国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成28年7月14日(木)11:58~12:10

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。警察庁から、平成27年度実績評価書(案)等について説明がありまして、原案どおり決定いたしました。その他、警察庁から報告事項について報告がございました。これまで国家公安委員会は、議題案件と報告案件の2つに分けてやっておりましたが、少し警察に関する中長期的な課題を公安委員会の中でしっかり議論していく必要があるだろうという御意見もありましたので、議題案件、報告案件に加えて、中長期的な課題についてもしっかり議論をしていこうということにいたしました。これまでも東京オリンピック・パラリンピックに向けた警備態勢についてどうなのか、あるいは暴対法について様々な御議論が国内でもありますが、諸外国は例えばイタリアのマフィアですとか、あるいは犯罪集団について、どのような法制度があるのかということを警察庁に調査をしていただいて、それについて議論をする、結論がその場で出るわけではありませんが、少し中長期的な課題について公安委員会の中でしっかり議論をしていこうと、議題案件、報告案件に加えて中長期的な課題というのも取り上げて、今後ともしっかり随時議論していくことにいたしました。

問 大臣にお尋ねします。バングラデシュ・ダッカのテロ事件について、被害に遭われた方たちに特別給付金が支給されることになりました。この件について大臣の所見をお願いします。

答 (大臣)先の国会で成立した「国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律」、法律は成立しておりますが、まだ都道府県の条例などを作っていただかなければいけないので施行が少し先になります。一昨日の閣議決定で、今回こうした事件がございましたので、この法律が施行されるまでの間、政府において特別給付金という枠組みを作りまして、この法案の趣旨に沿って給付金を支給していこうということになりました。
 これはかつて、犯罪被害者の弔慰金の法律ができて、やはり施行までの間に、あれは新宿の西口でしたか、バスの事件がありまして、お亡くなりになられた方がいらっしゃって同様の措置をとりましたので、今回も関係省庁としっかり連携をしながら被害者の御遺族、あるいは被害者に寄り添った対応ができるように、しっかりやってまいりたいと思います。

問 大臣にお尋ねします。海外のサーバを利用した偽のショッピングサイトによる被害が相次いだほか、警察庁から国際的な非営利団体であるAPWGへの情報提供が始まります。こうした被害の現状への認識と、この取組に期待されることをお聞かせください。

答 (大臣)インターネットを利用している方にあたかも実在する企業の正規のサイトだというように信じ込ませて、代金を盗み取るというような偽サイトが存在しております。
 海外のサーバで開設されたものだけでも、平成25年12月以降、警察庁で把握しているものだけで1万5千件があるわけでございます。これまではウイルス対策のソフトウェア事業者にこうした情報を提供して、そういうサイトにアクセスをした場合に警告が出るようにしました。あるいはフィルタリングの事業者に対して情報を提供して、フィルタリングの機能を使ってブロッキングしてもらうということをやっておりましたが、今回、ウェブブラウザの事業者が国際的に立ち上げているAPWG、フィッシング対策ワーキンググループというところにも同様の情報を提供することにいたしました。これは特にウェブブラウザで「このサイトは危ない」という表示を出してくれるようになりますので、ウイルス対策ソフトを導入していないインターネット利用者に対しても一定の警告を出すことができるということになります。海外の偽サイトによる被害を少しは食い止めることができるのではないかと思っておりますが、一義的にはフィルタリング機能ですとか、ウイルス対策をしっかりとやっていただくというのが大事で、今回この提供を始めるから、ウェブで警告が出るからいいのだということには決してならないというところは気を付けていただきたいと思っております。消費者担当大臣としても、こういう消費者被害はかなりの件数に上るわけでございますので、国家公安委員会委員長としても、あるいは消費者担当大臣としてもこの情報提供により注意喚起をする手段が一つ増えるということでは非常に喜ばしいと思っております。繰り返しますが、フィルタリング機能やウイルス対策といったものをきちんとやっていただくのが大前提でございますので、それをやらなくていいということにはならない、ということはしっかり申し上げておきたいと思います。

問 長官にお尋ねします。東京都目黒区の公園の池で、高齢の女性の切断遺体が見つかる事件がありました。男を死体遺棄容疑で逮捕したようですけれども、経緯、動機等、未解明のところもあり地域社会に不安を与えている事件ですけれども、この事件について所感をお願いします。

答 (長官)お尋ねの事件でありますが、本年6月23日に東京都目黒区内の公園の池において、通行人の男性が遺体の一部を発見したものでありまして、その後、世田谷区内に居住する80歳代女性の御遺体が切断されて遺棄されたものであることが判明したものであります。
 警視庁において、防犯カメラ映像の確認、あるいは関係者からの聴取など所要の捜査を行った結果、7月9日、切断した死体を公園内の池に遺棄したということで、28歳の男を死体遺棄罪で逮捕したものと承知しております。
 本件は大変痛ましく、また、都心の閑静な住宅街で発生した極めて残忍な犯罪であり、地域社会に大きな不安を与えた事件であります。引き続き、警視庁において、犯行動機、あるいは被害者が死亡された経緯を含めた事案の全容解明に向けて、捜査を進めるものと承知しております。

問 大臣にお尋ねします。中長期の議論ですが、いつごろから始まって、まずどのようなテーマなのでしょうか。

答 (大臣)報告と議題案件だけで国家公安委員会が終わってしまっていいのかという問題提起が委員の中から出されまして、例えばサミットは無事に終わりましたが、東京オリンピック・パラリンピックに対する警備は場所も広範囲にわたりますし、期間も長期間にわたります。また、期間中の高速道路の専用レーンといった話も立候補ファイルにありますが、そのようなことが本当にできるのかどうかという問題もありますので、そうしたことをかなり前から様々議論をしていく必要があるのではないか、あるいはヘイトスピーチの法律が成立いたしましたが、それについて警察としては今後どういう方針で臨むのか、あるいは暴力団対策、今の暴対法だけでいいのだろうか、様々な警察に関わる課題というのがあると思いますので、そういうものについて、少し公安委員会の中でしっかり意見交換を警察庁の幹部、公安委員会の出席メンバーとその場でしっかり議論していくことが必要なのではないかということで、これまでも何度か様々な議題について説明を求め意見交換をやってまいりました。今後もしっかり議題、あるいは報告案件に加えて中長期的な課題を取り上げていこうということになりましたので、今後様々な課題を委員の中で取り上げてしっかり議論してまいりたいと思います。

問 公安委員会が終わった後、この会見の場で、どういった議論があって、どういうふうな方向性になったとか、そういったこともこの場でお答えいただけるのでしょうか。

答 (大臣)どういう課題を取り上げて、どんな議論をしたかというのは、おそらく議事録を公開するときにしっかり出してまいりたいと思っておりますが、あまり制約のない議論をしてもらいたいと思っておりますので、議事録その他の扱いについては少し公安委員会の中できちんとそれについてどうするかということを決めたうえで外へ出していくようにしていきたいと思います。