国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成29年3月23日(木)11:53~11:59

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。警察庁から、平成29年度国家公安委員会・警察庁交通安全業務計画案などについて説明があり、原案どおり決定いたしました。その他、警察庁から報告事項について報告がございました。私からは以上です。

問 大臣にお尋ねします。15歳以下の子供が死傷する交通事故について、詳細な実態調査、分析、対策が初めてまとまりました。この件についての所見と、来月、春の全国交通安全運動があります。総合的な交通事故対策について、大臣のお考えをお願いします。

答 (大臣)今年の春の全国交通安全運動は、子供と高齢者の交通事故防止を運動の基本に、歩行中・自転車乗用中の交通事故防止、後部座席を含めた全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底、飲酒運転の根絶の3つを重点として実施されます。
 新入学等の時期でもあり、子供の交通安全は重要な課題であることから、今回、警察庁におきまして子供の交通事故について分析したところ、歩行中の事故では7歳が、自転車乗用中の事故では16歳が、死傷者のピークとなっていること等が浮き彫りとなったところでございます。
 国民の皆様には、とりわけ小学1、2年生に対して、登下校時や帰宅後の外出時に、道路に飛び出さず、左右の自動車が止まったことなどをよく確認してから横断するよう、御指導をお願いしたいと思います。
 また、ドライバーの方には、学校付近の道路や通学路では、子供の飛び出しに注意するとともに、歩行者を守る意識を持って運転するようお願いしたいと思います。
 一方、通学で自転車を使う中高生、とりわけ高校1年生に対しては、登校時の事故、交差点等での出会い頭事故に十分注意するよう、指導をお願いしたいと思います。
 ドライバーの方には、自転車利用の多い地域で運転する際には、特に、出会い頭事故に注意するなど、慎重な運転をお願いしたいと思います。
 国民の皆様には、これを機に、交通安全の大切さを再認識していただき、交通事故の惨禍から大切な御家族を守っていただくようお願いしたいと思います。

問 長官にお尋ねします。平成28年中のサイバー空間をめぐる脅威の情勢がまとまりました。インターネットバンキングを通じた不正送金被害が減少した一方で、ネット上で攻撃対象を探索する行為が増加するなど、新たな脅威も浮き彫りになったと思います。所見をお聞かせください。

答 (長官)平成28年において、サイバー空間における探索行為は前年の2倍以上となり、警察が連携事業者等から報告を受けた標的型メール攻撃が引き続き増加しております。また、その不正プログラムの傾向に変化がみられるなど、攻撃の手口は巧妙化しております。
 また、先ほどお話にもありました、インターネットバンキングに係る不正送金事犯につきましては、件数、被害額ともに減少したものの、サイバー犯罪の検挙件数、相談件数はいずれも増加するなど、サイバー空間の脅威の情勢は依然として厳しいものと認識しております。
 警察においては、「警察におけるサイバーセキュリティ戦略」に基づきまして、各種取組を進めているところでありますが、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催も見据え、警察の対処能力を更に強化するとともに、関係機関や民間事業者、外国捜査機関と緊密に連携して、サイバー空間の安全・安心が確保できるように努めてまいりたいと考えております。

問 長官にお尋ねします。テロ等準備罪を盛り込んだ組織的犯罪処罰法の改正案がこの度、閣議決定されて国会に提出されたところです。これからの国会での議論が進んでいくところですが、テロ対策、あるいは組織犯罪対策に当たる警察の立場もありますが、今回の法案についての現時点のお考えをお願いします。

答 (長官)御案内のように、3月21日に、テロ等準備罪の創設等を内容とする組織的犯罪処罰法の改正案が閣議決定されたところであります。
 テロ等準備罪の創設によりまして、テロを含む組織犯罪が実行される前の準備行為の段階で処罰できるようになることは、テロを含む組織犯罪対策上意義があるものと承知しております。
 同法案につきましては、今後、国会において御議論いただくものと考えておりますが、法案が成立した場合には、法と証拠に基づいて適正に運用していくよう、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。