国家公安委員会委員長離任記者会見要旨

1 日時 平成30年10月2日(火)12:29~12:59

2 場所 警察庁第1会議室

3 概要   皆さんには大変お世話になりました。先ほど閣議が行われまして、大臣としての辞表を提出してまいりました。それが取りまとめられた次第であります。
 昨年の8月から、この職に就きまして、記者会見等で様々な御質問を頂戴し、足らないところもあったと思いますけれども、意義のある1年と2か月でありました。8月3日に就任したのが、この国家公安委員会委員長、そして国土強靭化担当、防災担当としてのそれぞれ大臣でありました。
 国家公安委員会委員長とすれば、再来年、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの大会の開催に向けた諸対策、あるいはサイバー空間の脅威への対処、児童虐待、ストーカー・DV事案等の人身安全関連事案等への的確な対処、暴力団関係、交通事故防止対策、挙げれば枚挙にいとまがありませんけれども、警察庁、あるいは地方の警察署の皆さんと共に、それぞれの対応に当たってまいりました。様々な仕事に接することがありましたけれども、まずは就任した翌月にフィリピン、あるいは衆議院の選挙中にイタリア、この4月にはカナダと、それぞれASEAN+3、中国、韓国を含めた国々との警察関係閣僚との会合、あるいはG7における、同じく警察、犯罪に関係する閣僚との会議に出てまいりました。その3つとも、国際協力活動として、これは許してはならないということで、更にこの対策に強い気持ちを持って対応しましょうということが確認されたところであります。
 特に、私たち日本は先ほど東京オリンピック・パラリンピックの話をいたしましたけれども、来年にもG20の国際会議、首脳が集まる、あるいはスポーツではラグビーのワールドカップもございます。外国のお客様が多くこの日本を訪れるということについて、一人でも多くの皆さんが不安なくこの日本は良い国だと思っていただけるように、その開催国としてのしっかりとした対応をしていかなければならないということを毎日のように確認をしながら当たってきたところであります。各国の皆さんと、先ほど申し上げたように、国際テロにしっかりと対応していこうという意味での共同声明を世の中に出すことができたということがありました。
 警察に入りまして、常々私が思った、あまり数字を頭に入れるのは得意ではないのだけれども、平成14年、認知された犯罪件数、これは285万件、15年経った平成29年には、これは91万件まで減ったという数が一番離れませんでしたが、要は犯罪が15年で3分の1になっていると、これはすごいことだなと最初は思いましたけれども、いろんな人にそれを訴えて、あるいはこんな努力をしてきたのだと、もちろんそれは警察の皆さんの努力も、国民の皆さんの努力もあったのです。報道される皆さんの力もあったと思いますけれども、多くの皆さんが3分の1になったって決して安心しているということではないということ。詳しく見てみると、例えば先ほど言いましたように、児童虐待とかストーカー、DV、オレオレ詐欺、特殊詐欺も含めて、力の弱い立場の人に向かって犯罪が起きているということを感じた時に、これは3分の1になったということは非常に大きな話だけれども、まさに弱い者に対する、その立場の人たちに対する犯罪だとか力の行使というものについては、昔からいけないと言われているものの、全体からすると減ったというものの、その中には多少増えているものがあるということがあった時に、更にこれからは政治家としてもこの減少、一つでも多く無くすということに力を尽くしていかなければいけないなということを感じました。そして何よりも私たちが国として、あるいは警察として力を尽くしていかなければなりませんけれども、そこに家族の絆の大切さであったり、仲間としての意識の大切さ、家族や仲間の中で、犯罪に手を染めてはいけない、例えばお酒を飲んだら車を運転してはいけないということから、そういった声を掛けていくということも、これは大変必要なことだなと。これはこれから地元に戻ることが多くなると思いますが、もちろん家族は当たり前ですけれども、後援会の皆さん等々にも国政報告等で知らせていきたい、そういった方々はまた自分の周りの人たちに広めていただきたいという思いで、政治活動として活動してまいりたいと思います。
 在任中、防災も含めまして、また後程お話しいたしますけれども、北海道から沖縄までいろんな各地、災害被災地を回ったり、被災地だけではありませんけれども、いろんな所へ参りました。
 特に、被災地では必ず防災服を着た自衛隊、消防はもちろん、警察の姿があり、西日本豪雨の時には33度、4度、あるいはそれを超えるような暑さの中、黙々と土砂、あるいは物を片付け、まだ安否の確認がされていない方々の捜索をしている警察の姿がありました。避難所を一人一人回っている女性警察官の姿がそこにありました。私たち政治家も、あるいは警察もそうでしょう、防災に携わる方々もそうでしょうけれども、やはり私たちはいろんなことをやりますけれども、必ずそこには皆さんも含めて非難をされる、批判をされると、これは当然のこととして受け止めなければいけないと思います。ですから、合言葉、掛け言葉のように、緊張感を持って各役所と各府省と連携して情報交換、情報共有するということを言います。ここで弱音を吐いてはいけないですけれども、24時間365日ずっと緊張感を保ち続けるのはなかなか難しい。だから、なかなか難しいということがあるからこそ、声を掛けていくと、緊張感を持ちましょうと、そういうことの掛け合いが、またどれだけ皆さんから評価をされるかどうかは分かりませんけれども、その連続が、その行いそのものが、治安でも防犯でも防災でもこれから役に立てば、更にその体制というものが強化していかなければいけないと、まず完璧ではないということを知るということ、そこから弱いところを評価していくということを常々の私たちの行いとして、これからやっていくべきだと感じました。そういう中で、警察に寄せる多くの国民の皆さんの期待というものは、これからもますます高まっていくと思います。
 富田林警察署で、アクリルボードを蹴破って出て行った被疑者がいるという報告を受けた時は、まさかと信じられませんでしたけれども、先日、土曜日に48日間の逃亡の末、捕まえることができました。その間の多くの国民の不安というものは、いかばかりかということでありますけれども、とにもかくにも、こういったことが更に起こらないとも限らない、起こしてはいけないという気持ちで当たっていかなければいけませんけれども、その捜査もしていただきながら、これをこの後のことにいかしてもらいたいと思います。
 国土強靭化、あるいは防災担当大臣といたしましても、様々することはございました。なかなか強靱化と防災ということを考えますと、人に説明するときはなかなか難しくて、強靭化というのは、これも防犯、治安と同じように、災害がいつやってくるか分からない、あらかじめそれに備えてしっかりとした、それに耐え得る国土をつくっておきましょう、強くしなやかにしておきましょうということ。つまり、災害についてどのように受け止めて、一人でも多く助けるためにはどうしたらいいかという思いを常日頃から持っておく、その辺の精神的にも、あるいはインフラ整備にしても、改めて私が説明するまでもないことでありますけれども、そういったことを強くしていきましょうということがなければいけないという思いでやってまいりました。国民の命を守るという目的は、つまり同じであるということでありまして、それに取り組んでまいりましたが、具体的には地方公共団体が地域の強靱化を総合的かつ計画的に推進するための国土強靱化地域計画が、ほぼ全ての都道府県で策定済みとなり、また、事業継続に積極的に取り組む民間団体として、合計125団体が認証を取得するなど、オールジャパンで取組が着実に進められているという感がございます。更にこれも進めていかなければならないことだと思います。そういう中で、私の在任、1年と2か月ほどですけれども、自然災害が多発されたのは皆さん御案内のとおりであります。最近では政府を挙げて、重要インフラについて、緊急の点検を開始したところであります。点検の結果等から、教訓を更に学び取って、年内に見直しが予定されている国土強靭化基本計画にしっかりと反映するなど、強靭な国づくり、このことを更に進めていくことに期待をしています。
 防災は国家の基本的かつ極めて重要な任務であるということは言うまでもない話であって、更に政府一丸となって、災害対策に全力を尽くしていかなければならない、大臣としてもそうですが、一議員としても、さっき地元に戻って家族はもちろん、選挙区の皆さんにもこの防災、強靭化の立場からも、いかに備えというものが大事かということを、一議員としても伝えていきたいと思っています。それが南海トラフ、あるいは首都直下地震、今後想定される大規模自然災害にも備えるということにもつながると思います。甚大な被害は想定される南海トラフ地震に関して、昨年9月にとりまとめられた報告を踏まえ、間隙を作らないための政府としての当面の対応について決定いたしました。
 また、今年3月には新たなワーキンググループを設置しており、具体的な防災対応について検討を進めてまいりました。今後とも、政府のみならず、地方自治体、企業等が、起こり得る災害を想定しながら、災害対策の取組を進めていくことが重要になります。
 在任中、色々ありましたけれども、改めて私たちはいろんなことが起こった中で感じるわけですけれども、特にこの1年の災害は、言い訳と捉えられたらこれは仕方ないのですけれども、想定外という言葉を、発信してはいけないという意識はこっちにはあるのですけれども、なにか想定外という言葉を発することそのものが責任を問われるというような、弱腰的な私どもの気持ちがそこにはあるのだけれども、被災地に行くと、例えば「10キロ離れた所で4年前、同じような土砂崩れがあったのだけど、37年ここに住んでいて、俺は他人事だと思っていたよ。」という人がおられました。あるいは、最初の九州の訪問地だったのですけれども、九州北部豪雨で、東峰村という所が福岡県にはありますけれども、同じような豪雨が去年の、更に5年前にあった所で、それを教訓に若い人たちがしっかりと計画を作って、特に一人住まいのお年寄りの担当を決めて、今度いつあるか分からないけれども、豪雨が来たらこれに備えようという話を東峰村の方から伺って、昨年の豪雨でそのお年寄りの命を助けることができたという話も伺いました。
 災害を何度か経験している人と、初めて経験した人の違いを被災地に訪ねて知ることができました。それはそのまま、私をはじめ、あるいはこちらにいらっしゃる警察の方々、あるいは防災担当、国土強靭担当部局の方々、多くのこの国を生きる我々に、そのまま当てはまる、あるいは我々の先輩たちから同じようなことは聞いてきたということを改めて知ることができました。話が大変に長くなりましたけれども、まだまだお話したいことはありますが、まだ皆さんと縁が続くようであれば、様々な機会でお話をしたいし、皆さんのお話も伺うことができれば次の活動にいかしてまいりたいと思います。
 まだまだ被災された方々の中で、つらい思いをされている方々がいるというほどに、今私のそういったことが胸の中にもございます。引き続き、一人でも多くの皆さんの不安を取り除くという活動を、警察、防災部局、国土強靭化担当部局として行っていただき、私も改めてその思いを強くして次のステップにつなげてまいりたいと思います。本当に話が長くなりましたが、この1年2か月、皆さんに本当にお世話になりましたことを心から感謝いたしまして、退任のあいさつに代えたいと思います。ありがとうございました。

問 大変お疲れ様でした。改めて国家公安委員会委員長として、1年2か月の御在任中で最も印象に残った出来事、あるいは印象に残ったテーマについてお聞かせいただきたいのと、やり残した、あるいはやり切れなかった感をお持ちの部分がもしあれば併せてお聞かせください。

答 印象に残ったことは、やはりさっき言いましたけれども、各被災地で警察だけではありませんが、あの暑い中を土砂を除去して、あるいは安否の確認できない方々の捜索に一生懸命当たられていたような、それも地元の方々だけではなくて、多くの地方警察の動員もされての活動が印象に残っていますし、これはもう絶対に許せない話ではありますけれども、新潟で起こりました小学校2年生の殺害事件、神奈川県の座間市での自殺をほのめかすような、SNSを利用した悪辣な事件等々、私が実際に捜査や捜索等に当たったわけではありませんけれども、こういったことがなくならない、この対処についてもどれだけ警察幹部、あるいは警察庁から地方の警察に対して様々な話があったことかということはあります。
 新潟県の少女の殺害事件においては、特に文科大臣や、総務大臣、厚労大臣等と横のつながりでこれまで付き合いを大切にしてきた方々でありますけれども、それは林文科大臣や野田総務大臣、加藤厚労大臣等々と閣僚会議を、松山大臣もいらしたかな、そういった方々と連携して、すぐに事務局を通じて地域に更なる見守りパトロールの強化をしていただきたいという要請して、その重要性を確認することができたということがありました。これは代表的なものでありますけれども、まだまだそういう無残な、残酷な犯罪というものはあってはいけませんけれども、常にやはり先ほど申し上げたように、緊張感を持って起こらないような努力をしていただきたいと思いますし、私も力を尽くしていきたいと思っています。

問 防災担当大臣として、特に印象に残っていることがあれば教えてください。

答 先ほどの話で話してしまったかもしれませんが、やはり自助、共助、公助という言葉がありますけれども、私たちは当然のように公の人間ですから公助という言葉を使ってというか、その立場にいる中で様々な被災に遭った方々の不安というものを取り除いていくこと、災害が来たら一人でも多くの方々をいかなる手段で助けていくかということ、不安を除くということですね。
 先ほど、福岡の東峰村の話をしましたけれども、ここはもう自助、共助の世界、これがいかに大切であるかということを、地域の方々が本当に感じていてくれていると、それを残念ながらその経験がないために、まず意識が高くない、この言い方というのはしかし難しくて、残念ながら経験がないためにというのは、災害というのはないほうがいいでしょう。災害がないところを残念ながらと言うと、これまたおかしな話だから、そういうところの言い方が難しいということなのですね。ないほうがいいじゃないか、だけど災害を経験した人は確実にそのもとで、備えという準備というものが心の中にあり、先ほど言ったように、お年寄りの方を救うことができたということを私に話してきてくれた。これは忘れられないですよ。災害はないほうがいいのだよ、だけれども体験というのはなかなかありがたいものもあり、嫌な思いだってたくさんあるのですけれども、そういったところから学んでいくというのは、実は私は野球をやっていましたけれども、小学校の頃からやっていましたけれども、そういう中でも同趣旨の同じような思いで教わったことがありますから。表現方法を人にいろいろ話すのは難しいですけれども、誤解をされないように上手い言い方で言っていくということなのだろうな。
 いつだったか高知県に行って、高校生の津波サミットだったかな、高校生サミットに行って、200人か300人くらいのホールで、津波に対する、強靭化ということに対する勉強会を学校が集まって。世にこの強靭化だとか津波対策というのを伝えた人が二階幹事長だと。二階幹事長と二人で行ってきて、去年の話だけれども、二階先生がいつものようにぶすっと後ろで座っているのだけれども、地震、雷、火事、親父という言葉を使ったのよ。ぶすっと後ろで怖い顔しているから、ちょっと高校生を笑わせてやろうと思って。昔から、怖いものを順に並べた、先輩から習った地震、雷、火事、親父だって。そしたら受けないんだこれが、高校生に。あまり受けてないけどね、ここでも。それぐらいもうその言葉が忘れ去られてしまっているというか、私も誰から教わったか分からないけれどね、そんな地震、雷、火事、親父なんていうのはね。だけども、そういう言葉が通じなくなってしまったかもしれないけれども、そこに多くの高校生が集まって、東日本大震災の話を学び、これから来る南海トラフについての勉強をし、そういったことが行われているということは非常にありがたい、正に自助、共助とも言える取組が行われた。その前の年に沖縄にも行って、同様の、これは日本国だけではなくて、他の島国の高校生も日本が招いて、強靭化について、津波について、防災について勉強されたということについては、今後も続けていってほしいと、ここに強靭化の皆さんにお願いをしておきます。

問 防災相としてお伺いしたいのですけれども、これまでの就任で見えてきた防災の課題をもしあればお伺いできればと思います。

答 ですから、もうお話をしたことに含まれると思います。我々は各省庁と緊密な連携をしましょうと、情報を共有しましょうとか、こういうことはもう口癖のように事務方からも、私からももちろん、総理からもまずは発信があるわけですけれども、365日24時間それが果たしてできているかというと、そうじゃないと。できていないじゃないかと声を荒げたことも私はあり、では自分でもできていたかということを振り返る時もありました。だからこそ、そういうことを確認する意味でも、平時からそういったことを言い続けておくということ。これは大切なことでもあり、課題でもあると思っています。
 先ほどお話ししたように、残念ながら災害というものを来るなとは言えても、確実にそうすることはできませんから、常に備えをしていかなければならない。備えをしていかなければならないけれども、それを経験した人と経験されていない人は、経験されていない人の方がそれは良かったのかもしれないけれども、次の何かあった時の行いということについて考えると、そこの意識の違いは出てきますから。だけども来ないほうがいいなと。来た時のために、やはり先ほど申し上げた高校生サミットのような教育というものを、高校生に限らず中学生、小学生、自然にそういったものが教えられるような地域の重要性というものを改めて感じています。