国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成28年3月24日(木)12:06~12:17

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の議題につきましては「平成28年度政策評価の実施に関する計画案等の策定」などについて説明があり、原案どおり決定いたしました。その他、ベルギーにおける連続テロ事案についての報告、あるいは高規格の高速道路における速度規制の見直しに関する提言についての報告がございました。その他、いろいろありました。私の方からは以上でございます。

問  大臣にお尋ねします。先ほどお話しのありました高規格の高速道路の速度制限が見直しされました。提言の内容についての大臣の所見をお願いします。

答  (大臣)古屋元国家公安委員会委員長が、交通関係につきましては、随分いろいろなことを公安委員会でも議論されたのだろうと伺っておりますが、有識者からなる研究委員会において、高規格、設計速度が120キロの高速道路の一部区間について、100キロを超える規制速度への引き上げは可能だという提言をとりまとめられました。新東名を始め、設計速度120キロで作ったわけですが、これらは当然他の高速道路と比べて予算もコストもかかっております。それだけのコストをかけていて、納税者、国民に何らかのメリットがないというのは、それもどうなのかなという気がいたしますが、この提言は引き上げることもできるのではないかということになっておりますので、新東名ですとか、東北道の一定区間で、日本では初めてになるのかと思いますが、100キロを超える規制速度を、とりあえずテストしてみるということに道筋がついたと思っております。今まで100キロ規制だったわけですが、最初から120キロというわけにはいかないと思いますが、安全を確認し、あるいは車の流れを確認した上で、100キロから110キロ程度に引き上げて、どうなのかということを確認するというのは意義深いことだと思っております。ただ、100キロから引き上がっても、すぐまた100キロに戻りますみたいなことでは逆に危ないと思いますので、それなりの速度を引き上げられる区間というのはどうなのか、あるいはそうした周知徹底をどうするのか、あるいは規制速度が100キロの場合、140キロ以上で罰金ということになっていますが、その速度を引き上げた区間でどうするのかとか、まだ警察においていろいろ準備をしなければいけないところが多々あると思いますので、そこはしっかりと適切に準備をした上で行うというように指導してまいりたいと思っております。

問  大臣にお伺いします。冒頭でもありましたが、ベルギーの首都ブリュッセルで現地時間の22日朝に国際空港と地下鉄で自爆テロと見られる同時テロが起きました。イスラム国が犯行声明を出しているところですけれども、日本でもサミットを迎えるに当たって、国内の国際テロへの対策と所感をお願いします。

答  (大臣)多数の犠牲者が出るということになりまして、本当にお悔やみを申し上げると同時に、更に大勢の負傷された方の一日も早い回復をお祈り申し上げたいと思います。
 今回はフランスの事件と違いまして、邦人が重傷を負った、あるいは軽傷を負われた方もいらっしゃいました。日本人の安全をどう確保するかというのは、これはなかなか海外で起きるテロですから、なかなか難しいところはあると思いますが、一方で4月10日の外相会議を始めG7の閣僚会議、5月末のサミットを控えておりますので、テロ対策を万全にしてまいりたいと思っております。サミットは伊勢志摩で行われるわけでございますが、テロが伊勢志摩で起こるかどうかということは決まっているわけでも何でもないわけで、日本国内全体でテロが起きないように、しっかりと対応していかなければならないと思っております。また、「ISILベルギー」と犯行声明は言っているようでございますが、本当に関係があるかどうかということも含め確認する必要があると思いますし、少し中東各国と緊密な情報交換をし、あるいはヨーロッパとも緊密な情報交換をして、テロリストの入国を水際で防ぐ、そうした努力を法務省、入管局あるいは税関共々、力を合わせてやっていけるよう指導してまいりたいと思っております。

問  長官にお尋ねします。昨年の不正アクセス行為の発生状況がまとまりました。前年と比べて4割ほど減少しましたが、依然として2,000件を超えている状況です。長官の所見と今後の対策についてお聞かせください。

答  (長官)昨年の不正アクセス行為の認知件数は、2,051件でありまして、平成23年から増加傾向にあったものが減少しているところであります。これは平成26年に多発いたしました「知人になりすましての情報発信」が、無料通話アプリの認証セキュリティ強化によって減少したことなどによるものと見ております。
 一方、不正アクセス禁止法違反事件の検挙件数は173事件、検挙人員も173人ということでありました。いずれも平成12年の法施行以来最多となったところであります。
 警察においては、引き続き、インターネットバンキングに係る不正送金事犯等の組織的犯行や悪質な中継サーバ等の犯罪インフラの積極的な取締りを推進するとともに、パスワードの設定・管理の甘さに起因する被害実態を踏まえまして、例えば複数のサイトで同じID・パスワードを使用しないとか、推測が容易なパスワードを設定しないとか、パスワードを定期的に変更するといった不正アクセス防止対策についても広報啓発を推進してまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。昨年中の児童虐待の状況がまとまったところです。警察から児相に通告した子供の数が3万7,000人でしょうか、年々増えていますが過去最多を更新しています。警察が保護している子供の数も増えています。検挙の方も増えている状況で、非常に深刻だと思うのですけれども、警察はいろいろ児相との連携強化も含めて取り組んでいるところですが、現状への御認識とどう取り組んでいかれるのかお聞かせください。

答  (長官)昨年の児童虐待については、通告児童数、児童虐待事件の検挙件数、検挙人員、検挙事件に係る被害児童数、いずれも統計を取り始めて以来最多となりました。大変憂慮すべき状況と認識しております。
 状況としては、通告については心理的虐待が約6割強を占めておりまして、事件検挙については身体的虐待が約8割を占めるという特徴がございます。
 このため、警察では児童虐待事案への早期対応に努めているところでありまして、児童の生命や身体が脅かされる危険がある緊急時や夜間等に警察が保護した児童数は2,624人と前年比約3割増となっておりまして、これも統計を取り始めて以来最多でございます。
 また、児童相談所との円滑な連携を促進するため、全国208児童相談所に現職の警察官やOBを178人配置しておりまして、この数は年々増加しているところであります。
 今後とも関係機関との情報共有を一層緊密にするなど十分な連携を図りまして、事案の早期発見と児童の安全確保を徹底するとともに、児童虐待の未然防止に努めてまいりたいと考えております。

問  先ほど大臣の方から「伊勢志摩で起きるとは限らない」という話がございましたが、長官は改めてどのようにお考えでしょうか。

答  (長官)先ほど大臣からお話があったとおりでございます。全国の特に大都市のソフトターゲットも十分考えられるところでありますし、全国警察を挙げてテロ対策、テロの防止対策を徹底していくということに尽きると思います。