国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和3年6月24日(木)11:03~11:11

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件については、令和4年度における警察庁組織改正構想、令和2年における行方不明者の状況等がございました。
 来年度の警察庁組織改正構想について、説明をいたします。
 新型コロナウイルス感染症を契機とした社会のデジタル化に伴って、サイバー空間における被害の潜在的リスクが拡大しているほか、国家を背景としたサイバー攻撃の発生や悪質なマルウェアを用いた攻撃手法の拡大等、サイバー空間をめぐる脅威は、極めて深刻な情勢にございます。こうした情勢を踏まえ、この度、警察庁の組織の改正について、所要の検討を行うことといたしました。具体的には、警察庁にサイバー局を設置するとともに、一定のサイバー事案について捜査を行うための組織を設置し、サイバー事案への対処能力の強化を図ることとしております。
 併せて、社会のデジタル化を背景として、警察における情報化等を推進するため、長官官房に技術政策を総括する組織を設置することを検討しております。
 なお、この度の新たな組織構想については、国民の皆様に丁寧な説明を行っていくよう、本日、指導をいたしました。
 警察においては、引き続き、社会のデジタル化と深刻化するサイバー空間の脅威に的確に対処し、国民の安全・安心の確保に努めてまいります。私からは以上です。

問  大臣にお願いします。先ほど言及のありました組織改正ですが、背景には現在のサイバー空間をめぐる情勢があると思われますが、サイバー空間の脅威への対策を警察として今後どのように進めていくべきと思われるか、御所見をお願いいたします。

答 (大臣)デジタル化の進展に伴って、サイバー空間が、広く国民が参画する重要な公共空間へと進化を遂げていく一方で、サイバー空間における脅威は極めて深刻だと、これまでもお話をしてまいりました。
 国民が安心して暮らせる社会を実現するためには、サイバー空間に実空間と変わらない安全・安心が確保されていなければいけない、これは不可欠なことだと思います。
 警察においては、引き続き国民が安心して参画できるように、サイバーセキュリティ対策の取組を抜本的に強化するため、今回の組織改正による体制の見直しを含めて、組織の総合力を発揮した対策を推進していくということであります。その際に国民に対して丁寧な説明を行うことが必要だということを指導しました。

問  長官にお尋ねします。今大臣からありました来年度の組織改正の構想についてです。サイバー局と直轄隊をつくるということですが、この構想の概要について改めて長官の方からお願いします。また、特に今回、直轄隊というのは、警察庁が自ら捜査する組織ということで、捜査は都道府県警が担うという、これまでの警察の在り方とは少し違うと言うか、踏み出すと言うか、そういうことだと思います。その点も含めて、今回の構想の狙い・意義について、長官のお考えをお願いします。

答 (長官)大臣からも御発言がありましたとおりですが、警察庁では、令和4年度を目指して、社会のデジタル化等を背景とした警察における諸課題に対処するための組織改正に向けた準備を進めてまいりたいと考えております。今回の組織改正構想では、サイバー事案への対処能力の強化を図るため、警察庁にサイバー局等を設置するとともに、デジタル化施策をはじめとした技術政策を総括する組織を設置することとしております。
 昨今のサイバー空間をめぐる情勢は、新型コロナウイルス感染症の拡大等を契機としたサイバー被害の潜在的リスクの拡大、悪質なマルウェアを用いた攻撃手法の拡散、国家を背景としたサイバー攻撃の発生等、極めて深刻なものとなっております。新たに設置するサイバー局においては、サイバー事案に関する情報収集、分析、対策等を一元的に、より効果的に進めてまいります。
 これに加えて、管区警察局に、重大なサイバー事案については自ら捜査を行う組織を設置いたしたいと考えております。
 また、長官官房に設置することとなる技術政策を総括する組織では、現在の情報通信局が有する技術的な専門知識の一層の活用を図り、共通基盤の整備をはじめとするデジタル化施策を強力に推進いたします。
 この構想は、社会のデジタル化と深刻化するサイバー空間の脅威に対応するため、平成6年に生活安全局を設置して以来の大規模な組織改正を目指すものです。警察としては、引き続き、国民の安全・安心な暮らしを確保するため、こうした体制の見直しを含めた各種取組を進めてまいります。

問  大臣にお尋ねします。昨年の行方不明者の状況ですが、総数は減っています。一方で、認知症の方の行方不明者は増加傾向にあり、今回も増えております。この点も踏まえて、今回の行方不明者の状況の受け止めと、警察としての対応について、お考えをお願いします。

答 (大臣)行方不明者の届出受理件数は、近年おおむね横ばいで推移しておりますが、令和2年は前年と比べて約1割減の約7万7,000件でありました。これは、統計の残る昭和31年以降、最少の件数です。
 他方認知症による行方不明者については、統計を取り始めた平成24年以降、増加を続けており、令和2年も平成24年以降最多の約1万7,600件でありました。
 認知症による行方不明事案については、今後も増加が見込まれることから、認知症の方の御家族はもとより、自治体、事業者等と密接に連携を図りながら、地域社会全体で取り組むことが重要と認識しています。
 今後とも、行方不明者の発見・保護活動が、自治体等と連携されつつ適切に行われるよう、警察を指導してまいります。