国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成29年3月2日(木)11:10~11:15

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。本日は、松本国家公安委員会委員長が欠席のため、私が会見を代理いたします。警察庁から、人事案件について説明がありまして、原案どおり決定いたしました。その他、警察庁から報告事項について報告がありました。以上です。

問 長官にお尋ねします。先週、相模原市の障害者施設での殺傷事件で、元職員の男が殺人罪等で起訴されました。これに関連して、28日には精神保健福祉法改正案が閣議決定されたところですけれども、警察における再発防止策としては地域の関係機関との連携がカギになると思いますが、事件の所見と今後の対応についてお聞かせください。

答 (長官)本件につきましては、何の罪もない多くの方々が犠牲となった大変痛ましい残忍な事案でありまして、二度とこうしたことが起こらないよう取り組んでいくことが重要であると認識しております。
 昨年12月に取りまとめられました事件の検証等チームによる報告書においては、再発防止策として、都道府県や市町村、警察、精神科の医療関係者等による協議の場を設置することなどが挙げられまして、御指摘のとおり、今般、閣議決定された精神保健福祉法の改正案には、地域での協議会の設置に関する規定がおかれたものと認識しております。
 警察におきましても、これらを踏まえまして、地域の関係機関等との連携を強化するなど、再発防止に向けた取組をしっかり進めてまいりたいと考えております。

問 長官にお伺いします。昨年1年間の生活経済事犯の検挙状況等がまとまりました。その受け止めと、今後の警察の取組についてお伺いしたいと思います。

答 (長官)平成28年における生活経済事犯の検挙事件数は8,852事件と横ばい状態にありますが、高齢者が狙われることが多い利殖勧誘事犯及び特定商取引等事犯につきましては、依然として多額の被害が発生しているほか、預貯金口座、携帯電話の不正取得等のヤミ金融関連事犯の検挙が増加しているところであります。
 生活経済事犯は、国民生活の安全と安心に大きな脅威を与えるものであることから、警察としましては、今後とも被害拡大を防止するため、早期の事件化を図るなど積極的な取締りを進めるとともに、口座凍結のための金融機関への情報提供等の犯行助長サービス対策を一層推進してまいりたいと考えております。
 また、営業秘密侵害事犯につきましても、検挙が増加しているところでありますが、各都道府県警察におきましては、指定された営業秘密保護対策官を中心にしまして、関係機関等と連携し、企業への啓発等をより一層強化してまいりたいと考えております。

問 長官にお尋ねします。昨年の犯収法の実施状況についてお尋ねします。いわゆる疑わしい取引の届出ですけれども、初めて40万件を突破しています。金融機関の取組の強化などが背景にあるようですけれども、この状況の受止め、それからマネロン等の対策について所感をお願いします。

答 (長官)疑わしい取引の届出受理件数は増加傾向にありまして、先ほどありましたように、平成28年においては、過去最多となった一昨年を上回る約40万件に達しました。これは、社会全体のコンプライアンス意識の向上に伴いまして、金融機関等が反社会的勢力や不正な資金の移動に対する監視体制を強化していること、金融機関等を対象とする研修会において、疑わしい取引の参考事例等を周知してきた効果が出ているといったことが背景にあるものと考えております。
 また、疑わしい取引に関する情報を端緒として都道府県警察が検挙した事件数も増加傾向にありまして、平成28年においては、過去最多となった一昨年と同水準の約1,000件となりました。
 これらのことから、官民一体となった犯罪収益対策が着実に推進されているものと認識しております。
 今後とも、犯罪組織の弱体化・壊滅、テロ資金供与の防止のために、疑わしい取引に関する情報の分析能力を向上させまして、その活用を促進するとともに、マネー・ローンダリング事案の検挙と犯罪収益の剥奪を強化するなど、犯罪収益対策のより一層の推進に努めてまいりたいと考えております。