国家公安委員会委員長就任記者会見要旨

1 日時 平成26年9月3日(水)23:02~23:23

2 場所 警察庁第1会議室

3 概要   この度、国家公安委員会委員長、拉致問題担当大臣、海洋政策・領土問題担当大臣、国土強靱化担当大臣及び内閣府特命担当大臣(防災)を拝命いたしました山谷えり子でございます。
 総理からは、それぞれの担当分野について8点の御指示がございました。
 政府の治安対策の責任者である国家公安委員会委員長という重責を担うことになり、身の引き締まる思いでございます。
 良好な治安は、国民生活の基盤であり、治安の確保に全力で取り組んでまいります。特に、国民の日常生活の安全・安心に関わりが深い事件等への対応、サイバー空間への脅威への対処、暴力団対策、交通事故対策、災害・テロ対策の強化など、引き続き、対策を講ずべき課題が山積しております。
 拉致問題についてでありますが、北朝鮮による拉致は、深刻な人権侵害であり、国家主権に対する重大な侵害であります。圧力に重点を置いた「対話と圧力」の姿勢を貫き、拉致問題の完全解決に向けて、外務大臣と緊密に連携しつつ、政府一体となって総合的に取り組んでまいります。また、帰国された拉致被害者の方々が、日本で安心して生活できる環境を柔軟、かつ、きめ細かく整備するため、必要な措置を着実に進めてまいります。
 海洋政策についてでありますが、我が国は四方を海に囲まれた世界有数の管轄海域を有する海洋国家であり、海洋の開発や利用、安全の確保等は重要な課題であります。このような重要な課題に対応するため、昨年4月に閣議決定されました海洋基本計画に基づき、政府一丸となって海洋政策に取り 組んでまいる所存であります。
 領土・主権対策についてでありますが、領土・主権対策については、北方領土問題を担当する北方対策本部と連携し、また、竹島の領土問題及び尖閣諸島をめぐる情勢に関して、外交政策等との整合性を確保しつつ、国内外において我が国の立場について正確な理解が浸透していくよう、内外発信の強化に努めてまいります。
 国土強靱化についてでありますが、強靱な国づくりは喫緊の課題であり、「国家百年の計」として、しっかり取り組んでいかなくてはならない重要な政策課題であると認識しています。国、地方、民間が一体となって、効率的な国土強靱化を進めてまいります。
 防災についてでありますが、防災は国家の基本的かつ極めて重要な任務であると認識しており、特に、広島の土砂災害については、残る2名の行方不明者の捜索に全力を挙げるほか、避難者に対する支援等に非常災害対策本部長としてしっかり対応してまいります。また、今後発生が危惧される南海トラフ地震や首都直下地震などについては、関係者と連携した対策、地震・津波防災の国民運動への展開を図ってまいります。特に、首都直下地震や大雪等の発災時に放置車両に対処するため、災害対策基本法の一部改正法案を臨時国会に提出することを予定しております。さらに、来年3月に我が国で開催される第3回国連防災世界会議が成功するよう、国連、仙台市、関係省庁一体となって準備を進めてまいります。
 死因究明等の推進についてでありますが、本年6月に閣議決定された死因究明等推進計画に基づき、今後とも死因究明等の推進に関する施策について、その実施を推進してまいります。
 安倍内閣の一員として、精一杯努めさせていただく所存でございますので、何とぞよろしくお願いいたします。

問  警察庁記者クラブを代表して、最初に5つ質問させていただきます。1つ目ですが、国家公安委員会委員長に就任されての抱負と課題をまずお聞かせください。

答  政府の治安対策の責任者であります国家公安委員会委員長という重責を担うことになり、身の引き締まる思いであります。国民の安全を確保するために、治安の確保に全力で取り組んでまいります。
 現下の警察行政の課題といたしましては、サイバー空間の脅威への対処、サミット、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会を見据えたテロ対策、社会に大きな脅威を与えている暴力団や危険ドラッグ等への対策、ストーカー事案等の人身安全関連事案及び特殊詐欺への対策、交通事故抑止対策等が挙げられます。これらの課題については、国家公安委員会による警察の管理を確実に行うことにより、適切に対応してまいたいと思います。

問  2つ目をお願いします。法制審の刑事特別部会で、裁判員裁判対象事件などについて、取調べの録音・録画を求める内容とする答申がまとまりました。この件についての大臣の御見解をお願いします。

答  法制審の「新時代の刑事司法制度特別部会」において、時代に即した新たな刑事司法制度を構築するため、様々な課題について調査審議がなされ、本年7月に答申案の取りまとめが行われたものと承知しております。
 録音・録画制度につきましては、重大で国民の関心の高い裁判員事件を対象に原則全過程の録音・録画が義務付けられることとされたものと承知しておりますが、録音・録画には、メリット・デメリット双方がありまして、犯人の検挙、事件の解決を責務とする警察にとって重い課題となるものと認識しております。
 いずれにせよ、同制度は、通信傍受の見直しや協議・合意制度等と一体のものとして刑事司法制度に取り入れられるべきものとされたと承知しており、そのようなバランスの取れた形で法整備がなされることが重要だと認識しております。刑事司法制度の在り方は、国民の安全・安心を確保する上で極めて重要な課題であり、「世界一安全な国日本」を目指し、国家公安委員会として警察庁を督励してまいりたいと思います。

問  3つ目をお願いします。拉致問題を巡る日本と北朝鮮の政府間協議が始まっています。その中で、警察として、この問題にどのように取り組むのかお聞かせください。

答  北朝鮮による拉致容疑事案は、我が国の主催を侵害し、国民の生命・身体に危険を及ぼす治安上極めて重大な問題であります。
 警察では、拉致容疑事案と判断された事案はもちろんのこと、拉致の可能性を排除できない事案についても、昨年3月、警察庁外事課に「特別指導班」を設置し、改めて徹底した調査・捜査を推進しているところと承知しております。また、今年5月の日朝政府間協議における合意を受けて北朝鮮が行う調査については、政府全体として、その実効性の確保に取り組んでいるところと承知しております。その中で、警察としても関係省庁と連携を緊密にして対応していくよう、国家公安委員会として警察庁を督励してまいりたいと思います。

問  4つ目をお願いします。国際的な広がりを見せるサイバー犯罪、どのように対処されるか、お考えをお願いします。

答  サイバー犯罪やサイバー攻撃は、容易に国境を越えて行われ、一国だけでは解決できない問題であることから、警察においては、外国捜査機関等と連携してこれらに対処しているものと認識しております。
 サイバー空間が国民生活や経済活動に不可欠な基盤となっている中、サイバー空間の脅威への対処は警察における重要な課題であり、今後とも、対処能力の強化を図るとともに、民間事業者・関係機関との連携の強化や、多国間における情報交換・協力関係の確立など国際連携の強化に努めるよう、国家公安委員会として警察庁を督励してまいりたいと思います。

問  最後にダンス営業に対する風営法の規制の在り方が検討されています。この点についてのお考えをお願いします。

答  本件の規制の見直しについてでございますが、規制改革会議で取り上げられ、同会議の答申に基づき規制改革実施計画が閣議決定されたほか、超党派の議員連盟で議論されているものと認識しております。
 警察としては、規制の見直しに当たっては、善良の風俗と地域住民の良好な生活環境の保持、少年の健全育成や犯罪の防止といった治安上の観点から問題が生じることのないようにする必要があると考えております。
 現在、警察庁において、パブリックコメントを実施するとともに、外部有識者による議論が行われてきたところであると承知しており、それらの結果を踏まえつつ、臨時国会に風営法の改正案を提出すべく作業を進めるよう、国家公安委員会として警察庁を督励してまいりたいと考えています。

問  拉致被害者の御家族との関係に関してなんですが、今日、飯塚繁雄さん、家族会の代表ですとか、横田早紀江さんと何かしらお話し、御連絡を取られたりされたかと思いますが、改めてこれまでの拉致議連等々で、ずっと家族会とは付き添って一緒に歩んでこられていますけれども、大臣になられて解決に向けて、改めて思いを新たにされた点を教えてください。

答  家族会の皆様とは、長く解決に向けて一緒に進んでまいりました。今回も大臣就任に当たって、直ぐにいろいろお電話をいただきましたけれども、近々スケジュール調整をして一緒にお会いしたいと考えております。

問  改めて大臣になられて、解決に向けて思いを新たにされた点はありますでしょうか。

答  激しい寂しさと怒りをずっと感じてまいりました。被害者、そして被害者の御家族、そして国民の皆さんの期待、一日も早く全員の救出という結果を出すように頑張ってまいりたいと思います。

問  拉致問題についてですけれども、外務省と緊密に連携してという発言があったと思いますけれども、日朝交渉の一義的な窓口は外務省だと思うのですが、改めて拉致問題担当大臣として求められている役割はどの辺りにあるとお考えでしょうか。

答  日朝協議の場は、外務省がおやりになられるわけでございますけれども、内閣官房の拉致問題対策本部といたしましては、様々な情報を収集しておりまして、いろいろな連携をしていく中で、北朝鮮が被害者をしっかりと出していただき、帰国していただくという、そこは連携をしながら、そして、またオールジャパン体制を作りながら結果を出していきたいと思っています。

問  関連なんですけれども、正に20年ぶりに日朝協議が進展している最中の大臣就任となられたわけですけれども、近く報告があるであろう調査結果に対して、それを大臣は御家族の方に御説明をなされるという重い任務があると思うのですが、そういう意味では、これまでの大臣よりもある種責任は重いのかなという気がするのですが、このタイミングでの就任になったということに関して、改めてどのような意気込みというかお考えをお持ちでしょうか。

答  古屋大臣が大変よくやってくださっておりまして、私も党の拉致問題対策本部長といたしまして、常に大臣とは連携してまいりました。いよいよ具体的な、いろいろな動きがあるというような局面の中で、結果を出すべく、いろいろな所と連携していきたいと思っております。

問  防災関連でお伺いしたいのですが、まず、広島の災害の非常災害対策本部長として、近々現地に行かれる考えがあるかどうかということと、あと被災者の方の住宅確保ですとか、様々な支援が現在進んでいますが、改めて本部長として被災者支援をどのように進めていかれるのか、お考えをお聞かせください。

答  総理からも広島をよろしくと仰せつかっております。激甚災害指定に向けて動いていますけれども、まず何よりも私自身が現場に行って認識を深め、そしてやるべき対策、ほかにあるかもしれません。いろいろなことを意見交換して、現在の声を聞いてまいりたいと思います。

問  防災に関してお伺いいたしますけれども、広島の土砂災害を始めとして、多くの災害がありまして、その中で実際の避難の呼び掛けについても、一つ問題として指摘されている部分もありますけれども、この点について、大臣としてどのようにお考えで、今後どのように取り組んでいかれるかということが1点と、事前防災の対策に関して、国民運動の展開を図っていくという御発言があったと思いますが、具体的にはどういうことなのかということを教えてください。

答  異常気象で、本当に災害の規模が大きくなっているように思います。様々な災害の分析をし直しまして対応を考えていきたいと思いますし、また、足りない部分、見直していくこと、そしてまた、国民の啓発、あるいは、避難方法の有効性を高めるためにどのようなことができるのかということも検討しながら、災害があっても直ぐに復旧復興、被害を少なくする、あるいは災害を起こさない事前防災の国土強靱化を進めていきたいと思っております。

問  国民運動の展開という、地震、津波防災に関するその辺に関しては。

答  いろいろなデータも出てきておりますので、関係自治体と連携することや、また、学校教育等々、あるいはそれぞれの地方自治の中で、具体的な展開、良い事例などがあれば、それをみんなで共有していく等々の取組を強化していきたいと思っています。

問  拉致問題に関してなんですが、ジュネーブでのシンポジウムなど既に決まっているスケジュールがあるようでしたら教えていただきたいのと、それにどのような気持ちで臨みたいと考えていらっしゃるのか教えていただけたらと思います。

答  古屋大臣が政府主催でジュネーブで9月10日、政府主催のシンポジウムを計画していただいております。そのバトンを受けて、私自身まいりたいと思いますし、また、家族会から、あるいは今年3月に報告書を国連人権理事会の北朝鮮に関する人権状況、拉致問題を含む報告書の委員長を務めてくださったカービー委員長あるいは他の国の拉致の被害者家族等々、たくさんの方がシンポジウムに御参加くださいます。是非、この国連、ジュネーブの場所から世界に発信いたしまして、世界被害国、12ヶ国とも13ヶ国とも言われておりますので、問題意識を共有して、拉致問題の解決につなげていきたいと思っております。