国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成28年6月16日(木)11:40~11:50

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議につきましては、警察庁から、犯罪被害者等給付金の裁定に対する審査請求事案の審理状況及び裁決について説明がございました。原案どおり決定をいたしました。このほか、警察庁から報告事項がいくつかございました。今日の定例会議の議題とは直接関係ございませんが、先の通常国会でアダルトビデオへの出演を強制される事案についての国会での御質問がございまして、そうした人権を蹂躙するようなことがあってはならないという答弁を、私いたしましたが、それに関連した事案の検挙がございました。アダルトビデオに出演を強制されるというようなことはあってはならないわけでございますし、警察は引き続きこうした事案について、あらゆる法令の適用を視野に入れて厳正に対処していくよう指導してまいりたいと思っております。

問 大臣にお尋ねします。米国のナイトクラブで銃乱射による痛ましいテロ事件が発生しました。改めてですが、国内のソフトターゲット対策について所見をお願いします。

答 (大臣)米国におけるテロ事案と言っても構わないと思いますが、イスラム過激派との関連性など、様々なことが取り沙汰されております。警察は関係機関と連携して情報収集に努めているところでございますが、まずこの米国の銃規制の緩さと言いますか、銃が野放しになっているということはこれまでも米国内でも様々指摘をされ、銃規制の必要性ということが議論されているにもかかわらず、米国の一部勢力の反対によって、この銃規制ができないというのは非常に残念なことだと思います。こうした事件を受けて大統領選挙でも両方からの議論ということになっているのかもしれませんが、米国に日本からも大勢の方が旅行に行くことを考えたり、あるいは米国内で日本人が大勢働いているということを考えると、これまでも銃で撃たれて亡くなったり怪我をしたという方がいらっしゃるわけでございますから、外国のことですと言っておしまいにするわけにはいかないだろうと思います。少しそういうことについては、我が国も意見を申し上げた方がいいのではないかと思っております。また、テロという視点から言うと、質問にもありましたけれども、ソフトターゲットをどのように警備をするのかというのはこれから非常に大きな課題だと思います。もちろん、2020年のオリンピック・パラリンピックを視野に入れると、これは非常に早急に対処していかなければいけないということでございますし、銃規制をしっかり続けていくということと、爆弾の材料になるような化学物質をきちんと抑えていく、あるいはテロリストの入国を水際で防ぐということを入管・税関と連携してやっていかなければいけませんし、不審者をどう見つけ出すか、どう発見するかということを考えると、防犯カメラと顔認証などの技術をやはり取り入れていく必要があるだろうと思います。それ以外の手法でソフトターゲット警備というのは非常に大人数必要となりますので、少しそうした技術を積極的に取り入れてソフトターゲットをしっかり守っていくということをやっていく必要があるのだろうと思いますので、テロ対策という視点から、これを対岸の火事と捉えずに、こうしたことが日本でも起こりうる可能性はありますので、しっかりとそれを未然に防ぐ体制の強化に努めてまいりたいと思います。

問 長官にお聞きします。昨年中の行方不明者の状況がまとまったところですけれども、認知症の方あるいはその疑いのある方の不明者が1万2千人超ということで過去最多になりました。社会全体で取り組んでいかないといけない問題かと思いますが、警察は関係機関との連携等強化していると承知していますけれども、今回の数字を含めての現状への御認識、取組についてお願いします。

答 (長官)平成27年中に認知症に係る行方不明届が出された方の数は、  12,208人になりまして、前年に比べて1,425人増加しております。1日平均に直すと33.4人ということになります。この届けの数は統計を取り始めた平成24年以降、年々増加しておりまして、今後も高齢化の進展によりさらに増加することが予想されます。これに対しまして警察としては認知症に係る行方不明者の発見・保護のための取組を強化しているところであります。昨年は所在確認された方が、12,121人ということで、前年比11.7%増ということになっております。警察の具体的な取組でありますけれども、届出の受理段階における認知症の特性を踏まえた詳細な聴取、それから迅速な広域手配、さらに警察犬を活用するなどした素早い捜索、各種取扱い時における幅広い照会等を徹底しているところでありますし、また、今お話ありましたが市町村等の関係機関、あるいはタクシー、コンビニ等の事業者などとネットワークを構築しておりまして、行方不明時に協働して早期発見に努めることとしております。市町村との関係で言いますと、防災行政無線のある地域の9割でこれを活用した捜索活動が行われるようになってきているということであります。また、関係施設・団体等に対して着衣への記名、あるいは名札の着装を促しておりまして、それに基づく発見にも努めているところであります。さらに各市町村から身元不明のまま保護している方々の写真等の提供を受けまして、全国の警察本部及び全ての警察署において、行方不明者の家族等、届出者の閲覧に供しているところであります。5月現在で全国の72名の方の写真及び資料がどこの警察署においても閲覧可能な状態となっております。さらに各種の取扱い時に認知症の行方不明者である可能性を正しく判断して適切な照会・保護ができるよう、警察職員に認知症サポーター養成講座の受講を促進しておりまして、例えば警視庁では、全職員の95%以上が既にこれを受講済みと承知しております。
 今後でありますけれども、2025年には認知症患者が約700万人と推計されておりまして、65歳以上の高齢者の5人に1人となるという予測が出ております。認知症の方々の生命・財産をどう守るかということは、こういった日本社会の現実に警察が的確に対応していくための大きな課題であり、徘徊等による行方不明者の発見・保護もその中の重要なテーマであると認識をしております。引き続き関係機関・団体と連携しつつ取組の強化に努めてまいる方針であります。