国家公安委員会委員長就任記者会見要旨

1 日時 令和2年9月17日(木)10:06~10:27

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   改めまして小此木八郎です。この度、国家公安委員会委員長、防災担当、国土強靱化担当、海洋政策担当及び領土問題担当大臣を拝命いたしました。
 国家公安委員会委員長を拝命するのは2度目であります。国家の治安維持の重い責任を担っております。改めて身の引き締まる思いであります。
 現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止に、政府を挙げて取り組んでいるところでありますので、私としても、引き続き、所管の事項について最大限の取組を進めてまいります。
 さて、我が国の治安情勢でありますが、私が前回国家公安委員会委員長の職にあった際、刑法犯の認知件数が3分の1まで減少をしていたことを印象深く覚えています。
 その後も減少傾向を維持していることは、大変良い傾向でありますが、オレオレ詐欺をはじめとする特殊詐欺、児童虐待、配偶者からの暴力事案等の被害は、依然として深刻であります。また、サイバー空間は国民の生活に不可欠な基盤となっており、デジタル化の推進は、この内閣の重要政策であります。総理からは特に、運転免許証のデジタル化について強い指示が私に対してございました。同時に、サイバー空間の安全確保も、これも進めていく必要がございます。
 こうした治安課題に的確に対処し、国民の安全・安心、これを皆様が実感できるように、諸対策に全力を尽くしてまいります。
 このほか、2020東京大会の開催等に向けた諸対策、交通事故防止対策、警察の災害対処能力の向上等々、引き続き、対策を講ずべき課題が山積しているものと認識しております。
 良好な治安は、国民生活の基盤であります。日本を「世界一安全な国」にするため、これらの治安上の諸課題への対処に全力で尽くしてまいります。
 防災担当及び国土強靱化担当についても2度目の拝命となりました。防災は国家の基本的かつ極めて重要な任務であり、総理からも強い指示がございました。政府一体となって災害対策に全力を尽くしてまいります。
 一方で、災害への対応は、様々な立場の方の知恵や力を結集して初めて奏功するものであり、国民や現場の声に耳を傾け、自助・共助・公助、これらによる災害に強い国づくりが進むよう努めてまいります。
 私の前回の在任中も、平成30年7月豪雨、台風第21号、北海道胆振東部地震など、大きな災害が相次ぎましたけれども、近年、災害が激甚化、頻発化する中、昨年も房総半島台風や東日本台風、本年に入ってからは令和2年7月豪雨、台風第10号など、一連の災害で甚大な被害が発生いたしました。これらの災害により亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。
 政府としては、発災直後から関係省庁一体となって、総力を挙げて応急対策活動を実施してまいりました。引き続き、被災された方々の生 活・生業の再建に向けた取組に全力を挙げてまいります。
 今後発生が危惧される南海トラフ地震や首都直下地震といった大規模災害については、甚大な被害を軽減するため、関係者と連携した対策 を推進しつつ、地震・津波防災の国民運動への展開を図っているところであり、その備えに万全を期してまいります。
 また、国土強靱化についても、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を着実に推進するとともに、3か年緊急対策後も中長期 的視点に立って計画的に取り組み、災害に屈しない国土づくりを進めてまいります。
 本格的な台風シーズンの中で、コロナ禍においても自然災害への対応を適切に実施できるよう、緊張感をもって職務に臨む決意であります。
 海洋政策につきましてですが、我が国は四面環海の海洋国家であり、世界有数の管轄海域を有しています。海洋の安全保障、産業利用、環境保全、人材育成、資源開発などの取組を強化していくことが重要です。平成30年5月に閣議決定された、第3期海洋基本計画に基づき、政府一丸となって海洋政策に取り組んでまいる所存であります。
 また、有人国境離島については、政府・地方が一体となって、その保全と地域社会の維持に関する施策を引き続き強力に推進します。
 領土問題につきまして、北方領土問題を担当する北方対策本部と連携し、また、竹島の領土問題及び尖閣諸島をめぐる情勢に関して、国内外において我が国の立場についての正確な理解が浸透するよう、外交政策等との整合性を確保しつつ、領土・主権展示館を拠点として、内外発信の強化に努めてまいります。
 カジノ管理委員会についてですが、IRを支えるカジノへの厳格な規制という、これまで我が国に存在しなかった全く新しい業務を担う機関であることから、委員会がその使命と任務を果たすことができるよう、適切に対応してまいります。
 内閣の一員として、精一杯努めてまいる所存でございますので、改めて何とぞよろしくお願いいたします。

問  冒頭大臣からございましたように、約2年ぶり、2度目の国家公安委員会委員長御就任であります。前回の御経験をどういかしていくかという点も含めまして、抱負について改めてお聞かせください。

答  今回、特にですね、コロナ禍において、その対策の途中で、総理大臣が交替するということでですね、対策そのものは政府において引き続き行われてまいりましたが、国民からすればですね、止まってしまったのではないかというような不安な気持ちも現実にはあったと思います。
 しかし、引き続き行ってきた対策を信用あるものとして、その不安を取り除いていかなければいけませんし、まず収束に向けた努力を国家公安委員長、防災担当大臣だけでなく政府一体となって進めていくということが第一義であると、この内閣の重要性を認識しております。そういったことについては、しっかり働いてまいりたいと思います。

問  来年、今もございますけれども、東京オリンピック・パラリンピック開催が予定されているところです。今お話あったように、新型コロナウイルス感染状況を踏まえながらの開催ということになっていくかと思います。大会に、こうした状況の中で、警察として、どう取り組んでいくか、お考えをお願いします。

答  残念ながらですね、開催が来年ということになったわけで、万全な警備態勢等々していけるように準備をしているものと思いますし、改めて着任をしました私も、更にその点での理解を深めながら万全を期したいと、このように思います。
 特に、先ほど申し上げたコロナ禍ということは、今年に入って、今までにない経験でありますが、その今までにない経験の在り方の対象の中で、新たな取り組みと言いますか、いろんな工夫、アイデアを持って国務に当たっているということも実際にございますので、そういったこともいかしながら、国民の皆様の期待に応えられるよう、万全な態勢をとりたいというふうな思いがあります。

問  今のコロナ禍に絡んでですけれども、例えば持続化給付金ですか、不正受給等コロナに絡んだ新たな手口の犯罪等も起きているところであります。その、コロナによって社会情勢あるいは治安情勢、変化しているところでありますけれども、そうした中で警察、今の治安対策・状況についてどのように対応していくのか、その点のお考えをお願いします。

答  先ほど申し上げたように、このコロナの感染症の拡大防止対策というのは、言ってみれば日本で初めてのことであり、経験がないことの中で、持続化給付金、これはいろんな議論の末に国民の皆様に必要不可欠なものとして、そういう環境を作りましたが、これに関わる詐欺というのはとんでもない話であって、まさに国民の不安や窮状につけ込む悪質な手口であります。断じて許すことはできない。
 そして、社会全体で「新しい生活様式」の定着というのが求められているとともに、様々な場面でオンライン化が進展してサイバー空間の利用が拡大するなど、大きく社会が変容していく中で、先ほど申し上げた、これはいろんな工夫とアイデアで、新しいサイバー空間の利用、あるいは利便性が広がっている中で、犯罪情勢にも影響が生じてくる可能性があると、これは危惧しております。警察においては、こうした動向を的確に把握した上で、必要な防犯対策を講じるとともに、悪質な犯罪の取締りを徹底するなど、国民の安心安全の確保に万全を期してまいる所存であります。

問  先ほど委員長からも言及ありましたけれども、児童虐待、DVとか依然として深刻な状況にあります。警察として、被害の防止に向けて、どのような対策を講じていくのか、お考えをお聞かせください。

答  児童虐待、配偶者からの暴力事案等については、事態が急展開して重大事件に発展するおそれが高いというふうに認識しています。 このため、警察においては、被害者等の安全確保を最優先に、関係機関等と連携しつつ、認知の段階から所要の体制を確立した上で、組織を挙げて迅速かつ的確に対応しているものと承知しております。 関係機関と緊密に連携し、被害者等の安全確保を最優先とした取組に全力を尽くしてまいります。

問  今年も7月豪雨が起きるなど、近年大きな災害が相次いでいます。警察の災害対処能力の向上という点において、どのように取り組んでいかれるのか、お考えをお聞かせください。

答  今年の夏を含め、近年、広範な地域で豪雨や台風による甚大な被害が生じています。大規模な自然災害が相次いで発生しています。
 また、今後発生し得る南海トラフ地震、首都直下型地震等の大規模災害にも十分な備えが必要である、ここずっと数年、私たちが抱いていたことでありますけれども、こうした中で警察は、即応態勢の確保、関係機関と連携した訓練、装備資機材の充実強化、これらの諸対策に取り組んでいくことが求められます。こうした対策を通じ、対処能力の更なる向上を図ることで、国民の安全の確保に万全を期してまいりたいと思います。

問  防災担当、国土強靱化担当としてお伺いします。コロナ禍の防災というところで、新たな課題というのも出てきていると思うのですけれども、コロナ禍での防災担当として、意気込みをお聞かせ願えますでしょうか。

答  今年も、その災害そのものが激甚化、頻発化、既にそういった勢いをですね、残念ながら見せられている中で、併せて言われたように、今までにないコロナというですね、感染防止対策をしていかなきゃなりません。熊本で大雨がありましてですね、1,000人近い方々が避難されています。そういったところも感染が非常に心配されましたが、今のところ感染者が出ていないと聞いております。その地の様々な工夫があったんだと思います。こういったところをですね、様々な努力を防災担当大臣といたしましても、政府としても、しっかりと把握をして、別のところでも、災害そのものを止めることはできませんが、最小限に食い止めながらですね、感染拡大防止対策も、一つの経験値としてですね、他のところでも対処できるように、心構えをしておくということは重要だと思います。

問  7年8か月ぶりの、長期政権が変わったり、時代の節目とも言える内閣ですけれども、昨日閣議もやられて、なおかつ再任だったり留任だったり、顔なじみの方も多いと思うのですけれども、内閣の雰囲気、どういう雰囲気だったでしょうか。

答  先ほど申し上げたように、コロナ禍の、今までにない、経験のない対策を今実行しているところでありました。国民と接するときに、その不安が、ますます感じられるときが毎日だと思うのですけれども、今回の新しい内閣も、昨日の閣議では緊張感を持った雰囲気が私自身感じられたところであります。

問  領土問題担当相としてお伺いをしたいと思います。尖閣の関係なのですけれども、前任の衛藤大臣はですね、5月に中国漁船が日本の漁船を追尾した際に、映像の公開の検討について言及されました。今後、こういった事案が起きたときに、どのようなことを検討されるお考えはあるか、また、基本的な尖閣を巡る問題について考え方をお聞かせください。

答  映像の公開についてはその都度その都度でですね、やはり国の中や、あるいは外に影響のある重要な問題につながるおそれがありますので、慎重にもですね、しかし、我が国の領土が侵されている、我が国の領土は我が国のものであるという認識は、基本に持っておかなきゃいけませんので、尖閣諸島はじめ、様々な領土がございますけれども、これは、内閣の担当大臣としても、更に歴史的なことも含めまして、様々な形で国民に発信していくことが重要であると、このように認識しております。

問  カジノ管理委員会の関係でお伺いいたします。IRについて国の基本方針がまだ策定されていない状況ですけれども、大臣として策定に向けてどう取り組まれるか、お言葉いただけますでしょうか。

答  カジノ管理委員会については、様々なですね、在り方、国民の皆様からも注視されていると、このように思っています。その中身の準備も検討が進められているという、私の認識であります。

問  海洋政策についてお伺いします。コロナの影響で、前の武田大臣の時に病院船の導入が検討されておりまして、今年度の補正予算で調査費が盛り込まれました。9月にも調査が始まるという一報もございまして、今後の取組状況等、御所感教えていただけたらと思います。もう1点はですね、海洋政策なのですけれども、海洋状況把握等、防衛とか海洋情報について含めるという政府の方針もございまして、今後の取組についても教えていただければと思います。

答  前の着任時に、アメリカからですね、「マーシー」という病院船が日本に停泊したことがありまして、そこに乗船をいたしましてですね、船内の内容を見させていただきましたので、その話だと。それと同時に、その病院船が日本に必要かどうかという話を伺いました。その時はまだ、必要であるというような私の答えは、必要であるという認識の方々にはしっかりとお答えはしなかったのですけれども、関係府省が分担・連携をしてですね、病院船の活用の可能性、病院船に必要な機能、平時や危機対応時における運用オペレーション等について調査検討を進めてまいりたいと思っています。
 海洋基本計画等に基づき、我が国として海底資源開発が戦略的、計画的に進展するよう、これまた、関係省庁とも密接な連携の下、取り組んでまいりたいと思います。