国家公安委員会委員長就任記者会見要旨

1 日時 平成26年12月24日(水)22:34~22:51

2 場所 警察庁第1会議室

3 概要   この度、再度、国家公安委員会委員長、拉致問題担当大臣、海洋政策・領土問題担当大臣、国土強靱化担当大臣及び内閣府特命担当大臣(防災担当)を拝命いたしました山谷えり子でございます。引き続きよろしくお願いいたします。
 総理からは、それぞれの担当分野について8点の御指示がございました。引き続き、全力で取り組んでまいります。
 国家公安委員会委員長としては、9月3日の就任以降、全国の警察職員と心を一つにして、各種治安対策に取り組んでまいりました。
 特に、国民の日常生活の安全・安心に関わりが深い事件等への対応、サイバー空間の脅威への対処、暴力団対策、危険ドラッグ対策、交通事故対策、災害・テロ対策の強化など、引き続き、対策を講ずべき課題が山積していると認識しております。
 良好な治安は、国民生活の基盤であることから、引き続き、治安の確保に全力で取り組んでまいります。
 拉致問題についてでありますが、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くしてまいります。また、帰国された拉致被害者の方々が、日本で安心して生活できるよう、必要な措置を着実に進めてまいります。
 海洋政策についてでありますが、国境離島の適切な保全管理、海洋資源開発や海洋産業の振興などの施策を推進し、海洋立国日本の実現に向けて全力で取り組んでまいります。また、領土・主権対策については、竹島の領土問題及び尖閣諸島をめぐる情勢に関して、外交政策等との整合性を確保しつつ、我が国の立場について正確な理解が浸透していくよう、内外発信の強化に努めてまいります。
 国土強靱化についてでありますが、国土強靱化基本計画やアクションプランに基づき、国、地方、民間が一体となって、効率的かつ効果的な取組を進めてまいります。
 防災についてでありますが、発災時の対応に万全を期すとともに、国連防災世界会議の開催、土砂災害対策及び火山防災対策の推進、南海トラフ地震及び首都直下地震といった大規模災害に対する防災・減災対策の推進など、国民の生命・財産を守るために全力で取り組んでまいります。
 死因究明の推進についてでありますが、本年6月に閣議決定された死因究明等推進計画に基づき、死因究明等の推進に関する施策について、関係府省庁と連携して、引き続きその実施を推進してまいります。
 安倍内閣の一員として、精一杯努めさせていただく所存でございますので、何とぞよろしくお願いいたします。以上です。

問  警察庁記者クラブ幹事社です。私の方から2問御質問します。まず国家公安委員会委員長に再任されて、改めて、大臣が冒頭でおっしゃられました特に取り組んでいきたい課題についてお聞かせください。それが1点、2点目は拉致問題についてお伺いします。被害者の方々や被害者の家族の方に思いを致すと、一日も早い解決が望まれますが、なかなか日朝協議が大きな進展がないまま今年が終わろうとしています。政府も速やかな報告を北朝鮮に求めているわけでありますが、今後、この問題について具体的にどう取り組んでいかれるのかその点についてお聞かせください。

答  引き続き、政府の治安対策の責任者である国家公安委員会委員長という重責を担うことになりまして、身の引き締まる思いであります。
 安全・安心は国民生活の基盤となるものであります。現在、我が国の治安は、刑法犯認知件数等の指標が改善する一方で、サイバー犯罪・サイバー攻撃、国際テロ、組織犯罪といった重大な脅威に直面しております。このような情勢の中で、まずは、国民の日常生活の安全・安心に関わりが深い事件等への的確な対応が重要と考えております。
 特に、高齢者等を狙う特殊詐欺については、警察の総力を挙げて取り締まることはもとより、あらゆる機会を利用して予防活動を推進する必要があるものと認識しております。また、増加を続けておりますストーカー事案や配偶者からの暴力事案等の人身安全関連事案については、被害者等の安全確保が最優先であり、警察だけでなく、関係機関・団体等と連携して的確に対応する必要があると認識しております。
 国民が警察に寄せる期待というのは、非常に大きなものがあると考えております。治安の維持は、国家社会の最も基本的なものであります。対策を講ずべき課題が山積しており、国家公安委員会による警察の管理を確実に行うことにより、適切に対応してまいりたいと考えております。
 拉致問題についてでありますけれども、御質問のように、被害者のこと、また家族のことを思いますと一日も早く救出、帰国を果たさなければならないと思っております。拉致は我が国の主権を侵害し、国民の生命・身体に危険を及ぼす治安上重大な問題であります。
 警察では、拉致容疑事案と判断された事案はもちろんのこと、拉致の可能性を排除できない事案についても、その取組を強化して、事案の真相解明に努めているところであります。関係機関と密接な連携を図りつつ、警察の総力を挙げて全容解明に努めるよう、警察庁を督励してまいりたいと思います。また、国連総会で高いレベルの決議が採択されたこと、また、国連の安保理で議題となって議論が始まったこと等もございます。国際社会が北朝鮮の人権問題、拉致問題の解決を非常に問題意識を鋭く共有できている状況の中で、日朝協議では早く報告書を出しなさいということ、また、関係国、関係機関と密接な連携をしながら、北朝鮮の人権問題、拉致問題の解決に向けて、全力で取り組んでいきたいと考えています。

問  幹事社として3問教えてください。まず一つ目ですが、薬物対策についてお伺いします。危険ドラッグの乱用者による事件・事故が依然として後を絶たない現状にありますが、薬物対策について今後どのように取り組まれるか、まずお聞かせください。

答  危険ドラッグについては、その影響によるとみられる事件・事故が後を絶ちません。依然として深刻な問題であります。
 警察においては、販売店舗の実態把握やこれらに対する突き上げ捜査等の徹底、危険ドラッグの流入防止に向けた関係国との情報交換等を実施しております。また、厚生労働省においては、今月17日に施行された改正医薬品医療機器等法に基づいて、立入検査、検査命令等が実施されており、警察としても協力を行っているところであります。
 引き続き、厚生労働省麻薬取締部、都道府県衛生部局等との連携を密にして、危険ドラッグの危険性についての啓発強化、そして、政府の緊急対策に掲げられた施策が効果的に推進されるように警察を指導してまいりたいと考えております。

問  続いてですが、取調べの録音・録画や通信傍受対象事件の拡大、また司法取引制度の導入など、刑事訴訟法等の改正案が来年の通常国会に提出される見通しですけれども、新たな制度に警察としてどのように対応していくのかお聞かせください。

答  録音・録画制度については、事件の立証に有効な面がある一方で、被疑者から十分な供述を得られなくなる等の問題もあり、犯人の検挙、事件の解決を責務とする警察としては、重い課題を背負うことになると認識しております。
 警察では、引き続き、捜査への支障に留意しつつ、一層積極的な試行に努めるとともに、取調べ技術の更なる向上などに取り組んでいるところと承知しております。
 他方、通信傍受の見直しや、いわゆる司法取引制度の導入については、実際の運用を見る必要はありますが、振り込め詐欺や暴力団犯罪など、悪質・巧妙化する組織犯罪等の脅威から国民の安全・安心な生活を守り抜くために有用であると認識しております。
 刑事司法制度の在り方は、国民の安全・安心を確保する上で極めて重要な課題でありまして、私といたしましても、「世界一安全な国日本」を目指して努めてまいりたいと考えております。

問  最後に災害対策についてお伺いします。今年は広島の土砂災害ですとか、御嶽山の噴火、長野県北部の地震など多くの災害が発生しましたが、今後、災害対策にどのように当たっていきたいかお聞かせください。

答  広島の土砂災害や御嶽山の噴火等の災害により亡くなられた方々に、深く哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
 警察では、東日本大震災を始めとする各種災害への対応を通じて得られた教訓を踏まえ、大規模災害発生時に被災地に派遣される広域緊急援助隊等による実践的な災害警備訓練の実施や装備資機材の整備等により、災害対処能力の向上に努めてきたところであります。
 今後とも、自治体、消防、自衛隊等関係機関との更なる連携の強化や災害警備訓練施設の整備等の取組を通じ、警察として、大規模災害に迅速かつ的確に対応できる態勢の確立を図るように督励してまいります。

問  重複する部分があるのですけれども、拉致問題についてお伺いします。第3次安倍内閣になりまして、これまでの安倍内閣では拉致問題が最重要課題とされているわけですけれども、第3次安倍内閣になっても引き続きこの認識でよろしかったでしょうか改めて確認と、拉致被害者の家族の方々は集会を開くときに「今年には結論を、解決を」ということを訴えてこれまでこられたわけですけれども、今年も、2014年も終わろうとしておりまして、第一回目の報告が、北朝鮮側からは、菅官房長官は常識的には年内と言っておりましたけれども、もう年末になっておりますけれども、改めて第一回目の報告というのはまだスケジュール感が来ていないかどうかということと、今後政府としてどのように取り組んでいかれるか、改めて教えてください。

答  一日も早い拉致被害者全員の救出に向けて全力で取り組んでまいらなければならないと思っておりまして、今の状態は慚愧に堪えません。拉致問題が最重要課題であるという安倍内閣の方針は第3次安倍内閣においても全く変わることはございません。被害者、そして家族のことを思い、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

問  先ほど国家公安委員長の立場からお聞かせいただきましたが、防災対策について、活火山の防災対策及び広島の土砂災害を受けまして土砂災害につきましても、中央防災会議の下にワーキンググループもできております。今後、この2つの対策をどのように進めて行くのか、お考えをお聞かせください。

答  中央防災会議の下に土砂災害と火山噴火のワーキンググループが活動を始めておりまして、火山噴火に関しましては年度末を、そしてまた土砂災害に関しましては夏までを目途にきちんと取りまとめを行い、政策あるいは予算付けに活かしていきたいと思っております。本日の閣議でも、暮らしの安心ということを基本方針としておりますので、力を入れて事前防災、被害の最小化ということを考えていきたいと思っております。