国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成27年1月29日(木)11:49~11:57

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。山谷委員長は、国会対応のため欠席でございます。委員は全員出席です。議題事項につきましては、「人事案件」について説明があり、原案どおり決定いたしました。その他、警察庁から報告事項について報告がございました。以上でございます。

問  長官にお尋ねします。近年、懲戒処分者が減少するなど大分改善が進む中、大阪府警の警察官が殺人容疑で逮捕される事件が発生しました。これについて長官の所見をお尋ねします。

答  (長官)法を執行する警察官が、このような容疑で逮捕されたことは極めて遺憾であります。亡くなられた女性の御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族に対し、心からお悔やみ申し上げます。
 大阪府警察において、捜査を尽くし、明らかになった事実関係に即して、厳正に対処するものと承知しております。

問  長官にお尋ねします。愛知県名古屋市で19歳の女子大生が、77歳の女性を殺害するという事件が発生して、逮捕された女子大生が「人を殺してみたかった」というような供述をしているということなんですけれども、捜査の状況と長官の所見をお願いします。

答  (長官)お尋ねの件は、昨年12月7日、名古屋市内において、大学生が女性を殺害したものであり、愛知県警察において所要の捜査を遂げた後、1月27日に殺人罪で被疑者を逮捕したものと承知しております。
 現在捜査中でありますので、詳しくは申し上げられませんが、この事件は社会的反響が大変大きな事件であり、愛知県警察において、事件の背景や動機も含めまして、鋭意捜査を行っているものと承知しております。

問  長官にお尋ねします。イスラム過激派組織、イスラム国とみられる組織による日本人の拘束事件で、ヨルダンで収監されている死刑囚の釈放の要求から24時間が経過し、今朝、新たに現地時間日没までに死刑囚を解放するよう求める音声メッセージが投稿されました。この事件についての所感とこれまでの画像の分析等の警察の対応状況、そして、今朝の新たな音声メッセージが後藤さんのものかどうかの分析の状況についてお尋ねします。

答  (長官)本事件につきましては、政府一体となった対応の中で、警察も万全を尽くしているところでございます。関連情報の収集・分析、国内の警戒警備の徹底等に努めているところであります。
 メッセージの分析につきましては、現在、所要の分析を行っているところでございまして、その詳細については現時点ではお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

問  長官にお尋ねします。特殊詐欺の昨年の状況がまとまりました。被害額は初めて500億円を突破する559億円と大変な額になっています。現金の受け取る手口については送付型が増えているという特徴があります。一方では、検挙の方も増えてはおりますけれども、主犯格の検挙がごく少数という状況です。被害が非常に厳しい、捜査もなかなか厳しいという状況だと思いますが、現状への御認識、どう取り組まれていくかをお尋ねします。

答  (長官)特殊詐欺の被害総額は昨年約560億円ということで過去最多になりました。この被害総額は、かつて財産犯の中心であった窃盗の現金被害額の3倍以上を占めておりまして、全財産犯の現金被害額のほぼ半分ということになります。財産犯の被害構造を変えたとさえいえる状態であると思っております。
 特殊詐欺の被害者の約8割は65歳以上の方でありまして、その割合は年々上昇しております。これは、我が国が今超高齢社会であって、しかも個人資産が高齢者世帯にかなり集中するというそういう実態を闇社会が突いた犯罪という点で深刻な問題であると認識しております。このため、高齢者被害が特に多い類型でありますオレオレ詐欺、これは65歳以上の方が被害者の中で9割を占めます。それから、還付金等詐欺、これも同じ、9割以上になっています。それから、金融商品詐欺、これも9割に近い状況です。これらを「重点3類型」といたしまして、重点的に捜査・抑止を進めることといたしました。
 検挙の面では、検挙人員は過去最高を記録しておりますけれども、被害防止には、犯行グループ中核の検挙が不可欠でありまして、そのためには、首都圏の警察を中心として、犯行拠点の摘発を徹底していく必要があると考えております。昨年中も41カ所の犯行拠点を摘発しておりますけれども、これを更に推進しなければならないと思います。
 予防の面では、被害者がだまされないための取組、そして、だまされても被害金を取られないための取組、これを徹底することに尽きるわけでありますが、だまされないための取組については、警察はもちろん努力をしていきますけれども、高齢者を取り巻くあらゆる方面から注意喚起をすることが求められていると思います。
 それから、だまされても被害金を取られない取組ということについては、1件当たりの被害額が約450万円と高額になっておりますので、その多くが金融機関で調達されていると考えられます。送付型の被害が増加していることも踏まえまして、金融機関、あるいは郵便・宅配事業者と警察のなお一層の協働で、最後の砦で被害を止めることに力を入れたいと思います。
 このような厳しい状況を踏まえまして、本日午後、全国の特殊詐欺対策の司令塔を集めまして、全国特殊詐欺対策会議を開催し、新たな取組の推進について、指示・徹底することといたしております。
 なお、特殊詐欺の被害が深刻さを増す背景の一つに、犯罪組織中枢の検挙がなかなか困難であるという捜査の実情がございます。こうした実情に対処するため、先般、法制審議会から、通信傍受の合理化・効率化、あるいは協議・合意制度の導入ということが答申されております。警察庁といたしましても、このような点も含めまして、捜査手法の高度化等について、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。