国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成27年3月19日(木)11:53~12:00

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   はじめに、昨日、チュニジアの首都チュニスに所在する国立博物館において発生したテロ事件について一言申し上げます。
 今回のテロ事件で、邦人を含む多数の死傷者が生じました。犠牲になった被害者の方々の御冥福をお祈りするとともに、御家族に心からお悔やみ申し上げます。非道かつ卑劣極まりないテロ行為が行われたことに対して、強い憤りを覚えるところであり、許しがたい暴挙を断固非難いたします。
 警察では、本日午前7時に、国際テロリズム対策課長を長とする連絡室を設置して、情報収集に当たっているところであり、また、TRT-2、国際テロリズム緊急展開班を速やかに派遣することといたしました。
 次に、地下鉄サリン事件から明日で20年を迎えます。同事件では、13名の方が亡くなり、5,800名以上の方が負傷されました。また、現在も後遺症に苦しまれる方がおられます。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族の方々に哀悼の意を表します。また、負傷された方々、今なお、後遺症に苦しまれる方々に心からお見舞い申し上げます。
 警察では、これまで一連のオウム真理教関連事件の捜査や被害に遭われた方々への支援に努めるとともに、テロの未然防止対策やNBCテロ等の発生に備えた対策を強化してまいりました。
 国家公安委員会として、来年の主要国首脳会議、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催も見据えつつ、引き続き国民に安心して生活していただくために、今後ともテロの未然防止に万全を期すよう、取り組んでまいります。
 本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。長谷川委員は欠席です。議題事項については、「国家公安委員会及び警察庁における政策評価に関する基本計画案」等について説明があり、原案どおり決定いたしました。その他、警察庁から報告事項について、報告がございました。以上です。

問  大臣にお伺いします。去年のストーカー事案の認知件数、検挙件数のまとめが出ました。過去最多を更新したということですけれども、警察として、今後の加害者の検挙方針、また、被害者側の保護対策などについて御所感をお願いいたします。

答  (大臣)平成26年中のストーカー事案の認知件数は、ストーカー規制法施行後最多となっております。ストーカー等の人身安全関連事案は、事態が急展開して重大事件に発展するおそれが高く、国民の安全で安心な生活を脅かす重大な事案であります。対策の一層の強化が必要であると考えております。
 こうした情勢を踏まえまして、人身安全関連事案に対処するための地方警察官の所要の増員を図るとともに、被害者等の安全を確保するための一時避難に係る経費や資機材の整備など、警察の対処態勢の強化に努めているところであります。また、この種事案に的確に対応するためには、警察のみならず、関係機関、家庭、学校、職場等が連携し、社会全体で取組を行うことが必要であります。
 今後とも、被害者の安全確保を最優先にして、関係機関等との連携の下、諸対策を推進してまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。今、大臣からお話がありましたが、明日で地下鉄サリン事件から20年になります。この事件については、防げたのではないかといった指摘もあろうかと思います。一連のオウム真理教による事件から教訓、反省といったものが確認されていると思いますが、そういったところをどう捉えていらっしゃって、対策にどう取り組んでこられたか長官のお考えをお聞かせください。

答  (長官)地下鉄サリン事件を始めとする一連のオウム真理教関連事件は、閉鎖的な集団による計画的な犯罪で、組織的に証拠隠滅が図られるとともに、高度な科学技術が悪用され、全国規模の広範な区域にまたがっていたことなどから、当時の警察の捜査等には多くの困難があったものと認識しております。当時得た教訓としては、一つは、高度な科学技術についての専門的知識の不足、また、二つ目として、特殊な閉鎖的犯罪組織についての情報不足、三つ目として、都道府県警察の管轄区域外の権限についての制限などがあったと考えております。
 警察としては、これらを踏まえまして、警察法の改正や資機材の整備等によって、広域組織犯罪に対する指揮・連携体制の強化、科学捜査・情報収集体制等の強化、サリン等の原料物質の規制等の対策を講じてきたところであります。
 さらに、9・11米国同時多発テロを始めとする大変厳しい国際テロ情勢も踏まえまして、海外の治安情報機関と協力した国際テロ関連情報の収集・分析、関係機関と連携した水際対策、NBCテロ対応専門部隊を始めとするテロ対処部隊の充実・強化等の各種テロ対策を推進してまいりました。
 今後とも、テロの未然防止等の徹底を図るため、各種対策の強化を図っていきたいと考えております。