国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成25年9月19日(木)11:53~12:02

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議、委員は全員出席でございます。議題事項
については、「人事案件」、それから「ストーカー行為等の規制等に関する
法律施行規則の一部を改正する規則案について」、あるいは「『道路交通法
施行令及び自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律施行令の一部を改
正する政令案』等に対する意見の募集について」等の説明がありまして、原
案どおり決定させていただきました。その他警察庁から報告事項について、
報告がございました。

      なお、私からは、今日の朝ラオスから帰国いたしました。成田でも取材の
方がお見えになっておりましたが、改めてここでも申し上げたいと思います。
ASEAN+3の国際犯罪閣僚会議並びにASEAN+日本国際犯罪閣僚会
議に出席させていただきました。特に、ASEAN+日本は、今回が初めて
ということで、日・ASEAN友好協力40周年ということでございますの
で、それを記念してスタートしたということです。結論から言うと、非常に
有意義な会議だったと思います。特に、ASEAN各国は、日本に対する期
待が非常に大きいですね。各閣僚からの発言の中にも「日本」という言葉が
頻繁に出てきます。これは、日本に対する期待の表れだと思います。中身は、
一国では対応できないもの、それは例えば、国際テロの対策、あるいはサイ
バー犯罪対策、薬物対策、こういったものが議題の中心に上がりました。そ
れから、少人数のリトリートというか、検討の少人数の会議のときにも日本
に対する支援の声がありまして、これは日本のキャパシティビルディングで
すね。人材育成であるとか能力の向上のための期待感というのが非常に大き
いということを感じました。そういった状況です。また、私の方から、この
両方の会議で拉致問題について言及させていただきました。拉致問題につい
ても、ASEANの国々の皆さん、参加した国々の皆さんに十分御理解をい
ただいて、また、解決のための要請もさせていただきました。ASEANの
国々は、御承知のように北朝鮮と国交があるだけではなくて、伝統的に繋が
りの深い国々もあるわけでございますので、そういった皆さんにもお願いさ
せていただきました。

      私からは、以上であります。

  大臣にお伺いします。ラオスの国際犯罪閣僚会議について、その成果と意
義をお聞かせいただきたいのと、拉致問題に関する各国の反応についてお聞
かせください。

答  (大臣)まず1点目でございますが、国際テロ対策、サイバー犯罪対策、
これについては非常に各国大きな関心を持っておりました。また、国際連携
が絶対に必要だということで、これは皆さん一致するところでございました。
御承知のように、共同宣言にもそのことが強くうたわれているところであり
まして、ある意味で日本がこういった場面で協力をしなければいけない部分
がたくさんあろうかと思います。特に、私の方からは、2020年東京オリ
ンピックが決定し、世界各国から多くの人に、東京に来てもらいますので、
そういうときのテロを含めた治安対策、そして、そういった対策が極めて重
要だということを言及をさせていただきました。そのための準備を今から7
年間しっかりASEANの国々と連携しながら、取り組んでいくということ
は極めて重要です。そういったこともしっかり表明することができた、そう
いった視点からも有意義な会議だったと思います。

   もう1点は、北朝鮮の拉致問題でございますけれども、我が国のスタンス
をつぶさに説明させていただきました。相当時間をとって、会議の中でも説
明させていただいて、最終的には共同宣言の中にも拉致問題を解決する重要
性、これがはっきりうたわれたということは非常に意義が大きいと思います。
第1回目のASEAN+日本でこの宣言がうたわれた、この意義は極めて大
きいと思います。ここに至るまで事務局も含めて、関係各国へ強く働きかけ、
そして、私がこの会議、そしてまた、バイ会談も行いました。首相あるいは
公安大臣等々とのバイ会談も行いました。特に、ラオスだけではなくて、ク
アン大臣とは今回で3回目でございまして、5月、7月、9月と3回会って
話をさせていただきましたけれども、こういったときにも拉致問題は必ず私
の方から触れさせていただいております。そういう意味では、非常に大きな
意義があったと思います。1泊3日の深夜に出て、明け方に帰ってくるとい
う強行軍でございました。同行した皆さんも大変疲れているんではないかな
と思いますけれども、十分な成果があったと思っています。

  長官にお尋ねします。上半期の薬物・銃器情勢がまとまりましたが、覚せ
い剤、脱法ドラッグなどの薬物の蔓延がうかがわれますし、銃器では押収、
とりわけ暴力団からの押収が非常に低調であるという傾向が続いております。
この情勢についての長官のお考えと、これからどうしていかれるのかをお聞
かせください。

答  (長官)まず、薬物情勢ですが、覚せい剤の押収量がこの上半期で550.
1キロということで、昨年1年間の押収量を大幅に上回っている状況であり
ます。末端価格も低下傾向が続いておりまして、大量の規制薬物が流通して
いる深刻な状況であろうと考えております。

   脱法ドラッグにつきましては、脱法ドラッグにかかる事件、検挙が51事
件66人でありました。昨年上半期と比べますと、35事件41人の増加で
あります。包括指定を含め、指定薬物への指定と麻薬への規制対応の格上げ
が迅速に行われることによって、脱法ドラッグの乱用者に対する所持あるい
は使用にかかる取締りが可能になったということが反映しているんではない
かと思います。また、脱法ドラッグ販売店の減少、流通物質の変化等の状況
もみられるところであります。

   警察としては、薬物の密輸・密売組織の取締り及び末端乱用者の徹底検挙
等、関係機関と連携した薬物対策を強力に進めてまいりたいと考えておりま
す。

   銃器につきましては、けん銃の押収丁数が対前年同期比で増加している中
で、暴力団からの押収丁数が減少傾向にあります。暴力団が組織防衛を図り、
巧妙に、かつ分散化して組織的に銃器を隠匿している状況がうかがわれると
ころでありまして、銃器情勢は依然として厳しいと認識しております。

   警察といたしましては、通信傍受等様々な捜査手法を活用し、また、広く
国民の協力を得ながらけん銃情報の収集に努め、暴力団の組織的な管理に係
るけん銃の摘発を重点として取締りを強化してまいりたいと考えております。