国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成25年9月26日(木)11:14~11:21

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議は、委員は全員出席でございます。警察庁
から「平成25年上半期のサイバー犯罪の検挙状況等」、そして、「指名手
配被疑者捜査強化月間の実施」などについて、報告がございました。

      私からは、以上であります。

  大臣にお尋ねします。サイバー犯罪の検挙状況について報告があったと思
いますが、捜査の上でログの保存というのは重要だと思います。ログの保存
の重要性、現状の問題点、今後の通信事業者への協力の依頼など、大臣の御
見解をお願いします。

答  (大臣)今日も報告がございましたけれども、半年間で4万件、警察に相
談が来ております。サイバー犯罪というのは、極めて深刻になってきており
ます。今後、捜査を進める上で、ログの保存というのは極めて重要です。た
だ、実は私、自民党では通信部会長とか、そういった情報通信の関係の責任
者を長くやっていたことがございまして、プライバシーの保護という視点か
らログの保存についてはいかがなものかという考え方をかつて持っておりま
した。しかし、この何年間かは、相当技術も進歩した、それから、容量も大
きくなった。また、運営する企業もログの保存に対する費用負担が非常に軽
減をされる。そうやって大きく環境が変わっているのと同時に、一方では、
サイバー犯罪というのが世界的に大きな問題になっている。特にEU指令で
もログの保存というものをしっかり認めろという方向になりました。こうい
う環境の変化もございまして、今、サイバー犯罪対策の情報セキュリティ政
策会議を総理官邸でやっておりますが、官房長官が主催ということでござい
ます。ここで、私もログの保存についても具体的に提案をさせていただいて、
今、総務省とも引き続き関係者が精力的に連携して検討作業を進めておりま
す。このログの保存ということについては、しっかり私ども対応していく必
要があると思っております。極めて捜査を進める上で、このログというもの
が、極めて重要なツールになるということは間違いないことであります。

  長官にお尋ねします。愛知県警で情報漏洩事件がまた発覚しました。暴力
団関係者に情報を漏洩していたということでありますが、暴力団捜査の上で
情報収集は欠かせないものであります。しかし、今回みたいな不祥事が起き
てしまう。非違行為を防止しつつ、情報収集を進め、更に情報管理をする、
これについての長官の御見解をお願いします。

答  (長官)お尋ねの愛知県警警察官による情報漏洩事案については、現在鋭
意捜査中でありますので、詳しいコメントは控えますけれども、愛知県警に
おいては、捜査によって事案の真相を解明して、その解明した事実関係に基
づき厳正な処分を行うとともに、県警周辺における暴力団等の情報収集ポイ
ントを完全に潰さなければいけないと考えております。

   暴力団その他の反社会的勢力の取締りには情報収集は不可欠であります。
そして、人に対する情報収集というのは、その中でも大きな比重を占めてお
ります。かつては、暴力団対策部門の捜査員による情報協力者の設定・運用
が個人レベルで行われるということもありましたが、近年、暴力団側の組織
的な対応が目立つようになり、こういう動きに伴う課題も生じているところ
であります。事の性質上、詳しく申し上げることはできませんけれども、警
察としては、情報収集には厳格な管理の下に、組織力を発揮して当たらなけ
ればならないと考えておりまして、その方向で全国の警察が取組を進めてい
るところであります。

  長官にお尋ねします。国民の期待と信頼に応える強い警察作りをめぐって
でありますが、このほど新たな施策を出しました。その中には、通達そのも
のの見直しなども含まれているようですが、今回の新たな通達指示について、
その狙いについてお尋ねいたします。

答  (長官)今般の施策は、昨年8月以来、全国警察を挙げて警察改革関係施
策に取り組んでまいりましたが、これらがいずれも実施の緒に就いた機を捉
えて、非違事案防止や業務の適正化は引き続き推進しつつ、かつ、日々発生
する犯罪の被害を食い止めて検挙するといった積極的な警察活動を展開し、
良好な治安を維持するために前向きに警察活動を進めていく措置をとろうと
いうものであります。

   警察の業務が多様かつ広範なものとなる中、今後、第一線警察が積極的な
警察活動を展開することができる環境を整えるために、警察署業務の大胆な
合理化・効率化、無理のないチェックシステムの構築、第一線勤務員の立場
から見て使い勝手のよいマニュアル整備と例外的なケースが発生した場合に
備えた警察本部による指導・助言の仕組みの整備等々を進めていきたいと考
えております。

   また、業務上の非違事案が発生した場合に厳正な処分を行うことは当然で
あります。それに加えて、非違事案が業務の仕組みそのものに起因するもの
ではないかといったことまで踏み込んで非違事案の原因や背景の分析を行い、
非違事案に繋がりにくい業務の仕組みを構築することにも力をいれていきた
いと考えております。

   そして、これらの取組を進めるに当たって、警察庁に「推進室」を設置い
たしました。推進室においては、各都道府県警察に対して手取り足取り細か
な指示を出すというのではなくて、各都道府県警察に創意工夫を凝らした取
組を推進してもらう中で、ベストプラクティスを吸い上げて、各県警ととも
に共有し、その取組の一助としてもらうというそういう方針で臨みたいと考
えております。