国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和3年4月22日(木)12:21~12:28

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件については、犯罪インフラ化するSMS認証代行への対策等がございました。以上です。

問  大臣にお願いいたします。春の交通安全運動が6日から15日まで実施されました。期間中には交通事故の死者がゼロになった日もあったみたいですが、今回の運動の評価について、お願いいたします。

答 (大臣)我が国では、長らく、交通安全に対する取組が皆様の協力の下で行われてまいりましたが、悲惨な交通死亡事故の発生がやむ日はありませんでした。
 しかしながら、お尋ねのとおり、本年4月8日に、1日ごとの交通事故統計が残る昭和43年以降初めて交通事故による死者がゼロとなりました。
 こうした日を春の全国交通安全運動期間中に迎えることができたのは、全国交通安全運動が、国民の交通安全意識を高める気運を醸成する機会として広く受け入れられ、実践されていることの現れであると考えられ、引き続き、このような日を積み重ねていけるよう交通事故防止対策を推進し、政府の目標とする「世界一安全な道路交通の実現」に向けて、取り組んでまいりたいと存じます。

問  長官にお尋ねします。JAXA等に対する大規模なサイバー攻撃がありました。それに絡んで、警視庁公安部が中国籍の男を書類送検したところです。この攻撃には、中国の人民解放軍が関わっているとみているとのことですが、本事件の内容、受け止め、そして、こうした事案への警察としての対応も含めて、お考えをお願いします。

答 (長官)お尋ねの件は、平成28年から29年までの間、合計5回にわたり、住所、氏名等の情報を偽って日本のレンタルサーバの契約に必要な会員登録を行ったものですが、この事件について、4月20日、警視庁が、中国共産党員の男を被疑者として東京地方検察庁に書類送致したと承知しております。
 本件事案を通じて契約された日本のレンタルサーバは、JAXA等に対するサイバー攻撃に悪用されました。
 その後の捜査等を通じて、被疑者・関係者の供述をはじめ数多くの証拠を積み上げることにより、約200の国内企業等に対する一連のサイバー攻撃がTickと呼ばれるサイバー攻撃集団によって実行され、当該Tickの背景組織として、山東省青島市を拠点とする中国人民解放軍戦略支援部隊ネットワークシステム部第61419部隊が関与している可能性が高いと結論付けるに至りました。引き続き、事案の全容解明に向けて、捜査を推進してまいりたいと思います。
 なお、サイバー攻撃への対応は、経済安全保障を含む国家の安全保障・危機管理上の重要な課題であると認識しており、今回の送致に当たり、攻撃の背景組織を特定するまでに至ったのは非常に意義深いものと考えております。外国の治安情報機関からも強い関心が示されているところです。
 サイバー攻撃の対処には、被害の未然防止及び拡大防止の観点から、情報共有をはじめとする官民の連携が極めて重要であると考えております。こうしたことから、私自身も、昨日、経団連の会合での講演においてサイバー攻撃の手口や有効な対策についても説明をさせていただいております。
 今後とも、全国警察のネットワークを駆使して官民の情報共有を推進するとともに、政府内の関係機関や外国治安情報機関とも連携しながら、被害の未然防止及び拡大防止を図るほか、警察の持つ捜査力を駆使してサイバー攻撃の実態解明・取締りを強力に推進してまいります。

問  長官にお願いします。先ほど大臣からありましたSMS認証代行ですが、犯罪インフラ化しているということで、警察庁は都道府県に対し、取締り強化を指示したと聞いています。この問題への御認識、警察の対応をお願いします。

答 (長官)SMS認証は、インターネットで提供されるサービスの認証手段として広く使用されております。SMS認証の代行は、なりすまし等による認証を可能とするものであり、また、サイバー犯罪や特殊詐欺を助長させているものと認識しております。
 このような情勢を踏まえ、令和2年度に開催されたサイバーセキュリティ政策会議においても、SMS認証代行に関して法令違反があった場合の摘発強化等が提言されるなどしております。
 そこで、警察庁においては、業界団体に対し、SMS機能付データ通信契約に係る本人確認を要請するとともに、都道府県警察に対して、SMS認証代行等に関して法令違反があった場合の取締り強化を指示したところです。
 今後とも様々な犯罪のインフラとなっているSMS認証代行への対策にしっかりと取り組んでまいります。