国家公安委員会委員長就任記者会見要旨

1 日時 令和3年6月25日(金)19:00~19:24

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   私から、まずは御挨拶をさせていただきます。この度、国家公安委員会委員長、防災担当、国土強靱化担当、海洋政策担当及び領土問題担当大臣を拝命いたしました棚橋泰文でございます。
 現在、新型コロナウイルスの感染拡大の防止に、政府を挙げて取り組んでいるところでありますが、私といたしましても、引き続き、所管の事項について最大限の取組を進めてまいります。
 国家公安委員会委員長は、国家の治安維持の重責であり、身の引き締まる思いでございます。
 まず、2020年東京大会の開幕が間近に迫っており、同大会の安全かつ円滑な開催に向けた対策に万全を期す必要があります。
 我が国の治安情勢は、刑法犯認知件数の総数は継続して減少しておりますが、特殊詐欺、ストーカー、配偶者からの暴力、児童虐待等の被害は、依然として深刻であります。また、サイバー攻撃が国内外で多数発生するなど、サイバー空間における脅威は極めて深刻な状況であり、サイバーセキュリティ確保のための取組を的確に進めていくことが求められております。
 このほかにも、デジタル化施策の推進、交通事故防止対策、災害対処能力の向上等、対策を講ずべき課題が山積しているものと認識しております。
 申すまでもなく、良好な治安は、国民生活の基盤であります。日本を「世界一安全な国」にするため、こうした治安上の諸課題に的確に対処し、国民が安全・安心を実感できるよう全力を尽くしてまいります。
 また、防災担当大臣及び国土強靱化担当大臣といたしましては、防災は国家の基本的かつ極めて重要な任務であると認識しており、政府一体となって災害対策に全力を尽くしてまいります。
 この1年でも、令和2年7月豪雨、昨年度の大雪や福島県沖を震源とする地震等、一連の災害で甚大な被害が発生いたしました。これらの災害により亡くなられた方々に、改めて哀悼の意を表するとともに、被災された方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。
 政府としては、発災直後から関係省庁一体となって総力を挙げて、応急対策活動を実施してまいりました。引き続き、被災された方々の生活・生業の再建に向けた取組に全力を挙げてまいります。
 また、先の通常国会において、災害対策基本法等の改正により、災害時における円滑かつ迅速な避難の確保及び災害対策の実施体制の強化が図られたことも踏まえ、激甚化、頻発化する自然災害にしっかりと対応してまいります。
 さらに、今後発生が危惧される大規模地震については、甚大な被害を軽減するため、関係者と連携した対策を推進しつつ、地震・津波防災の国民運動への展開を図っているところであり、その備えに万全を期してまいる所存でございます。
 本格的な梅雨や台風シーズンを迎える中、コロナ禍においても自然災害への対応を適切に実施できるよう、緊張感をもって職務に臨む決意です。
 現在、台風5号が日本列島に接近しておりますが、近年水害等による甚大な被害が発生しております。また、首都直下型地震や南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝地震の発生も懸念される中、国土強靱化は喫緊の課題でございます。
 「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の推進をはじめとした国土強靱化の取組を着実に進め、国家百年の大計として、災害に屈しない「強さとしなやかさ」を備えた国土づくりを進めてまいります。
 海洋政策についてでございますが、我が国は四方を海に囲まれた海洋国家であり、世界有数の管轄海域を有しております。海洋の安全保障、カーボンニュートラル、産業利用、環境保全、人材育成、資源開発、海洋調査等の取組を強化していくことが重要です。
 平成30年5月に閣議決定された、第3期海洋基本計画に基づき、政府一丸となって海洋政策に取り組んでまいる所存であります。
 また、有人国境離島については、政府・地方が一体となって、その保全と地域社会の維持に関する施策を引き続き強力に推進いたします。
 領土・主権問題につきましては、北方領土問題を担当する北方対策本部と連携し、また、竹島の領土問題及び尖閣諸島をめぐる情勢に関して、国内外において我が国の立場についての正確な理解が浸透するよう、領土・主権展示館を拠点として、内外発信の強化に努めてまいります。
 また、重要土地等調査法につきましては、法の施行に向けた体制を早期に整備しつつ、必要な予算要求や、下位法令の検討、国民の皆様への周知・広報等を着実に行い、同法施行後、速やか、かつ、着実に土地等利用状況調査等を進めてまいります。
 カジノ管理委員会についてでございますが、IRを支えるカジノへの厳格な規制という、これまで我が国に存在しなかった全く新しい業務を担う機関であることから、委員会がその使命と任務を果たすことができるよう、適切に対応してまいります。
 内閣の一員として、精一杯努めさせていただく所存でございますので、浅学非才ではございますが、何とぞよろしくお願い申し上げる次第でございます。まず、私からは以上でございます。

問   冒頭御発言ございましたが、国家公安委員会委員長に御就任されての抱負を、改めてお願いします。

答  冒頭申し上げましたように、2020年東京大会の開幕も間近に迫っており、同大会の安全かつ円滑な開催に向けた対策に万全を期す必要がございますが、何よりも、国の治安というのは、国民にとって1番大事なものであり、当然のことながら、国民の生命、財産を守っていくことは、政府の最低限、そして最大の義務でございます。それが警察庁、あるいは各自治体警察において適切に行われるよう、国家公安委員会委員長として、全力を尽くしてまいりたいと思っておりますが、皆様方から更なる多様な御意見も頂ければありがたいと思っております。

問   今ほどお話もございましたが、東京オリンピック・パラリンピックが目前に控えております。警察は大会に向けての警備等に当たっていくわけですが、大会の安全な開催に向けて警察としてどう取り組んでいくか、大臣のお考えをお願いします。

答  これまで警察においては、警備、交通等の諸対策について十分な準備を重ねてこられたと私は理解しております。しかし、大会までまだ時間がございますので、大会に向けた準備を着実に進めていただき、来月の開催に向けて、計画を詰めて、全国の警察が一丸となって、開催国としての治安責任を全うし、安全・安心な大会の実現に寄与するよう、私からも警察を指導してまいりたいと思っております。

問   これも言及がございましたが、サイバー空間の脅威への対応です。警察庁は、ちょうどこのほど、来年度の組織改正で、サイバー局の設置を含む、改正の構想をまとめたということもございます。警察はサイバー空間の脅威への対応も担うわけですが、この空間の安全確保にどう取り組んでいくか、お考えをお願いします。

答  デジタル化の推進に伴い、サイバー空間というのは、もうある意味では、皆様方御承知のように、全ての国民が参画できる、正に公共空間のようなものでございます。当然のことながら、警察の役割は、国民が安心して暮らせる社会を実現するものであり、サイバー空間の安全・安心を担保しなければこれが実現できない、という私も強い危機感を持っている次第でございます。
 御承知のように、これまでの犯罪と違い、サイバーに関する犯罪は、都道府県、あるいは地域との関連性が、これまでのタイプの犯罪よりは弱いといえます。また、外国政府の関与があったり、組織的背景があったり、あるいは個人的な犯行である場合等、事案の性質によって、これまで生活安全部門と警備部門が分担して担当してまいりましたが、やはり初期の段階では、どのような事案かが分かりません。早いうちに対策を講じるためには、サイバー局を設置して、サイバー犯罪に対応していくことも、御承知のように、警察庁において考えているところでございます。サイバー空間における安全を確保することは、国際的にも非常に重要な課題でございますが、我が国において、これをきちんと担保することによって、デジタル社会を着実に実現し、国民の皆様がデジタル社会、データ・システム利用社会の便利さを享受していただくために、努力してまいりたいというふうに思っております。

問   現在、警察においては、様々な手続のオンライン化・デジタル化が進められていると承知しています。その警察におけるオンライン化・デジタル化についての取組について大臣の御所見をお願いします

答  私は本日閣僚に任命されるまで、与党自由民主党の行政改革推進本部長を務めておりましたが、昨年は特に、デジタル庁を含め政府のデジタル化のために、私どもも努力をさせていただきました。その中で、警察においては、デジタル化について大変前向きに取り組んでいただいていると理解しております。
 まず、手続のオンライン化の試行的な取組として、一部の手続をオンラインで行うことができる「警察行政手続サイト」の運用を6月から開始していただいたと承知しております。
 何よりも、警察庁においては全国の警察で活用する共通基盤を整備し、各種情報システムを集約化するとともに、非常に利便性を高めるマイナンバーカードと運転免許証の一体化の準備をスピーディに進めているものと理解しております。
 そういったデジタル化の取組を通じて、国民の皆様方からみた利便性を更に高めていくと同時に、警察業務の合理化・高度化を進めていくよう、警察庁を指導していきたいと思っております。

問   特殊詐欺についてお伺いします。警察庁では、特殊詐欺対策を本年度から組織犯罪対策部門に移管しました。依然として大きな被害が出ているこの特殊詐欺にどのように取り組んでいくのか、大臣のお考えをお願いします。

答  特殊詐欺の問題については、私も大変深刻な懸念を持っております。いろいろな形で広報をさせていただいておりますが、残念なことに特殊詐欺については、依然として高齢者を中心に大きな被害が出ており、深刻な情勢であるというのは御指摘のとおりだと思っております。
 特に、お尋ねの問題の背景には、暴力団等が特殊詐欺に深く関与しているという実態もございますので、警察庁においては、特殊詐欺対策を一層強力に推進するために、本年4月から、特殊詐欺の捜査に関する事務を知能犯捜査部門から組織犯罪対策部門に移管したというふうに理解しており、このような形で、より特殊詐欺に対応できるような体制を組んでおります。
 警察においては、特殊詐欺の撲滅に向けた取締りを組織を挙げて推進するとともに、やはり関係省庁、事業者、さらには高い発信力を有する著名な方々とも連携しながら、広報啓発活動等、これがやはり大事でございますので、被害防止対策を強力に推進し、また、そのように指導してまいりたいと思っております。

問   今日又は昨日、どのタイミング・段階で総理から大臣就任の連絡があって、大臣と総理は同期だと思うのですが、そこでどのような会話があったのか、教えていただけますか。

答  本日、総理の下に午前10時に参らせていただきました。小此木前大臣が大臣を辞任するということで、不肖私が、国家公安委員会委員長及び小此木大臣が所管をしていた防災対策、国土強靱化、海洋政策、領土問題担当の大臣に就任することについて総理からお話を頂き、先ほど認証式も経て、補職もいただいたところでございます。
 これらの問題は、当然非常に重要な問題だというふうに思っております。今申し上げたように、まず国の根幹は治安の維持です。警察の皆様方はそれを一生懸命やってくださっていますが、例えば、特殊詐欺等犯罪の高度化あるいは巧妙化といった中でいかに犯罪を抑制するか、起こさせないかという観点から、国家公安委員会委員長として何ができるかということに全力を尽くしてまいりたいと考えております。また、内閣府の担当大臣としてそれぞれ担当する、今申し上げた分野についても、例えば、防災対策であるならば、残念なことに我が国は、台風あるいは梅雨前線等々の被害がここのところ続いておりますが、こういった問題の被害を少しでも少なくするために、私も政治家として全力を尽くしてまいりたいと思っております。

問   総理からは、どのような具体的なお言葉で頼まれたのでしょうか。

答  以上のようなことをきちんとやってほしいというふうに、私は総理から御指示を受けたと理解しております。

問   もう1点、東京オリンピックまで1か月を切った段階での就任となりましたが、影響だったり、準備には影響はないのでしょうか。

答  国家公安委員会委員長でございますので、特に治安維持に関連するものではないかと考えておりますが、これまで小此木前大臣の下で、警察においては、東京大会の安全かつ円滑な開催のために、9か月にわたり、警備、交通等の諸対策の推進に努力し、前大臣も国家公安委員会委員長として指導されてこられたと思っております。そういう意味では、大会に向けた準備は着実に進められていると思っておりますが、まだ日にちがございます。来月の開幕に向けて計画も詰めの段階になっておりますので、全国の警察が一丸となって、開催国としての治安責任を全うする観点から、安全・安心な大会の実現に寄与できるよう、私からも更に警察を指導してまいりたいと思っております。

問   重要土地規制法案について伺います。大臣として今現在、法の意義というのをどう考えていらっしゃるのかと、今後、内閣府での審議会設置等の組織改編等、様々な場面が待っておりますが、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか。また、国会審議を通じて、私権制限等に懸念も示されておりますが、この点についてどう対応されていきますか。

答  重要土地等調査法については、御承知のように、先の通常国会で成立したとおりでございます。そして、その問題意識においては、安全保障という観点から、土地等の利用をどのように管理するかということは国会でも地方議会でもこれまで十分に議論されておりましたし、国民の関心も非常に高い問題であるというふうに私は認識しております。それらを踏まえた上で、今般の法律の成立を受けて、これまでの国会での御議論、附帯決議等を踏まえた上で、法の施行に向けた準備はしっかりやっていきたいと思っております。
 具体的には、施行日・政令の検討、あるいは新組織の検討と当然予算要求、また、国民の皆様方への更なる周知と広報、そして基本方針の策定等、やるべきことがたくさんございますので、この重要土地等調査法が成立したという国会の意思を、きちんと行政の場においても受け止め、進めてまいりたいと思っております。
 その中で御懸念のあった私権の制限でございますが、本法律が恣意的に運用された場合、過度な私権制限が発生するのではないかという御心配かというふうに思っておりますが、この法律は御承知のように、運用に際しての政府の恣意性を徹底的に排除するために、閣議決定する基本方針に本法の意義、あるいは区域指定、調査の基本的考え方について、可能な限り具体的に定めてまいります。また、国民の皆様に対して透明性を確保していくことが必要不可欠だと思っておりますので、本法律を正確に御理解いただくための周知の徹底、それから、法施行に向けた準備を、先ほど申し上げたようにしっかり進めていくことで、そのような御懸念が晴れるようにしていきたいと思っております。さらには土地等利用状況審議会の審議内容についても、安全保障上の問題や個人情報の問題がない限りにおいては、できる限り公開したいと考えており、このような形で透明性を確保した執行の在り方についても前向きに検討してまいりたいと思います。こういったことによって、後段の御質問の御懸念にはお応えしていきたいと思っております。