国家公安委員会委員長就任記者会見要旨

1 日時 平成30年10月2日(火)22:17~22:35

2 場所 警察庁第1会議室

3 概要   この度、国家公安委員会委員長、国土強靭化担当及び防災担当大臣を拝命いたしました山本順三でございます。政府の治安対策の責任者である国家公安委員会委員長という重責を担うことになりまして、大変身の引き締まる思いでございます。
 我が国の治安情勢は、刑法犯認知件数や交通事故死亡者数が減少傾向にある一方では、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を見据えたテロ対策の強化、新たな刑事司法制度に対応した警察捜査の構築、人身安全関連事案等への的確な対処、暴力団対策、交通事故防止対策、警察の災害対処能力の向上など、引き続き、対策を講ずべき課題が山積していると認識いたしております。
 良好な治安は、国民生活の基盤でございます。日本を世界一安全な国にするため、これらの治安上の諸課題への対処に全力を尽くしてまいります。
 国土強靱化についてでありますが、昨今、本年7月の西日本を中心とする豪雨災害、また、21号、24号、そしてまた25号も来つつあるという状況でございますが、一連の台風災害、さらに本年9月に発生いたしました北海道胆振東部地震をはじめとする多くの災害が、今、発生しているところでございます。これらの災害によってお亡くなりになられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げ、また被災された方々に心より御見舞いを申し上げます。
 今ほど申し上げた一連の災害に加えて、首都直下地震、あるいはまた南海トラフ地震の発生が大変懸念をされている状況でございますから、強靱な国づくりというのは私どもの喫緊の課題でございます。
 国土強靱化基本計画が策定されて今年で5年目であります。これまでに発生した災害等から得られた教訓・知見、社会情勢の変化等を踏まえて、年内に国土強靱化基本計画を見直し、国土強靱化をより一層加速化・進化させ、災害に強くしなやかな国づくりを進めてまいります。
 防災につきましては、国家の基本的かつ極めて重要な任務であると認識いたしております。政府一体となって災害対策に全力を尽くしてまいります。今ほど申し上げました多くの災害、これを鑑みた時に私ども政府といたしましては、発災直後から関係省庁一体となって、総力を挙げて応急対策活動を実施しなければならないし、また実施してまいりました。
 私どもも、愛媛県で西日本豪雨災害、大変厳しい被害状況でありましたけれども、国がしっかりと態勢を整えて、そしてその災害に迅速に対応していただくということを目の当たりにしてまいりました。この重要性というものを極めて感じたところであります。是非我々としても、発災直後から関係省庁一体となって、総力を挙げて応急対策活動を実施してまいりたいと存じております。
 また、各災害で激甚指定を早々に行っておりまして、今後、被災された方々の生活、あるいは生業の再建に向けた取組に全力を挙げてまいりたいと存じます。
 さらに、先ほども申し上げましたけれども、今後発生が予想される南海トラフ地震や首都直下地震といった大規模災害については、甚大な被害を軽減するために、関係者と連携した対策を推進しつつ、地震・津波防災の国民運動への展開を図っているところであり、その備えに万全を期してまいる所存でございます。
 災害の発生しやすい我が国において、災害対策を担当する大臣として、いつ起こるか分からない災害に備え、常に緊張感を持って職務に臨む決意でございます。
 最後に死因究明等の推進でございますけれども、関係省庁と連携して、引き続き死因究明等推進計画に基づく施策を推進してまいりたいと思っております。
 安倍内閣の一員として、精一杯努めさせていただく所存でございますので、どうぞ皆さんよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。

問 国家公安委員会委員長に就任されて、改めて抱負をお聞かせください。

答 今ほど、ちょっと申し上げましたけれども、政府の治安対策の責任者である国家公安委員会委員長という重責を担うということは、大変身の引き締まる思いでございまして、国民の安全を確保するために、治安の確保に全力で取り組んでまいりたいと思っております。

問 先ほどのお話にもありましたけれども、2020年の東京オリンピック・パラリンピックが2年後に開催されますけれども、国際テロ、あるいはサイバー攻撃も懸念されています。警察として、大会の成功に向けてどのような対策を講じていくのかお考えをお聞かせください。

答 これ、実は総理からも東京オリンピック・パラリンピックを含めて、大きな大会であったり、イベントであったり、行事が2019年、20年と続いていくわけでありまして、そういった意味においてのテロ対策というものは、しっかりと対応してもらいたいというお話もございました。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、今ほど申し上げた厳しい国際テロ情勢の下で、国際的に最高度の注目を集める行事でございまして、開催国としての治安責任を果たす必要がございます。
 このような認識の下で、警察におきましては三つ、一つは外国治安情報機関等との緊密な連携等による情報収集と分析、それから二つ目、関係機関と連携した水際対策、それから三つ目、サイバー攻撃の発生を想定した官民連携の強化など、各種対策の強化を推進しているものと承知いたしております。
 大会の成功に向け、引き続き関係機関と緊密に連携しつつ、各種対策に万全を期するよう、警察を指導してまいりたいと思っております。

問 警察においては、児童虐待をはじめ、ドメスティックバイオレンス、ストーカーなどの人身安全関連事案による被害の防止が求められている状況ですが、警察としてどのような対策を講じていくのかお聞かせください。

答 これも大変重要な案件でありまして、児童虐待、DV、ストーカー等の人身安全関連事案は、事態が急展開して重大事件に発展するおそれが高く、国民の安全で安心な生活を脅かす重大なものであると認識しておりますし、様々な事件も今、起こっているような状況であります。
 こうしたことから、被害者の安全確保を最優先に、関係機関等との連携の下で諸対策を推進していくよう、警察を指導してまいりたいと思っております。この連携ということが、非常に重要なポイントだろうと思っております。
 特に児童虐待は、児童の心身に重大な悪影響を及ぼすものであり、政府の緊急総合対策を踏まえ、児童相談所との連携を図りつつ、取組をしっかりと進めてまいりたいと思っております。

問 このところ、交通事故の死者数は減少傾向にあるわけですが、死者数の更なる減少に向けて、警察としての取組、対策についてお聞かせください。

答 交通事故死者数は、一時本当に交通事故で亡くなる方が非常に多かったことを、私も子供心に年々死者数が増えていくという状況を見ておりまして、大変に心を痛めておりました。
 政府と関係機関・団体が一丸となって、そしてまた、国民一人一人が、交通事故防止に積極的に取り組んできたことによって、当時と比べると昨年の交通事故死者数は、警察庁が保有する統計で最少ということになりました。
 しかしながら、今なお多くの尊い命が失われていることには変わりはございません。
 交通事故のない安全で安心な社会の実現は、国民全ての願いであり、政府の重要な課題でございます。
 私といたしましても、子供や高齢者に対する交通安全教育、それから悪質・危険な交通違反の指導取締り、高齢運転者の事故防止対策、自動運転等の先端技術の普及・活用等の対策を一層強力に進めるよう警察を指導してまいりたいと思います。
 特に最近、あおり運転が非常に我々にとっても関心が深く、これは撲滅をしていかなければならないと思いますし、また将来課題として自動運転の安全対策というものも、これは技術を推進していく立場と、それから安全を守っていく立場、両面から対策を講じていかなければならないと思っておりまして、大変重要な課題であると思っているところでございます。

問 先ほど大臣のお話にもありましたが、ここ最近、豪雨や地震などの災害が相次ぎましたが、警察の災害対処能力の向上にどのように取り組んでいくのかお聞かせください。

答 まずは、今ほども申し上げましたが、平成30年7月の豪雨、それから北海道胆振東部地震等の災害によってお亡くなりになられた方々に対し、御冥福をお祈りするとともに、御遺族に対して心からお悔やみを申し上げます。また、被災された皆様方に御見舞いを申し上げたいと思います。
 これは私も今回、特に災害対応に奔走した者の一人でありますけれども、各地域の皆さん方の声を聴くと、警察の皆さん方、もちろん自衛隊とか、あるいは消防とか、各メンバーが連携プレーを取って、本当に命がけで被災された方々を救出していくということを目の当たりにいたしました。
 そういった意味におきましては、今後、警察で大規模災害が発生した場合に、速やかに被災情報の収集を行うとともに、警察災害派遣隊を被災地に派遣し、関係機関と連携して、避難誘導や救出救助を実施していくものと承知いたしております。
 今後とも、訓練を是非継続して実施するとともに装備資機材の充実により、災害対処能力の向上を図り、災害に適切に対応できる態勢の確立に努めるように、警察を指導してまいりたいと思っております。

問 防災担当の部門のことでお伺いしますが、この一連の災害では、事前に災害に関する情報が出ていたけれども、それがなかなか避難につながらなかったという現状が続いていると思うのですが、どういう部分が問題であると、大臣御自身が地元の方でも被災された部分があると思うのですけれども、そういうところを回られてどういうふうにお感じになっているのかお願いします。

答 防災というのは、ハードとソフトがあるのですね。例えば河川を改修していく、そのためにどういうふうな国土の強靭化をしていくかというハード面の対応と同時に、ソフト面で今言ったように、例えば避難勧告が出る、あるいは避難指示が出る、その時に避難をしていただけるように我々は努力を皆さんと一緒にしてきたわけでございますけれども、なかなかそれが通じない場合がある。過去の事例から考えると、こんな大きな水害が起こったことはないのだというような確信の下に、お逃げにならない場面も一部ございました。ですから我々としては、例えば避難勧告と避難指示という、その重さ自体が一般の国民の皆さん方に完璧に伝わっているというふうにも思えない面もございましたので、そんなことを踏まえてしっかりと各所、そしてまた行政とそれから住民の皆さん方との意思の疎通がしっかりと図れるような、そういう努力を今まで以上にしていかなければならないということを痛切に感じております。
 今回の災害において、いろんな被害が各所で出ておりますけれども、どうしてそういう被害が起こったのかというその検証をして、それを積み上げて、その積み上げの結果として防災にいかしていくということが大変重要である。これはそのとおりでありまして、何が課題でこのような災害になったのかということを検証していくことが非常に重要だと思っています。
 8月31日に、中央防災会議の下に有識者等から成る、避難に関するワーキンググループ、これを設置したところでございますので、今後、避難対策の強化についてしっかりと検討してまいりたいと思っております。