国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成28年2月18日(木)12:00~12:09

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。議題につきましては、「金融商品取引法の一部を改正する法律の施行に伴う関係国家公安委員会規則の整備等に関する規則案」などについて説明がありまして、原案どおり決定いたしました。その他、警察庁から報告事項について報告がございました。また、今日は国家公安委員の前田委員の最後の公安委員会ということで、前田委員から御挨拶をいただき、また私からお礼を申し上げたところでございます。以上でございます

問  大臣にお尋ねいたします。長野県軽井沢で起きたスキーツアーバス事故から1か月が経ちましたが、長野県警による事故原因の解明に向けた捜査が続いていると思いますが、現在の捜査状況とバス事故の再発防止に向けた警察の取組について所感をお願いいたします。

答  (大臣)15名がお亡くなりになられまして、本当に御冥福をお祈り申し上げたいと思います。また、26名の方が心身に深い傷を負われることになりまして、お見舞いを申し上げたいと思います。
 長野県警察が中心となりまして、現場での衝突痕、タイヤ痕、あるいは運行管理簿を押収して調査をする、あるいは運転者の御遺体の司法解剖を行ってまいりました。また、メーカーの協力を得て車両の検証を行いまして、速度の記録を調べて、事故直前に時速96キロと大幅な規制速度の超過があったのではないかということも分かってきております。また、御遺族の方のホテルの手配ですとか、現場への御案内といったことも支援として長野県警にはやってもらっております。貸切バスの安全運転を呼び掛ける活動を、あるいは日本バス協会にシートベルトの着用の徹底を要請し、シートベルトをしないと高速道路で9倍、全体で14倍、命の危険性が高まるというようなことを印刷して座席の前に置いていただくようなことをやってまいりました。引き続き、事故の全容解明に当たらなければならないと思っておりますし、再発防止活動にはしっかり取り組んでもらわなければならないと思っておりますので、そうしたことについてしっかりと指導してまいりたいと思っております。
 また、私は今消費者担当大臣も兼務しているものですから、バスツアーのカタログなどに、日本バス協会が、例えば日本バス協会がセーフティバス、貸切バスの事業者の安全への取組をしっかりと調べて、一つ星から三つ星までランク付けするということをバス協会がやっております。そうした事業者が三つ星だとか、二つ星だとか、あるいは一つ星だということをカタログにきちんと掲載していただく、あるいはインターネットの旅行サイトなどでバスツアーの宣伝をする時に、そうしたことを載せていただいて、国内旅行、海外旅行に行くときには、ホテルのランクが三つ星ですとか、このクラスのホテルからホテル選びますというのと同じように、このバスツアーの使うバスは三つ星ですとか、こういう事業者の中からバスを選びますというようなことをやるのが当たり前になるようにしていきたいと思っております。消費者の方がバスの安全性に注意を払っていただければ、バス事業者は安全に対する投資をしっかりやる。その取組がきちんと広報され、評価されて消費者がまたそれを選ぶ根拠にするという、良い循環を作っていきたいと思っておりますので、国家公安委員会委員長として、同時に消費者担当大臣としてもバスツアーの安全性の向上に取り組んでいきたいと思っております。ちょっと長くなりましたが、以上です。

問  長官にお尋ねします。先日、神奈川県警が全国で初めて、スマートフォンのアプリ上に児童ポルノ画像を投稿したとして逮捕したという事案がありました。今後同様の事案等の取締りについてなどの御所見をお願いします。

答  (長官)御指摘の件は、神奈川県警察において、児童ポルノ等投稿者とスマートフォン用画像共有アプリ運営会社代表取締役らを児童買春・児童ポルノ禁止法違反等の共同正犯によって初めて検挙したものであると承知しております。スマートフォン用画像共有アプリを利用することで容易に児童ポルノを共有できる状況にあり、アプリを利用して児童ポルノを掲載する者の検挙のみでは、児童ポルノの拡散に歯止めを掛けることが困難な状況であるという認識を持っております。本件アプリは、見かけ上は友人等の間で画像を共有するためのサービスを装いながら、実際は児童ポルノ等の共有に常態的に使用されていたものであります。
 今後も、警察としては、このような悪質なアプリの取締りを徹底するとともに、サイト管理者等に対する児童ポルノ等の迅速な削除依頼、あるいはフィルタリングの適切な利用の啓発などを推進してまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。川崎市の老人ホームで入居者の御高齢の方3人が転落して亡くなる事件がありました。その後、その一人に対して殺人容疑で元職員の男が逮捕されたということです。まず長期にわたる内偵捜査で逮捕にこぎ付けたということだと思いますが、社会に非常に大きな衝撃を与えてますけれど、一方で当初、捜査一課が把握したのが少し遅いのではないかという指摘もなされているところであります。初動の在り方等も含めて、今回の事件の所感をお願いします。

答  (長官)この事件は、老人介護施設に入所中の高齢者を高所から転落させて死亡させるという、極めて悪質な事件であり、2月15日、神奈川県警察が、当時、同施設の介護職員であった被疑者、23歳を殺人罪で逮捕したものであります。
 本件は、事件性の判断や被疑者の特定に結びつく物証の乏しい事案であり、長期間の内偵捜査によって被疑者の逮捕に至ったものでありますが、今後、神奈川県警察において鋭意捜査を進め、事案の全容解明を図っていくものと承知しております。
 なお、本件が発生した施設で同時期に相次いだ転落死についても、今後、真相を解明していくことになりますが、このような不審死が連続するようなケースでは、関連情報の迅速な集約・分析が非常に重要であり、その在り方について、必要があれば常に改善を図っていくべきものと考えております。