国家公安委員会委員長記者会見要旨(警察関連部分のみ)

1 日時 平成26年5月30日(金)8:37~8:55

2 場所 合同庁舎8号館1階会見室

3 概要   私の方からまず拉致関係でございますが、今回の日朝政府間協議の合意内容につきまして、今日16時から内閣府の3階会議室において、拉致被害者御家族、そして救う会の皆さん等々に対して説明を行わせていただきたいと思います。交渉に当たった伊原局長も出席いたします。
 それからもう一点は、政府がやっているいわゆる「車座ふるさとトーク」でございますが、今度は愛媛で「車座ふるさとトーク」を行いまして、今回のテーマは、今、交通事故における高齢者の犠牲が全交通事故死の53パーセントを占めておりますので、「地域で高齢者を交通事故から守るには」というテーマで車座ふるさとトークをさせていただきます。松山市でございますが、いろいろな取組を紹介していただきながら、老人クラブとかに入っていない、いわば孤立している老人の皆様、こういった方に対してどうやってこの交通安全対策をしっかり伝達して対応していただくか等々について、意見交換をさせていただきたいと思っております。詳細は事務局にお問い合わせください。

問  日朝協議についてお伺いします。拉致問題を含む日本人に関するすべての調査を約束するということですけれども、評価をお願いします。

答  これは今御指摘がありましたように、拉致被害者、政府認定の有無にかかわらずすべての拉致被害者、それだけにかかわらずすべての日本人の関係についても調査をし、そしてしっかり報告する。また、もし被害者が判明した場合は、その帰国に向けた手続をとっていくと、こういう極めて具体的な中身を協議の中で合意することができたということでございまして、これは交渉に当たった当局を始め関係者に私は敬意を表したいと思います。その上は、これはオールジャパンで取り組んでいる問題でございますので、今後はいわゆる責任、権限がある調査会を北朝鮮側で立ち上げてもらうことになるわけでございまして、そして、常にその情報は共有するということですから、その推移をしっかり見守りながら、いよいよこれからが本当の意味での正念場の協議が始まっていくと、そういう認識に立って、昨日総理もぶら下がり会見でおっしゃっていたように自分の代のときに必ず解決をする、家族の皆さん、拉致被害者が抱き合う日が来るまで自分の任務は終わらないと、私も担当大臣として同じ認識に立って、まなじりを決してこの問題に取り組んでいきたいと思っています。

問  関連で、大臣はかねがね調査は中身、結果が伴わないと制裁解除には至らないという御認識を示されていたと思うんですけれども、今回、特別調査委員会を立ち上げた時点で制裁緩和、解除に踏み切ると、これに至った背景を説明していただけますか。

答  これは御覧になっていただけば分かると思うんですが、この調査の中身は極めて具体的ですよね。これは相当踏み込んで協議をしているということでございますので、実質的にこの調査が始まるということはその行動が始まったと、こういう認識でございます

問  新たな生存者情報なるものは、その交渉の過程で示されたというのはあるんでしょうか。

答  まだ交渉は始まっていませんからね。

問  今回の制裁解除に至る一因として、新たな生存者情報なるものが内々に示されたということはあるんでしょうか。

答  ないです。まだ交渉は、協議機関が立ち上がっていませんから。3週間以内にそれを立ち上げて対応するという報告でございます。

問  行方不明者の調査をする際に、日本側から名簿のようなもの、例えば特定失踪者だとか、警察庁が拉致を否定できないとしている860名の名簿とか、そういったものは日本側から提示していく形になるんでしょうか。

答  これはあくまでもボールは北朝鮮にあるんですよ。ですから北朝鮮が調査をすると、すべての拉致被害者を含めた日本人の関係の調査をすると言っていることでありますので、ボールは向こうにある。しっかりその調査をしていただくということが極めて大切であります。

問  ストックホルムで局長からの発表ではなく、一度持ち帰られて大臣の間で話をされて発表になったと。これは局長には発表する権限が与えられないレベルでの政治判断が必要だったということでよろしいのでしょうか。

答  これは、交渉した当事者は局長でございますが、この拉致問題は、政府の最重要課題として取り組んでいます。だからこそ、総理大臣を入れてコア大臣会合、昨日の夕方に総理、官房長官、外務大臣、そして私、担当大臣4人がしっかり意見を摺り合わせた上で、正式に決定したということでございます。これこそまさしくオールジャパンで取り組んでいるという象徴ではないでしょうか。私、一言付言したいことがございまして、ここまで北朝鮮がこの具体的な中身を伴う調査をすると言った背景は、2つあると思うんですね。1つは、国内の政治の安定。これは衆参両院で過半数を取って、今の政権は極めて安定している。常識的に考えて3年間は間違いなく続くということであります。なおかつ、総理大臣は、この拉致問題に一番厳しいスタンスで臨んでいるということ。これは、当然北朝鮮はよく承知していますね。これが国内的な要因の1つ。それからもう1つ、国際的な要因として、我々ずっとこの1年あまりにわたって、国際社会に拉致問題の重要性を訴えてきました。例えば総理大臣が海外に行ったときには、必ず首脳にこの話をする。あるいは、共同宣言にも必ずこれを出す等々。それからもう1つは、COIですね。これで、ああいう決議がなされた。これも日本が主体的に相当取り組みました。私も含めて国連の関係者、海外の関係者、本当に熱心に働き掛けをさせていただきました。このことは、北朝鮮に相当効いたことは間違いないですね。というのは、拉致問題は、日本と北朝鮮の2国間の問題でしょうという認識が、おそらく世界各国であったと思いますけれども、もっと広い範囲で、大きな人権問題の重要な柱として、世界各国が、そして国連の関係者が認識をするに至ったと。これは、北朝鮮にとっても相当応えているはずですね。ですから、この人権問題、すなわち拉致問題というものを解決せざるを得ない北朝鮮の国内の環境になってきたということだと考えております。ですから、これからこういった協議が始まるわけでございますので、これから本当に胸突き八丁の協議が始まるわけでございまして、引き続き、我々はしっかりまなじりを決して、このすべての拉致被害者を取り戻す、このために全力を尽くしていく、これに尽きると思います。

問  もう1点、その件で、一部報道で、昨年複数のルートで特定失踪者の生存者情報が日本側に伝えられていたという報道がありましたけれども、これについて事実関係は。

答  そういった具体的な中身についての言及は、控えさせていただきたいと思います。我々はあらゆる情報を、あらゆる手段を使って常に入手しているということは、付言をさせていただきたいと思います。

問  北朝鮮の過去の調査で、一方的な打ち切りを表明したりですとか、証拠として提出したものについて疑義があったこともたくさんあったかと思うんですが、大臣は今回の再調査に関する北朝鮮の姿勢というのを、過去とどう違って、先ほど調査が始まるということが行動が始まったということだとおっしゃる背景をもう少し詳しく伺えますか。

答  最初に申し上げましたように、合意の中身が極めて具体的ですよね。ということは、北朝鮮のスタンスの変化であるということですね。本当にその合意をしっかり誠実に向こうが履行していくかどうか、これは極めて大切であります。したがって、そのためにも日本の基本スタンスは、対話と圧力ですよね。このスタンスも変わらないですよね。対話を引き出すために圧力をかけてきたわけでありまして、今後もそのスタンスは変わらない。そして、拉致、核、ミサイルを包括的に解決していく。この考え方に寸分も変わるところはありません。これは、よく北朝鮮も認識しているはずであります。

問  今日夕方には、御家族の方々に御説明されるということですが、どのような御説明をされるのかということ、あと家族からは、期待をする反面、これまで、前回2008年で、約束が守られなかったということと、証拠が疑義があるような、そういったこともありまして、今後、この調査委員会が立ち上がって、外交上言えないこともあると思いますが、御家族にはどのようなケアをされていくのか。

答  これは、今日夕方16時から家族会の皆様にお越しいただいて、この協議スタートに向かった経緯については、丁寧に御説明させていただきたいと思っています。もちろん、交渉の具体的な中身ですから、なかなか申し上げることができない部分もあろうかと思いますが、長年、家族会あるいは救う会の皆様と我々は信頼関係を持ってお付き合いしてきましたので、私たちのこの決意、覚悟というものは十二分に家族会の皆様に御理解いただけると思っております。総理のこの並々ならぬ解決に向けた決意というのは、昨日の各家族会あるいは関係者のぶら下がり等々の記者会見からも垣間見ることができますね。

問  この再調査は、日本を含めた合同調査というわけにはいかないと思いますけれども、調査の信用性をどのように担保されるのかということと、それから、調査の進捗に合わせて日本側の関係者が北朝鮮に滞在して関係者と面談することもあるということなんですが、これは警察庁の職員なんかも含めてということなのでしょうか。

答  これは、今後の具体的な中身ですから、こういうことがあるとか、こういう可能性があるということは、私からお話しするのは控えさせていただきたいと思いますが、しかし、過去のいろいろ経緯がありましたね。こういったものをしっかり踏まえて、今後協議が始まっていくということでございますから、そこだけはしっかりと我々は押さえて交渉に入っていきたいと思います。

問  御家族の関係で、御家族の方からはこれが最後のチャンスだと、御高齢になられている方々も御家族にはいらっしゃいまして、期待することもすごく大きいのですが、改めて受け止めについて。

答  もう何十年にもわたって、御家族の皆さんは一日千秋の思いで、被害者、御家族、息子さん、娘さん、お孫さんが帰ってくるのを待っているんですね。ですから、私たちは、そのことを本当に総理大臣が一番認識していますよ。だから、この我々の交渉は、そういう意味で、決意、覚悟の下の交渉だと。この日本のスタンスは、北朝鮮はよく分かっていると思います。そして、この拉致問題が解決していかなくては、日本が支援をしていくということはないわけでありまして、そういうことはよく彼らも認識していると思います。

問  大臣、以前に制裁については段階的な解除を排除しないとおっしゃっていましたけれども、今回の合意で人的往来とかお金の話とか船の話が出ていますけれども、これについても解除する際には段階的ということになるんでしょうか。

答  これは昨日官房長官もおそらく会見をしていたと思います。まず具体的に立ち上がってどこから解除していくかというのは、その状況を見極めた上で解除していくということであります。そのほかにもいろいろな制裁がありますので、しっかりそういった我々のカードも見極めつつ、北朝鮮の具体的な行動というものを見極めながら対応していくと、これに尽きると思います。