国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成28年4月21日(木)11:15~11:21

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。河野委員長は熊本のことで被災者生活支援チーム会合への出席のために途中退席されました。警察庁からは、平成28年熊本地震に伴う対応などについていろいろ報告がございました。

問 長官にお尋ねします。熊本県を震源とする地震について、警察隊や派遣隊の現地での活動状況など、警察のこれまでの対応と今後の方針について所見をお聞かせください。

答  (長官)今回の地震によりまして、現時点で、48名の方々が亡くなられていることが判明しております。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に対し、心からお悔やみを申し上げます。
 熊本県警察においては、発災後、34都府県から最大時約2,100人の警察災害派遣隊警備部隊の派遣を受けまして、多数の住民の方々の救出救助や避難誘導等の活動を行ってきたところであります。現在も南阿蘇村の土砂に埋もれた地域において、捜索・救助活動を懸命に継続しているところであります。本日は荒天のため、現時点では捜索を見合わせて、一部の部隊が山崩れ等の警戒に当たっていると承知をしております。
 また、現在26府県から約650人の交通部隊の派遣を受けまして、信号機が滅灯した交差点での交通整理や交通誘導、あるいは国道3号線等における渋滞緩和対策、また、生活支援物資搬送車両の先導等の交通対策を行っているところであります。
 さらに、空き巣等の被害が発生しておりますことから、これも他府県警察から特別自動車警ら部隊や特別機動捜査部隊の派遣を受けまして、パトカーによる被災地での警戒活動を24時間体制で実施するとともに、よう撃捜査のため、秘匿捜査車両十数台が、常時被災地域に展開しているところであります。また、警視庁及び他県警察から主に女性警察官からなる特別生活安全部隊の派遣を受けまして、避難所での被災者の方々の防犯相談等の対応に当たっているところであります。
 引き続き、全国警察からの必要な部隊の投入を継続いたしまして、依然連絡のとれない方々の捜索・救助に全力を挙げるとともに、不安な日々を過ごしておられる被災者の方々の安全・安心を確保するための取組に最大限の力を尽くしてまいりたいと考えております。

問 長官にお尋ねします。警察の取調べの録音・録画の状況、昨年度のものがまとまったところです。裁判員裁判対象事件で見ますと、事件数の9割ぐらいまできてますし、全過程を撮っているのも約半数まで伸びてきているふうではあります。今、審議中の法案が通りますれば、全過程が原則義務化ということになるわけですけれども、そういう意味ではまだ決して十分ではないのかなと思います。現状への御認識、それから機器の整備も含めて対応をどうされていくか、お聞かせください。

答  (長官)平成27年度中の警察における裁判員制度対象事件に係る取調べの録音・録画の試行につきましては、対象事件の9割を超す事件でこれが行われたわけでありますが、1事件当たりの平均録音・録画時間が21時間3分となりまして、対前年度比7時間3分、約1.5倍の増加となったほか、取調べ全過程の録音・録画を実施した件数についても、1,543件となって、対前年度比約2.6倍に増加するなど、各府県で、試行の目的や趣旨を踏まえまして、積極的な取組が行われているものと認識しております。
 他方で、今御指摘がありましたように、現在、国会で審議されている刑事訴訟法等改正法案、これは身柄拘束された被疑者を裁判員裁判対象事件で取り調べる際、原則として全過程の録音・録画を義務付けているところでありますが、全過程の録音・録画については、大幅に増えたとはいえ、平成27年度中でも未だ全体の約5割にとどまっているところであります。今後の制度化を見据えた場合、まずは、制度対象事件について確実に録音・録画を実施できるよう、更に努力をしていく必要があると認識をしております。
 さらに、録音・録画の機材についてでありますが、平成27年度末までに、新型の設置型機材約850台を含む約1,850台を全国で整備したところでありますが、取調室は全体で1万室以上あります。すべての裁判員裁判事件に対応するためには、今後さらに相当数の機材を整備する必要がございます。警察としては、引き続き積極的に試行に取り組むことにより、取調官の経験の蓄積や技能向上等に努めるとともに、録音・録画機材についても更に必要な整備を進めるなど、将来の録音・録画の制度化を見据え、所要の準備を進めてまいりたいと考えております。