国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成28年4月7日(木)11:45~11:58

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。議題事項につきましては、神戸山口組の指定の確認などについて説明があり、原案どおり決定いたしました。このほか、警察庁から報告事項について報告がございました。神戸山口組の指定に関しては、兵庫県公安委員会から要件該当性の確認を求められていたところ、本日、国家公安委員会において、その確認を行いました。今後、所要の手続を経て、指定がなされるものと承知しております。国家公安委員会といたしましては、これまで国民の安全・安心を確保する観点から、神戸山口組の早期指定が必要との認識の下、警察当局を指導してきたところでございます。引き続き、取締り及び警戒を徹底するとともに、神戸山口組の指定後は、両団体間の暴力行為の発生状況等を踏まえ、必要な措置を講ずるよう、警察を指導してまいります。

問  大臣にお伺いします。神戸山口組のお話がありましたが、今日で3月7日に両団体が対立抗争状態にあると警察が認定してから1か月になります。この間の事件の発生数、発生状況、捜査状況について大臣の御所見をお願いします。改めて今日、国家公安委員会で神戸山口組を指定することを了承して兵庫県公安委員会に通知することになりました。これについても再度お願いします。

答  (大臣)まず、六代目山口組と神戸山口組が対立抗争の状態にあると判断した3月7日以降、昨日までに両団体の対立抗争に関わる事件は、12都道府県で21件発生しているとの報告を受けております。そのうち、銃器発砲事件は2件、火炎瓶様のものが使用された事件が3件、車両が突入した事件は5件発生しております。また、被疑者を検挙した事件は3件で、両団体の構成員等14人を検挙しております。この六代目山口組と神戸山口組の対立抗争は多くの市民の皆様に大きな不安を与えております。一般市民に被害が及ばないようにすることが何よりも重要であります。引き続き、取締り、警戒を徹底すると同時に、神戸山口組の指定後は必要な措置をしっかりと講ずるよう、警察を指導してまいりたいと思っております。また、国家公安委員会では、神戸山口組の指定を早期に行うべく、警察を指導してまいりました。兵庫県公安委員会から要件該当性の確認を求められておりましたところ、今日の国家公安委員会において、その確認を行いました。国家公安委員会としては、安全・安心を確保するためには、できるだけ指定を早期に行うことと、これがゴールではなくてスタートでございますので、今後、市民の皆様に被害、影響が出ることがないよう、しっかり対応できるよう警察を指導していきたいと思っております。

問 九州道仁会から九州誠道会が分裂したときにですね、1年8か月くらい指定作業に時間がかかったのですが、今回は8か月という短期間で指定することができました。大臣、かなり前向きな御発言が多かったですけれども、指定を早めるに至った指導ぶりみたいな、楽屋裏話があればお願いします。

答  (大臣)特に楽屋裏があるわけでもなく、5月とか6月とか様々な話があったのだろうと思います。私もメディアの皆様からいろんなご質問をいただきましたが、これまでの経緯云々というよりは、山口組が分裂して対立が最初から懸念されておりましたし、3月頭にはそれが現実化するという状況でございましたので、過去にとらわれることなく、なるべく早期に指定をする必要があるということをずっと申し上げておりましたし、現場の警察も同じ認識だったと思っております。必要な資料をしっかりそろえて確認までこれだけ早く行うことができたのは、現場の警察官の危機感というのに起因するのだろうと思いますので、あらためて感謝を申し上げるとともに、あくまでもこれがスタートでございますので、ここから両団体の抗争を許さず、一般市民の皆様に万が一にも被害が及ぶことがないように、しっかりと当たりたいと思いますし、伊勢志摩サミットも5月の末には行われるわけでございます。今週から外相会談を皮切りに関係閣僚会議も始まりますので、全国警備体制で警察官、やや薄く広く広げられるような状況になっておりますが、その中でもこの抗争はしっかりと封じ込めるつもりでまいりたいと思っております。今後は、暴対法の改正も視野に入れて様々な研究をしてまいりたいと思っておりますし、分裂をしたら指定を免れるということでいいのかどうかということも当然、考えていかなければいけないと思いますので、現行法の中でやれることは一生懸命やっていただきましたが、法改正を含め、様々な研究を今後してまいりたいと思っております。

問 大臣にお尋ねします。警察庁の調査委員会が、自動運転の運転者の公道での実証実験のガイドライン案と、実用化に向けた法的課題を盛り込んだ報告書をまとめました。自動運転は政府と自動車メーカーが一体となって開発を進めている段階だと思いますが、報告書についての所見と今後の警察の取組について考えをお聞かせ下さい。

答 (大臣)自動運転の実現というのが、おそらく多くの国民の皆様が感じていらっしゃるよりも早く来るような気がしております。特に交通事故を減らすという観点からも、これは非常に有効な技術だと思っておりますし、今、高齢の方が病院へ行くために運転をされていたり、様々な状況があると思いますが、自動運転がそうした状況を代替できる技術であることは間違いないと思っておりますので、おそらく今後、相当早いスピードで実証実験が行われるだろうと思います。そのときに万が一、事故があったときに誰がどう責任を取るのか、どう補償するのか、法律的にも決めておかなければいけないことはたくさんございますし、あるいは条約上、完全なレベル4を実現するために対応しなければいけないということもありますので、おそらく技術の進歩にちゃんと法律が、あるいは条約が追いついていけるよう、警察としても、そうした方面での対応を早くやっていかなければいけないと思っておりますので、今度の報告書をベースに、やらなければいけないことに早く着手してまいりたいと思っております。東京オリンピックには自動運転が実現している、そのためにはいつまでに何をやらなければいけないのか、逆にタイムスケジュールを置いて考えてまいりたいと思います。

問 長官にお尋ねします。今月10日、3日後から広島市でG7、7か国の外相会合が始まります。来月の伊勢志摩サミットの皮切りとも言える会議だと思いますが、この外相会合の位置付けと厳しい国際テロ情勢の中で、警備の課題をどのように考え、どのように取り組んで行かれるか所見をお願いします。

答  (長官)次の日曜日から、G7サミットの先陣を切る形で、広島において、外務大臣会合が行われることになっております。その後、5月末の伊勢志摩サミットまで約6週間の間に全国7か所で関係閣僚会合が継続的に行われることとなります。今回のサミットは、先進国での国際テロが相次ぎ、また、我が国に対する国際テロの脅威も現実のものとなるなど、これまで日本で行われたサミットとは異なる、大変厳しい警備情勢下で行われることとなりますが、伊勢志摩サミットを始め、全ての関係閣僚会合の安全を確保することは、日本警察が全世界に対して負っている責任であります。また、この間を通じて、全国各地の重要施設、ソフトターゲットに対するテロ等の危険から国民の安全を守ることも、警察に与えられた必須の課題であると認識しております。このような観点から、皮切りとなります外務大臣会合に対しては、国内外における情報収集や水際対策を徹底するとともに、主会場はもとより、公共交通機関や大規模集客施設等の安全の確保の徹底を図る方針であります。このため、広島県警察においては、他府県警察からの特別派遣部隊約1,600人を含む約4,300人体制で警備にあたることとしております。広島県警察を中心に、全国警察を挙げて、警戒警備の万全を尽くす所存であります。

問 長官にお尋ねします。埼玉県朝霞市で、女子中学生の方が誘拐されまして、2年を経て東京都内で保護されたところで、男を逮捕して県警が今、事案の解明中だと思いますが、極めて重い事件かと認識しています。この間2年間、警察としても所在をつかめなかったという事実もあるわけですけれども、そこの点への受け止めも含め、この事件への所感をお願いします。

答 (長官)お尋ねの件については、平成26年3月10日、埼玉県朝霞市内において当時13歳の女子中学生が行方不明になり、埼玉県警察において、公開手配を実施するなどして、被害者発見に向けた捜査活動等を行ってきたものでありますが、本年3月27日、被害者からの110番通報によって、東京都内で被害者を保護するとともに、同月31日、被疑者を未成年者略取誘拐罪で逮捕したものであります。本件は、ご本人及びご家族に対して、許しがたい被害を与えた極めて悪質な犯罪であり、地域住民あるいは学校関係者、社会全体に大きな不安を与えた事件であります。今後、埼玉県警察において、徹底した捜査によって、事件の全容を解明する方針でありますが、その中で、被疑者がどのような手口で連れ去ったのか、どのようにして2年間も発覚を免れてきたのか、という点につきましても詳細を解明のうえ、このような事案を許さないために、警察としては何が必要なのかという点についても、十分に検討してまいりたいと考えております。