国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成29年3月9日(木)11:05~11:13

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日は、松本国家公安委員会委員長が欠席のため、私が会見を代理いたします。国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。警察庁から、情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係国家公安委員会規則の整備に関する規則案について説明があり、原案どおり決定いたしました。その他、警察庁から報告事項について報告がございました。以上です。

問 長官にお尋ねします。平成28年の少年非行や児童虐待等の状況がまとまりました。現状認識と今後の警察の対応についてお聞かせください。

答 (長官)少年非行につきましては、平成28年における刑法犯少年の検挙人員は13年連続、同年齢層人口1,000人当たりの検挙人員であります人口比につきましては7年連続で減少しまして、ともに戦後最少を更新したところであります。
 一方、児童の権利を著しく侵害し、その心身に重大な悪影響を及ぼす児童虐待事件や児童ポルノ事件の検挙件数・人員、被害児童数は、いずれも統計を取り始めて以降最多となるなど、児童の被害の面では憂慮すべき情勢にあるものと認識しております。
  次代を担う少年の健全な育成は、大変重要であることから、関係機関やボランティア等地域社会とも連携した少年非行防止のための取組や、政府を挙げて取り組んでいる児童虐待防止対策や児童の性的搾取等の対策を、警察としても、一層推進してまいりたいと考えております。

問 長官にお尋ねします。12日に高齢ドライバーの認知機能検査を強化した改正道交法が施行されます。年間約5万人が認知症のおそれと判定される見通しとのことですけれども、診断に当たる医師の数や、高齢者講習の混雑など課題も指摘されてきました。これまでの取組と今後の円滑な施行に向けての所見をお聞かせください。

答 (長官)御案内のように、改正道路交通法によりまして、認知機能検査で「認知症のおそれがある」と判定された方全てに医師の診断が義務付けられるわけであります。
 改正法による医師の診断を必要とする方が、年間約5万人になると見込まれることから、これまで警察においては、医師会等関係団体に働き掛けを行いまして、診断体制の確保を図ってきたところであります。その結果、診断を必要とする方に紹介することを御了承いただいた医師は、本年2月末現在、約3,100人に上っているものと承知しております。
 また、高齢者講習につきましては、高齢化の進展による受講者の増加や教習所における実施体制等の制約から、時期や地域によりまして、予約から受講までの期間が長期となる場合があります。改正法によりまして、講習が高度化されますとともに、合理化も図られるということでありまして、1日当たりの講習回数の増加が見込まれ、また、一部の都道府県において、警察施設で講習の直接実施を行う予定であるなど、高齢者講習の円滑な実施に向けた取組が進められております。
 一方、医師の数の地域的な偏りなどもあるため、医師の確保に向け取組を更に進めますとともに、講習実施体制の充実にも努めるなど、今後とも、高齢運転者による交通事故防止を目的とした改正法の円滑な運用に努めてまいりたいと考えております。

問 長官にお尋ねします。東日本大震災ですが、間もなく6年が経ちます。まだ大勢の方が行方不明でいらっしゃいます。捜索を始め、様々な活動、取組を行っているところですけれども、これまでの大震災に対する警察の取組、それから福島県には特派を今、190人ぐらいですか、継続して出しているところですが、この福島への特派の考え方を含めまして、お聞かせください。

答 (長官)御案内のように、震災から6年を迎えますが、今なお2,500人以上の方が行方不明となっているほか、福島県では依然として避難指示区域の設定が続くなど、警察としましても大きな課題が残されていると認識しております。
 被災3県に対しましては、発災以降、全国警察から延べ136万人以上の警察職員を特別派遣し、また、延べ約2,000人が特別出向するなどして被災3県警察を支えてきたところであります。
 これまでに延べ66万人以上の警察職員が行方不明者の捜索を実施したほか、仮設住宅周辺で警戒警らなどを通じて、被災地の安全安心の確保を推進してきたところであります。その結果としまして、被災3県における刑法犯認知件数も、震災前と比較して38.8%減少し、年々減少率は大きくなっております。
 被災地の復興には、治安の確保がその前提になるという認識のもと、引き続き、各種警察活動を推進し、被災地の安全安心の確保に努めるとともに、 今後の大規模災害に備えて、広域緊急援助隊の対処能力の向上等、全国警察を挙げて万全な態勢の確立に全力を尽くす所存であります。
 被災県に対する特別出向でありますが、被災地の現状等を踏まえまして、平成29年度にあっては、福島県、宮城県警察に約150人の警察官が特別出向する予定であります。いずれにしましても、被災地の復興には治安の確保がその前提であるという認識のもと、引き続き、特別出向を含め全国警察が一枚岩となって各種警察活動を推進し、被災地の安全安心の確保に努めてまいる所存であります。