国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成28年3月17日(木)11:50~11:58

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。河野委員長は、国会対応のため欠席でした。議題事項については、「国家公安委員会関係警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律施行規則の一部を改正する規則案」などについて説明がありまして、原案どおり決定いたしました。その他、警察庁から報告事項についていくつか報告がございました。以上です。

問  長官にお尋ねします。昨年一年間のサイバー空間の脅威の情勢がまとまりました。実態としては、官民共に更なる対処能力の向上が求められる結果となったと思います。現状と今後の対策について認識をお願いします。

答  (長官)平成27年においては、我が国の多数の機関、事業者等でサイバー攻撃による情報窃取等の被害が発生いたしまして、連携事業者等から報告を受けた標的型メール攻撃件数は過去最多となりましたほか、9月以降、地方公共団体、空港等のウェブサイトの閲覧障害事案が頻発したところであります。また、インターネットバンキングに係る不正送金事犯の被害が拡大するなど、サイバー空間の脅威の情勢は依然として厳しいものがあると認識しております。
 警察におきましては、「警察におけるサイバーセキュリティ戦略」を策定いたしまして、現在、都道府県警察等で各種の取組が進められているところでありまして、引き続き、官民連携、国際連携、人材育成等に関する取組を推進することによって、サイバー空間の安全・安心が確保されるよう努力していきたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。平成27年におけるストーカー事案及び配偶者からの暴力事案の情勢がまとまりました。ストーカー事案の相談件数は減少したものの、配偶者からの暴力の相談は6万件を超えるなど、高水準で推移しています。今後の対策など所見をお願いします。

答  (長官)平成27年におきますストーカー事案の相談件数は4年ぶりに減少いたしましたが、平成24年以降は年間2万件前後の高水準で推移しております。同年中の配偶者からの暴力事犯の相談件数は、6万3,000件余りでありまして、配偶者暴力防止法施行以降、最多ということになりました。
 また、私事性的画像記録に係る相談件数、これは初めての年間集計となりましたが、約1,100件に上ったところであります。
 これらの背景としては、事案が増加していることに加えて、この種事案に対する社会的な関心が高まり、被害者等から積極的に相談や届出がなされることや、各都道府県警察が積極的な事案対応に努めていることもあろうかと考えております。
 現在、各都道府県警察においては、人身安全関連事案への対処体制を確立して取組を強化しておりまして、ストーカー規制法に基づく警告、検挙が法施行後最多となるなど、早期の段階で迅速な対応を図っているものと承知しております。DVにつきましても、被害者保護の観点から迅速な事件化に努めているところであります。また、私事性的画像記録に係る相談等に対しましても、私事性的画像記録被害防止法違反、あるいは脅迫、児童買春・児童ポルノ禁止法違反で250件の検挙をしているところでございます。
 ストーカー等の人身安全関連事案については、警察庁といたしましても、これらに対処するための地方警察官の増員を図るとともに、被害者等の安全を確保するための一時避難に係る経費や資機材の整備、加害者の更生に向けた取組など対策の強化に努めております。
 今後とも、被害者等の生命・身体の安全の確保を最優先いたしまして、各種法令を積極的に適用して加害者を検挙するなど、警察として執り得る手段を駆使するとともに、関係機関や民間団体等とも緊密な連携を図って、被害の発生あるいは拡大防止に取り組んでまいる所存であります。

問  長官にお尋ねします。去年6月からシリアで行方が分からなくなっているフリージャーナリストの安田純平さんと見られる映像が、インターネット上に公開されました。アルカイダ系の武装組織「ヌスラ戦線」に拘束されているという話もありますが、警察としてはどのように把握され、今後どのように対応していくのでしょうか。

答  (長官)御指摘の映像は承知しております。その映像につきましては、現在、内容を分析中でございます。対応等につきましては、事案の性質上、詳細についてはお答えを差し控えさせていただきますが、警察では外務省等関係機関と連携して情報収集に努めているところであります。

問  長官にお尋ねします。山口組対策ですけれども、先般、長官は愛知県警察を視察されて、捜査員を督励したところですけれども、分裂以降、トラブル、事件が相次いでいます。7日には、山口組と神戸山口組は抗争状態にあると認定されたところです。その後も、発砲、車両突入等、相次いでいます。こうした分裂、抗争状況の中で、山口組、弘道会対策にどう取り組まれていくのか、認定後の発生状況も含めてお聞かせください。

答  (長官)六代目山口組と神戸山口組の対立抗争から市民を守るためには、全国で警戒を徹底するとともに、強力な取締りによって両団体を弱体化して、抗争の力を奪うことが必要であると考えております。
 特に、我が国最大の暴力団であります六代目山口組を弱体化させるには、その中核組織である弘道会の弱体化が不可欠であります。したがって、この抗争の防遏のためにも、取締りの力で弘道会の弱体化を図る必要があると考えております。
 そういった観点から、一昨日、愛知県警察に赴きまして、本部長等から県内の情勢や取組などについて説明を受け、暴力団対策に従事している捜査員ら約200名を督励してまいりました。また、弘道会の捜査に従事している捜査幹部や弘道会本部を管轄する中村警察署も激励させていただきました。
 事件の発生につきましては、3月7日に対立抗争と認定して以降、両団体に関わる事件が全国で6府県9件発生しております。そのうち、銃器発砲は1件、火炎瓶様のものが使用されたのが2件、車両突入は3件となっております。
 全国警察を挙げて対立抗争事件から市民を守るとともに、幹部を含む構成員の徹底検挙、あるいは資金源の遮断等を徹底いたしまして、取締りの力をもって両団体の弱体化及び抗争の早期防遏を図っていく所存であります。