国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成28年5月26日(木)11:50~12:01

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。議題事項につきましては、六代目山口組の指定の確認について説明があり、原案どおり決定いたしました。その他、警察庁から報告事項について報告がございました。
 今日開催されている伊勢志摩サミットに関して申し上げます。本日の朝までに、伊勢志摩サミットに出席するG7・EU首脳が全て来日し、先ほど、最初の公式日程として、各国首脳が伊勢神宮を訪問され、伊勢志摩サミット警備が正に本番を迎えることになりました。
 私も先ほどまで総合対策室に入りまして、伊勢神宮訪問の状況を確認しておりましたが、現在まで、日程は順調に進んでおります。引き続き、緊張感を持って、警備に万全を期してまいりたいと思います。

問 大臣にお聞きします。今もサミットについてお話がありましたが、ずっと長いこと準備を続けてきたサミットが、今日始まりました。明日にはオバマ大統領が広島を訪問されます。今のお話にもありましたが、最高レベルの警備が今現在進行中だと思います。改めて大臣の所見をお聞きします。

答 (大臣)伊勢志摩サミットは、先進国の首脳が一堂に会する、しかも国際テロとの戦いの先頭に立っている国が多いということでございますし、明日には、米国のオバマ大統領が現職の大統領としては初めて広島を訪問されるという歴史的な行事が続くサミットとして、世界中から注目を浴びておりますので、厳重な警備警戒が求められているという状況にございます。
 伊勢志摩、賢島周辺を始め、大勢の住民の皆様には交通規制、その他大変御不便をおかけしているところがございますが、御理解をいただき、なるべく御負担、御迷惑をかけないように配慮しながら万全な警戒態勢をしっかりとっていきたいと思っております。
 広島の外相会議の視察に行きましたときに、「外相会談の警備をしっかりやらなければ、オバマ大統領の広島訪問はないから」と言って発破を掛けましたが、本当にそれが現実にオバマ大統領の訪問が決まるということで嬉しく思っております。テロの関連の情報の収集・分析や、水際対策はしっかり続けておりますし、サイバー対策あるいはドローンの対策といったものも、新たな脅威としてしっかりと対策をとっております。また、現地だけでなく東京を始め全国各地の主要駅では警察官がしっかり警備をしておりますし、ソフトターゲットになりうる大規模な集客施設についても、厳重な警備をとっているところでございますので、全ての首脳が日本を離れるまで気を緩めずに、しっかり警備警戒を続けてまいりたいと思います。

問 大臣にお伺いします。六代目山口組の暴力団対策法に基づく指定が、今日、国家公安委員会が要件を満たしていると確認されたということであります。分裂した神戸山口組を含めて、最近の暴力団情勢、それから今後の対策についてお考えをお聞かせください。

答 (大臣)本年6月22日をもって六代目山口組に対する指定暴力団の指定の有効期間が満了することから、兵庫県公安委員会より指定の要件該当性の確認を求められました。本日、国家公安委員会において、その確認を行いましたので、速やかに所要の手続を経て、指定がなされるものと承知をしております。
 六代目山口組につきましては、先般指定暴力団に指定された神戸山口組との抗争が続いております。抗争状態にあると判断した3月7日から昨日まで、両団体の対立抗争の可能性のある事件が12都道府県で26件発生していると報告を受けております。そのうち銃器発砲事件が3件、火炎瓶のようなものが使用された事件も3件、車両が突入した事件に至っては5件発生をしております。被疑者を検挙した事件が6件、両団体の構成員等27人を検挙しております。
 神戸山口組を指定した4月15日以降、両団体の対立抗争の可能性のある事件の発生は1件のみになっております。
 3月7日以降、両団体に対する集中取締りにより、5月22日まで、全国で双方の構成員429人を逮捕しております。
 引き続き、神戸山口組、六代目山口組、両団体の取締りをしっかり徹底をすると同時に、この暴力団対策法を積極的に活用して、両団体の撲滅を図ってまいりたいと思っております。

問 長官にお伺いします。沖縄県うるま市で20歳の会社員の女性の遺体が発見され、元米軍の兵士だった男が死体遺棄容疑で逮捕されました。当初殺害について認める供述をしていたものの、その後黙秘に転じたという報道もありますが、この件につきまして捜査の状況等の所感をお伺いします。

答 (長官)4月29日、沖縄県うるま警察署において、被害女性の行方不明届を受理いたしまして、沖縄県警察において、関係者からの事情聴取、被害者宅周辺の捜索、防犯カメラ映像の確認などの捜査を実施するとともに、5月12日に、被害女性の公開手配を実施いたしまして発見に向けて全力を挙げてきたところであります。捜査の結果、5月19日、死体を沖縄県国頭郡恩納村所在の雑木林に遺棄したとして、米軍関係者の男、32歳を逮捕したところでありまして、その後、御遺体は行方不明となっていた被害女性であるということが確認されております。
 この事件は大変痛ましい悪質な犯罪であります。また、地域社会に大きな不安を与えたものであります。現在、沖縄県警察において、犯行動機、あるいは被害者が死亡した経緯を含めました事件の全容解明に向けて、捜査を尽くしているところであります。

問 長官にお伺いします。刑訴法などの司法制度改革関連法案が成立したところです。録音・録画が裁判員裁判対象事件の原則全過程に、それから通信傍受は組織的な詐欺や窃盗に対象が拡大されます。それから新たにいわゆる司法取引というのが入ることになりました。警察にとっても、捜査の在り方が変わる大きな動きかと思います。これから施行に向けていろんな取組が必要かと思いますが、どう適正に運用していくかということも含めまして、今回の法案の成立と、どう取り組んでいくかについてお願いします。

答 (長官)刑事訴訟法等改正法につきましては、5月24日、衆議院本会議において可決・成立いたしました。本改正は、取調べや供述調書に過度に依存しない新たな時代の刑事司法を目指すものであり、警察捜査についてもこの方向に向けて変革していくことが必要であると考えております。録音・録画につきましては、裁判員裁判対象事件について原則全過程を義務付けるものであり、それを前提とした取調べの力、取調べによる事案解明力でありますが、録音・録画の下でのそういう力が必要となります。また、通信傍受の合理化・効率化やいわゆる司法取引の一種であります合意制度の導入は、特に組織犯罪に対して、取調べ以外の手法によって、上位被疑者の関与も含めた事案解明を目指すものであり、有効かつ適正な活用が求められるものと認識しております。いずれの制度も、取調べへの過度の依存を排し、新たな時代の警察捜査を構築していく上で、非常に重要なものと受け止めております。警察としては、捜査現場を含めて組織全体でしっかりと受け止め、制度の期待するものを十分に実現するよう努力していく方針であります。