国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成28年2月4日(木)11:39~11:47

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。河野委員長は、国会対応のため欠席でした。議題事項については、「国家公安委員会審査請求手続規則案」について説明があり、原案どおり決定いたしました。その他、警察庁から報告事項について報告がございました。以上です。

問  長官にお尋ねします。東京都大田区で3歳の男の子が死亡するなど、児童虐待事件が連続して発生しています。警察は、かねてより幼い子どもたちの命を守るという活動を実施してきていますが、最近の傾向について所見をお願いします。

答  (長官)最近、何ら抵抗することも、また相談も通報もできない幼い児童が、暴力による虐待を受け、命を落とすという大変痛ましい事件が相次いで発生しておりまして、重大に受け止めております。被害に遭っている児童を早期に発見して、重大な事態に至る前に救出救護することは警察の重要な責務であると考えております。このため、警察では、110番通報等を受けての児童の安全の直接の確認の徹底を始め、緊急時や夜間等における児童の保護、あるいは迅速な事件化判断と捜査の徹底に努めるとともに、児童相談所、あるいは市町村等との連携による未然防止活動の強化を図っているところであります。
 今後とも、児童虐待防止についての副大臣等会議での取りまとめを踏まえまして、関係機関との十分な連携をとり、児童虐待の早期発見と児童の安全確保に万全を尽くすよう都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねいたします。バックカントリースキー事故をめぐっては、各地で遭難が発生し、死亡するケースも出てきています。こちらの発生状況と今後の対応について御所感をお願いいたします。

答  (長官)いわゆる「バックカントリースキー」とは、明確な定義はないようでありますけれども、一般的にスキー場管理地以外の雪山におけるスキー・スノーボード滑走全般を称しているものと認識しております。
 平成26年中において、バックカントリースキーのうち、登山行為を伴うもの、いわゆるスキー登山でありますが、遭難発生件数が47件、遭難者数58人、死者10人となっております。平成27年中には、新潟県における男女3人のスノーボーダーの遭難事案、今年に入りましてからも、外国人グループの遭難事案や雪崩に巻き込まれた死亡事案が発生しておりまして、今後もバックカントリースキーによる山岳遭難の発生が懸念されるところであります。
 警察庁においては、先に観光庁を通じて旅行業界に対し、外国人旅行者等への注意喚起を依頼するとともに、スポーツ庁と連携して、スキー関係団体等に対して、バックカントリースキーの危険性に関する広報啓発や警告表示設備の整備・拡充等の協力依頼を行ったところであります。
 今後も関係機関・団体と連携して、バックカントリースキーには冬山登山と同様の知識・技能・装備が必要であること等についてスキーヤー、あるいはスノーボーダーへ注意喚起するなど、バックカントリースキーによる山岳遭難防止対策を推進してまいりたいと考えております。

問  長官にお伺いします。元プロ野球選手の清原和博容疑者が覚醒剤を所持していたとして警視庁に逮捕されました。かつての球界のヒーローということもあり、新聞やテレビで大きく取り上げていますが、長官の所感をお願いします。

答  (長官)お尋ねの件は、2月2日、警視庁において、当該被疑者を覚せい剤取締法違反、覚醒剤の所持で逮捕した事案であります。現在、警視庁が捜査中でありますので、具体的な内容等については、コメントを差し控えますけれども、著名なスポーツ選手等による薬物犯罪は、社会に与える影響が大きく、特に青少年に対する悪影響が懸念されるところであります。警察としては、薬物犯罪の取締りを徹底するとともに、社会全体に薬物乱用を拒絶する意識が一層高まるよう、関係機関等の協力を得ながら、広報啓発活動等に努めてまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。大阪府警のほとんどの警察署で捜査書類が放置されていた、事件が送致されていなかったということが分かってきました。過去にもこういった放置問題というのがあるわけですけれども、警察の信頼に関わるような問題かなと思っています。今回の大阪府警の問題についての所感をお願いします。

答  (長官)お尋ねの件でありますが、平成24年11月、大阪府警察羽曳野警察署において、捜査書類が適切に保管されておらず、多くの事件が未処理のままとなっていたという事実が発覚したことから、大阪府警察において、府警全所属に対する調査を実施してきたところでありまして、これまでに61警察署において、捜査書類や証拠品が放置され、うち約4,300事件が公訴時効を迎えていたことが判明しているものと承知しております。
 大阪府警察では、これらの事件に対して、調査と並行して再捜査を行って、現在までに約1,700件を送致したとの報告を受けておりますけれども、本件は、府警の9割を超す警察署で、長年に渡り、捜査管理、証拠品管理の適正を欠き、多数の事件を未処理のまま放置してきたものでありまして、警察捜査への信頼に関わるもので、誠に遺憾に思います。
 大阪府警察では、この間、証拠品の本部一括保管を推進し、また、捜査管理・証拠品管理の体制・システムを強化するなど、再発防止のための施策を講じてきているところでありますけれども、引き続き、警察署の捜査力そのものの強化も含めた必要な対策を推進していくべきだと考えております。
 また、警察庁としましても、捜査管理・証拠品管理に関する業務監察を強化するとともに、全都道府県警察に対する巡回指導等を実施しているところでありまして、今後とも、適正な管理の徹底に努めていきたいと思います。