国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成27年12月24日(木)11:01~11:12

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議につきまして、議題は、「国家公安委員会文書決裁規則の一部を改正する規則案」などについて説明がありまして、原案どおり決定いたしました。また、警察庁から報告事項について、報告がございました。国家公安委員会については以上でございますが、既にお知らせしているとおり、今日の午後、未解決となっている上祖師谷三丁目一家4人強盗殺人事件の発生現場周辺を視察してまいりたいと思っております。以上でございます。

問  大臣にお尋ねします。来年のサミットを控え、大臣はSATの訓練を視察に行かれました。改めて、テロ発生時の対処能力の向上、その他について所見をお願いします。

答  (大臣)フランスのパリのテロ事件以来、国内でのテロ事件について国民の皆様の関心が非常に高いと思っております。あのようなテロ事件を発生させないというのが大前提でございますが、万が一あのような事案が発生した場合に、制圧のために最前線に立つのがSATでございます。この度、SATの訓練の一部を報道の皆様に公開させていただいて、メディアを通じて国民の皆様にSATの能力を知っていただきたいと思いました。訓練の一部の公開ではございましたが、SATも曳光弾を使った訓練をしたり、なるべく分かりやすい展示をしていただきまして、国民の皆様にSATの練度に対して信頼をいただけたのではないかと思っております。更に訓練を積んで、練度を上げ、万が一のときに備えていただきたいと思っております。私もSATの訓練を見るのは初めてでございましたが、大変士気も高く、練度も高く、国民の皆様には安心していただける状況にあるのではないかと思っております。

問  大臣にお伺いします。フリージャーナリストの安田純平さんが身柄を拘束され、身代金が要求されたというリリースが国境なき記者団からなされました。先ほどの臨時閣議後の記者会見で、テロに関連してという御発言もありましたけれども、改めまして御所感をお願いします。

答  (大臣)あの状況で人質事件というと、おそらくイスラム国などの、これまでテロを起こしてきた組織の関連が疑われるのだろうと思います。そういう意味で、テロに関連と申し上げましたが、まだ実際にどこが関わっているかということも含め、情報収集をしているところでございますので、これは外務省と連携して、しっかり情報を収集してまいりたいと思っております。

問  大臣にお伺いします。委員長に就任されてからの2か月の振り返りと来年の抱負をお願いします。

答  (大臣)10月7日から2か月ちょっと経ちました。当初は、山口組の分裂といった暴力団絡みの話題が多かったわけでございますが、それも大きな課題ではありますけれども、パリの事件以来、やはりテロ対策というのが非常にクローズアップされてまいりました。来年の伊勢志摩サミット、それから4月の外相会談を皮切りに、来年はG7の首脳会談、閣僚会談、各会議、いろいろありますので、テロ対策というのがやはり大きなことなのだろうと思います。サイバー犯罪についても非常に大きくなっております。そうした非常に大きなことはもちろん最大限取り組んでいかなければなりませんけれども、高齢者を中心とした特殊詐欺というのが依然として増えている、それから、最終的な数ははっきりしませんけれども、交通事故については残念ながら事故死3,000人以下という目標が難しくなったというか、できなくなったということがございます。国の治安ということを考えると、もちろんテロのような大きな事案への対処も大切ですけれども、交通事故をいかに防ぐか、あるいは特殊詐欺をいかに抑えるか、そうした現場の警察官が日々地道に当たってくれているようなことも、しっかりやっていかなければならないと思いますし、この国の治安というのは、おかげさまで今は非常に良い状況にあると思っておりますけれども、その状況をしっかりこれからも保っていくために、現場の第一線の警察官が、その能力を最大限に発揮できるよう、警察庁、国家公安委員会を挙げてしっかりバックアップしてまいりたいと思っております。現場があってこその警察組織だと思っておりますので、そこにしっかり来年もフォーカスしていきたいと思います。

問  長官にお尋ねします。化血研がボツリヌス毒素を無届で運搬していたとして、厚生労働省が立入検査を行った事案がありました。刑事告発等も検討されているという報道もありましたが、警察として今後の対応について御所感をお願いします。

答  (長官)本事案は、熊本市の一般財団法人化学及血清療法研究所、いわゆる化血研でありますが、ここは平成19年以降、計4回にわたりまして、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律で義務付けられております県公安委員会への運搬の届出をすることなく、特定病原体等であるボツリヌス毒素を運搬したとされる事案であります。
 ボツリヌス毒素は、非常に強い毒性を持っているものでありまして、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるものであり、生物兵器に使用される可能性もあるという特定病原体等でございます。無届の運搬は、紛失や漏出等のおそれもあって、非常に危険な行為であると認識しております。
 化血研から熊本県警察に対しまして、無届運搬事案の概要について説明がなされて、また、厚生労働省による立入検査等も実施されたと承知しております。
 今後、厚生労働省による立入検査の結果なども踏まえまして、熊本県警察において適切に対応がなされるものと承知しております。

問  大臣にお尋ねします。先ほどの安田さんの関係で、追加でお願いしたいのですけれども、外務省とも連携して情報収集していくと、政府全体でということだと思うのですけれども、テロ対策ユニットも、既にそれの対象になっているようなフェーズになっているのでしょうか。この事案自体。

答  (大臣)個別の事案でユニットがどう動いているかということは、答弁するのは適当でないと思いますし、差し控えたいと思いますけれども、あのような報道がございましたので、政府挙げて事実確認をしっかりしてまいりたいと思います。 

問  長官にお尋ねします。一昨年、JRの函館で貨物列車が脱線した事故に絡みまして、今度、道警はJR北海道の社員ら、それから法人としての同社も、データ改ざんの虚偽報告の疑いで書類送検したところです。公共交通機関の安全管理の杜撰さというのが露呈した事案かなと思っております。長い期間かけての捜査が終わりを迎えられて、長官の所感をお願いします。

答  (長官)お尋ねの件でありますが、一つは、平成25年9月19日にJR北海道函館線大沼駅構内で発生いたしました貨物列車の脱線事故に関する業務上過失往来危険事件でございます。また、他の一つは、この脱線事故に関連して検査数値の改ざん等によります虚偽報告がなされたとして、平成26年2月10日に国土交通省から鉄道事業法違反あるいは運輸安全委員会設置法違反で、北海道警察に告発がなされ、これを受理した事案でございます。
 これらにつきましては、いずれも鉄道輸送の安全に関わる重大な事案であります。北海道警察において鋭意捜査を行った結果、それぞれの被疑者及び事実を特定するにいたりまして、去る12月22日に検察庁に書類送致したと承知しております。