国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成25年7月25日(木)12:16~12:24

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  今日の国家公安委員会定例会議の状況については、委員は全員出席でござ
います。議題事項については、「人事案件」、また「暴力団員による不当な
行為の防止等に関する法律の規定に基づく適格都道府県センターの認定等」
について説明があり、原案どおり決定させていただきました。その他警察庁
から報告事項について、報告がございました。

      私からは、以上であります。

  大臣にお伺いします。DNA型鑑定の実施件数が年々増加しており、今年
上半期は14万件余りとなっています。データベースの一致件数も増えてい
て、犯罪捜査に大きく貢献しているところだと思いますが、一方で体制や資
機材などの面で課題もあるように思います。体制整備も含めた今後の警察の
取組について御所見をお願いします。

答  (大臣)客観的証拠重視の捜査の一環として、DNA型鑑定の活用を推進
しています。鑑定件数も増加しております。また、被疑者資料のDNA型記
録と遺留資料のDNA型記録をDNA型データベースに登録・対照して犯罪
捜査に活用しています。

   したがって、増加する需要に的確に対応するために、まずは大量一括処理
装置の積極的な活用による鑑定の効率化、2つ目、試薬等の調達方法を工夫
することによるコスト削減と試薬等の確保、3つ目、知識・技能を修得した
DNA型鑑定員の増強、こういうことを進めることにより、引き続き、態勢
強化を目指してまいりたいと思っております。

  長官にお尋ねします。コンピュータウイルスの解析件数が、今年上半期で
385件で、昨年上半期に比べて急増しておりますが、その背景であるとか、
警察の対応であるとか、最近のウイルスの特徴についてお聞かせください。

答  (長官)遠隔操作ウイルス事件の反省を踏まえて、不正プログラム解析セ
ンターを警察庁に設置をいたしました。そのセンターでの解析件数は、約3.
1倍、解析センターが設置される前も含めまして、警察庁で行った解析が約
3.1倍となっております。それから、解析センターの指導の下で、地方機
関が行ったものも約3.6倍ということで大幅に増えております。

   解析センターの方が行っている解析は、標的型メールに添付された不正プ
ログラムの解析、いわば高度な解析であります。それから、地方機関の方は、
最近多いのは、ネットバンキング事案、それから、昨年の遠隔操作事件を受
けまして、現場から不正プログラムの有無を確認するための解析依頼という
のが急増しているというようなこともございます。

   最近の不正プログラム、一言でいうと巧妙化・複雑化が顕著であります。
解析作業を検知してその進行を妨害するプログラムが組み込まれていたり、
あるいは、暗号化された不正プログラム、分散して潜伏する不正プログラム
等々であります。また、ウェブサイトを見るだけで感染する不正プログラム
も今年に入って目立っております。

   そういったことで、警察庁としては、サイバー空間の脅威への対処体制を
整えつつあるわけでありますが、こういう情報技術解析部門における解析力
の向上を図るために、不正プログラム解析センター等の体制の拡充、それか
ら、高度な技術・知識の習得のための教育訓練の強化、さらには本年3月、
民間と締結しましたが、サイバーセキュリティ有識者コミュニティとの緊密
な連携に努めまして、解析能力の向上を始め、サイバー空間の脅威への対処
能力の向上を図ってまいりたいと考えております。

  富山の件について長官にお尋ねします。昨日の検察の不起訴処分と、それ
から別罪名での本日の判決を受けまして、午後にも釈放される見通しですけ
れども、これまでの捜査を振り返りまして、捜査としての反省点、そして、
今後の課題ということを含めまして、長官の所見をお聞かせください。

答  (長官)昨年の12月に、当時富山県警の現職の警察官であった被疑者を
殺人、現住建造物放火等の容疑により逮捕いたしました。その後、被疑者は
鑑定留置に付されまして、その鑑定留置期間中、本年3月、県警としては懲
戒免職処分にしております。今回の不起訴につきましては、これは検察庁の
判断でありますので、コメントは差し控えたいと考えておりますが、富山県
警察は、今後とも富山地検と緊密に連携しながら捜査を継続していくものと
承知をしております。県警には、過去の捜査記録、捜査資料等を一から洗い
直して、予断を持つことなく懸命の捜査を行って、事案の真相を全力で解明
するように取り組んでもらいたいと考えております。

  長官にお尋ねします。上半期の懲戒処分者数が公表されました。前年同期
に比べると微減、逮捕者も微減ではありますが、高止まりの状態が続いてお
ります。現状についてのお考えと不祥事防止策についてお尋ねいたします。

答  (長官)昨年8月に取りまとめました、「警察改革の精神」の徹底のため
に実現すべき施策、これにつきましては本年7月末をもって全て実施段階に
入るところであります。本年の上半期の懲戒処分者数は、懲戒免職者数はほ
ぼ半減をいたしましたが、懲戒処分者数全体は、今御指摘のように微減とい
うところであります。今まで実施してきた施策に一定の効果が認められると
ころでありますけども、まだ平成21年の懲戒処分者数が警察改革以降最も
少なかった時点に比べれば高い水準であります。

   警察庁としては、これらの施策を着実に推進するとともに、警察署を中心
とした業務の合理化・見直し、現場の士気の高揚等の対策を進め、こういう
施策が上滑りすることなく現場にしっかり根付くように取り組んでまいりた
いと考えております。