国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 令和4年2月3日(木)11:56~12:02

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。二之湯委員長が国会対応のため、私が会見を代理いたします。案件については、令和3年の犯罪情勢等がございました。以上です。

問  長官にお尋ねします。今、小田委員からありましたが、昨年の犯罪情勢がまとまったところです。刑法犯全体は減少傾向が続いています。街頭犯罪の減少等が目立っていると思われます。一方で、重要犯罪は横ばい、中でも、例えば、略取誘拐等増えている罪種もあります。コロナの影響が犯罪情勢に影響している部分もあるのかもしれませんが、今回の犯罪情勢への受け止め、警察としての取組についてお願いします。

答 (長官)ただ今御質問がございましたとおり、近年、刑法犯の認知件数の総数としては継続して減少しておりまして、令和3年におきましても前年に引き続いて、戦後最少を記録しているという状況にございます。
 しかしながら、一部罪種については増加傾向にあるということでもございますし、また、ストーカー、DV、あるいは児童虐待等、刑法犯の認知件数の推移だけではなかなか捉えられない情勢というのもあろうかと思います。また、社会のDX化が進んで、業務や取引において、データをオンラインで取り扱う機会が増加する中で、サイバー犯罪・サイバー攻撃の被害・影響といったものが拡大するおそれがあるのではないかということについても、十分に留意していかなければなりません。そういったことを踏まえますと、犯罪情勢としては、やはり依然として予断を許さない、厳しい情勢にあると認識をしているところでございます。
 引き続きまして、犯罪情勢の分析の高度化にしっかりと取り組ませていただきまして、また、そうした分析の結果に基づいた、実効性のある対策を立案し、その推進を図ってまいりたいと考えているところでございます。

問  長官にお尋ねします。令和3年の特殊詐欺の認知・検挙状況についてですが、被害額は減りましたが、認知件数は4年ぶりに増加に転じました。特に、還付金詐欺は、前年に比べて約2倍と深刻な状況です。今後の対応について、お聞かせください。

答 (長官)特殊詐欺につきましては、令和3年中は、前年に比べ被害総額は減少いたしましたが、還付金詐欺の増加を要因としまして、全体の認知件数は増加に転じ、依然として深刻な情勢にあるという認識でおります。
 特に、今、御指摘もありました、増加が認められます還付金詐欺につきましては、抑止と取締りという両面から各種の対策の強化が必要と認識をいたしておりまして、本年の1月25日には、警察庁と金融庁とが連名で、全国銀行協会等の関係業界団体等に対しまして、「ATMでの携帯電話の通話は、しない、させない」という取組の推進やATM設置場所での警戒活動の実施等の対策への協力を依頼したところでございます。
 また、被害認知直後から関係都道府県警察が連携をして、迅速な初動捜査を実施することは非常に重要でございまして、一層効果的に取締りが行われるように、警察庁としても指示をいたしたところでございます。
 引き続き、還付金詐欺をはじめとする特殊詐欺の撲滅に向けて、官民一体となった取組を一生懸命取り組んでまいりたいと考えております。

問  長官にもう1問お願いします。先週、警察法改正案が閣議決定されたところです。サイバー警察局等の設置を盛り込んでいますが、これから国会の審議が始まる段階です。今回の改正案の狙い・意義を改めましてお願いします。それから、サイバー警察局やサイバー特別捜査隊の4月の設置を目指しているわけですが、準備状況等を含めましてお願いします。

答 (長官)最近におけます深刻なサイバー空間の脅威の情勢を踏まえまして、サイバー事案への対処能力を強化するために、警察庁にサイバー警察局を設置するとともに、重大なサイバー事案の捜査を行うサイバー特別捜査隊を関東管区に設置するなど、必要な組織改正を実現するための警察法改正案が、先般、閣議決定をされまして、今国会に提出されたというところでございます。
 この組織改正によりまして、サイバー事案の厳正な取締り、あるいは国内外の関係機関との連携を更に推進いたしまして、サイバー空間における一層の安全・安心の確保を図ってまいりたいと考えております。
 また、サイバー警察局、サイバー特別捜査隊は、警察法改正案の成立後、速やかに設置されることと考えておりますが、現在、サイバー分野における警察全体の重点業務方針を示す「サイバー戦略」の策定のための準備、あるいは、サイバー特別捜査隊の編制のための様々な準備等必要な作業を鋭意進めているところでございまして、引き続き、組織改正の実現に向けた準備に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。