国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成28年7月7日(木)11:30~11:42

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   今日の国家公安委員会定例会議の状況につきまして申し上げます。警察庁から、バングラデシュ・ダッカにおける襲撃事件などについて報告がございました。この事件に関しましては、邦人が7名お亡くなりになり、1人が負傷されるということになりまして、犠牲になった被害者の方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、御家族に心から哀悼の意を表したいと思います。また、負傷された方の一日も早い御回復をお祈り申し上げたいと思います。大変非道であり、卑劣かつ許しがたいテロ行為が行われたことにつきまして、大変強い憤りを覚えるところであります。警察においては、関係国の協力を得ながら、適切に捜査を進めていくものと思っております。被害者や御遺族に対する支援につきましても万全を期すよう、警察を指導してまいりたいと思っております。
 それから本日、間近に迫っておりますリオデジャネイロ・オリンピック大会に警察の職員5名が選手として、また役員として3名派遣されることになったとの報告がございました。大変名誉なことであり、職員の励みにもなると思っております。射撃で、宮城県警の秋山さんがラピッドファイアピストル、神奈川県警の松田さんがエアピストルと50メートルピストル、警視庁の佐藤さんが女子のエアピストルと25メートルピストル、警視庁の朝長さんが女子の近代五種、ウエイトリフティングで警視庁の糸数さんが62キロ級、更に近代五種の監督と男女の柔道にそれぞれ1名ずつコーチとして派遣をされることになりましたので、皆さんの活躍を祈念したいと思っております。
 それから、報道にも取り上げられております、テスラの事故でございます。自動運転機能を使用中と、報道その他でネットなどでも取り上げられておりますが、今回は、自動運転というよりは安全運転を支援する機能を使っていたわけで、これは常に運転者が自分で安全運転できる態勢をとって走行することが大前提でございます。実は、今日報道にもありましたけれども、安全運転を支援する機能を使って走行していて、我が国でも2件事故が起きております。ブレーキの支援機能を使っておりましたが、追突をしてしまったということが2件ございまして、現在の自動車の機能は自動運転機能ではないということを少し強調し、注意喚起をさせていただきたいと思っております。今、付いているのは安全運転をあくまで支援する機能であって、100%人間が運転をしているという状況でなければならないわけで、それを様々に支援するという機能が付いているわけでございますから、少しテレビコマーシャルなんかを見ていると、危ないと自動的に止まるかのごとくのコマーシャルがございますが、現実には運転をする人間がきちんと万全の注意を払いながら、100%責任を持って運転をするという大前提で付けられている機能であって、この機能が付いているから気を緩めていいということではないということをしっかり注意喚起をさせていただきたいと思っております。

問 大臣にお尋ねします。冒頭にも御発言がありましたが、バングラデシュ・ダッカで重大なテロ事件が起きました。日本人も犠牲者が出ています。今後も国内外で日本人が被害に遭うテロ事件が危惧されます。今後のことも含めて再度所見をお願いします。

答 (大臣)先ほど申し上げましたように、非道かつ卑劣極まりないテロ行為の犠牲に邦人がなったということは、本当に残念でございます。
 警察では、7月2日午前4時50分に、国際テロリズム対策課長を長とする連絡室を設置し、午前7時30分、警備局長を長とする対策本部に改組をいたしました。その後、現地での情報収集のためのTRT-2要員を派遣し、3日には警察庁から全国警察に対して、国内におけるテロ対策の徹底を指示いたしました。7月4日には、警察庁長官の態勢の指示に基づいて、関係警察による合同捜査本部を設置し、7月5日には、検視及び司法解剖を実施してまいりました。今回の事件につきましては、被害に遭った方、またその御遺族への支援をしっかりやってまいりたいと思っております。
 今後につきましては、やはりソフトターゲットに対する警戒の重要性というのが明らかになったと思っております。防犯カメラの設置ですとか、警察官の巡回・警戒の強化、あるいは不審者等を発見したときの通報の御協力といったものを進めていかなければならないと思っております。
 昨年6月の国際テロ対策強化要綱を警察庁として策定しておりますので、これに基づいた、諸外国の治安情報機関との緊密な連携ですとか、入管・税関と連携して水際対策をしっかりやる、あるいはいざという時のための各種部隊の能力向上、事態対処能力の強化といったことに力を注いでまいりたいと思っております。
 いよいよ、リオのオリンピックが終われば次は東京でございます。4年というのは、その前年にラグビーのワールドカップがあるということを考えれば、極めて時間的な余裕はないと思わなければならないと思っておりますので、いかにソフトターゲットを含んだテロ対策を充実できるか、警察をしっかり指導してまいりたいと思っております。

問 長官にお尋ねします。佐賀県内の県立高校が管理するシステムに不正アクセスをしたとして少年が警視庁に逮捕された事件です。生徒の成績も含めて1万5千人分もの個人情報が保存されていたということで、教育現場での情報の管理、流出という問題・観点からも重要な事案であると思います。この事件についての所感をお願いします。

答 (長官)本件は、警視庁と佐賀県警察の合同捜査本部が、本年1月に佐賀県教育クラウドシステム及び校内ネットワークに不正アクセスして個人情報等を不正に入手した少年を6月27日に通常逮捕し、また、本年5月に校内ネットワークに不正アクセスした別の少年を6月21日に書類送致したものであります。
 本件は、佐賀県がICT利活用教育の一環として構築しておられます、教育情報システムに対して、管理者権限のID・パスワードを不正に使用したり、あるいはシステムの脆弱性を突いたりして不正アクセスを行い、生徒や教員らの個人情報に係る約21万件ものファイルを入手して、仲間と共有するなどしていたものでありまして、背景にはID・パスワード管理の甘さや脆弱性対策の不徹底があるものと思われます。
 現在、合同捜査本部において押収したパーソナルコンピュータの解析を進めるとともに、被疑者が犯行に至る経緯を含めた事件の全容を解明すべく捜査を推進しているところでございます。
 今後も同種事案の厳正な取締りを徹底するとともに、捜査の過程で判明した各種情報システムの脆弱性等に関する情報を警察からも積極的に提供して、関係省庁等と連携した被害防止対策を推進してまいりたいと考えております。