容
疑であります。この事件は、山口組弘道会も視野に入れた捜査をしていると
思うのですけれども、この事件についての長官のお考え、それから、山口組
弘道会への今後の捜査にどう影響してくるのか、その辺りをお聞かせくださ
い。

答  (長官)お尋ねの事件は、まず、弘道会の取締りに当たっていた警察官に
対する脅迫事件、これは平成22年に発生しております。この脅迫事件の主
犯である会社役員が、弁護士と共謀して、脅迫事件の実行犯を逃走させるた
めに、平成23年6月から7月にかけて、実行犯に対して他人名義携帯、あ
るいは、逃走資金数百万円を手渡すなどして、これを隠避したというもので
あります。本年5月31日、愛知県警察が犯人隠避の容疑で会社役員、弁護
士らを逮捕したところであります。

   この事件は、暴力団犯罪捜査に従事していた警察官に対する脅迫事件とい
う、非常に悪質な事件の犯人を逃走させたものでありまして、この事案その
ものも悪質でありますけれども、社会正義の実現を使命とする弁護士が暴力
団関係者と結託してこういう犯罪に荷担していたという容疑を解明し、社会
に警鐘を鳴らしたという点において、暴力団対策上も重要な意義を有するも
のであると考えております。今後の捜査を通じまして、暴力団関係の問題等
々も含め、法と証拠に基づいてこの事案の全容解明がされることを期待して
おります。

   なお、この警察官脅迫事件に関連しまして、多数の個人情報を不正に取得、
流通させるネットワークを解明し、戸籍法違反、不正競争防止法違反等で検
挙しております。

   警察庁としましては、個人情報を容易に不正取得できるシステムは、プラ
イバシー保護上も、それから、犯罪抑止上も、更には組織犯罪対策上も大き
な問題であると認識しておりまして、こういう犯罪インフラを壊滅するべく、
監督官庁を通じて関係機関、業界に再発防止策を講ずるよう働きかけていた
ところであります。それぞれの業態において、所要の対策が講じられている
と承知しております。

   今後とも、犯罪の温床となっている各種制度やサービスの実態解明に努め、
引き続き、関係機関と共に犯罪インフラの壊滅に向けた取組を進めてまいり
たいと考えております。