国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 令和4年3月3日(木)11:51~11:58

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。二之湯委員長が国会対応のため、私が記者会見を代理いたします。案件については、令和3年における交通事故の発生状況等などがございました。以上です。

問  長官にお尋ねします。愛知県の自動車部品メーカーに対するサイバー攻撃がありました。トヨタ自動車等の生産が一時期止まる深刻な事態になったわけですが、今回の事案に関しての警察の対応について、お考えをお願いします。

答 (長官)トヨタ自動車は、取引先の部品会社がサイバー攻撃を受けたということで、3月1日、国内の全14工場の生産ラインの操業を停止したほか、日野自動車及びダイハツ工業も、同日、国内工場の操業を停止したと承知いたしております。
 本件につきましては、警察において、関係者からの情報収集等、所要の対応を行っているところでございます。
 また、本件に関連いたしまして、3月1日に、警察庁を含む関係省庁で、連名で注意喚起を行ったところでございます。
 その中におきまして、サイバーセキュリティ上のいわゆるインシデント発生時の対処としてお願いしているところでございますが、実際に情報流出等の被害が発生していなかったとしても、不審な動きを検知した場合は、早期対処のために速やかに所管省庁、あるいはセキュリティ関係機関に対して連絡をしていただくとともに、警察にもご相談いただきたいということでございます。
 引き続き、サイバー攻撃の厳正な取締りを推進するとともに、その実態解明を推し進め、被害の未然防止・拡大防止を図ってまいる所存でございます。

問  長官にお伺いいたします。令和3年の交通事故の発生状況、分析がまとまりました。今回の特徴と今後の対応について、伺わせていただければと思います。

答 (長官)昨年の交通事故死者数は、2,636人で、警察庁が保有する昭和23年からの統計で、5年連続で最少を更新いたしました。
 他方、令和3年中の交通事故死者の特徴といたしましては、前年に続き、歩行中の方が最も多くなっている点が挙げられます。
 また、自転車乗用中の交通事故死者のうち、約4分の3の方に法令違反があったということでございます。
 このほか、交通事故に占める死亡事故の割合をみますと、飲酒運転でなかった事故と比べ、飲酒運転であった事故では、その割合が約9倍高いという特徴も認められたところでございます。
 これらの特徴を踏まえまして、悲惨な交通事故を1件でも減らすべく、関係機関・団体等と連携をいたしながら、一つには、子供や高齢者をはじめとした歩行者の安全の確保、二つには、自転車の遵法意識の向上に向けた交通安全教育の推進、三つには、飲酒運転等の悪質・危険な交通違反の指導取締りといった諸対策を一層強力に推進してまいりたいと考えております。

問  長官にお伺いします。令和3年におけるストーカーやDV等への対応状況がまとまったところでございます。特にDV事案の相談等件数が増加して、令和3年はDV法施行後過去最多となりました。深刻な状況が続いております。警察の取組と受け止めをお伺いできればと思います。

答 (長官)令和3年中の配偶者からの暴力事案等の相談等の件数は8万3,042件で、前年と比較して、399件増加し、配偶者暴力防止法、いわゆるDV防止法でございますが、この施行後最多となりました。
 こうした情勢も踏まえながら、警察におきましては、事案に応じて、被害者の保護、事件検挙等の措置を講じているところでございますが、これと併せて、関係機関等において、被害者の一時保護等の必要な対応をしていただくことも重要だと認識いたしております。
 今後とも、被害者等の安全確保を最優先に、関係機関と連携を図りながら、的確に対処してまいりたいと考えているところでございます。

問  長官にもう1点お尋ねします。昨年の犯罪収益移転防止法の施行状況がまとまったところです。疑わしい取引の届出件数の増加傾向が続いていますが、最近は、例えば、マネロンに暗号資産を使っているような状況がみられます。この点も踏まえまして、現状への受け止め、警察の対応について、お願いします。

答 (長官)ただ今御質問の疑わしい取引の届出受理件数は増加傾向にございまして、令和3年におきまして、過去最多の約53万件に達したところでございます。
 特に、御質問にございました暗号資産につきましては、我が国でも利用口座数や取引額が非常に増加をしている中で、特殊詐欺の被害金が暗号資産に転換されるといったマネー・ローンダリング犯罪に悪用される例が認められておりますし、暗号資産交換業者からの疑わしい取引の届出の件数も増加傾向にございます。この点に関しまして、昨年12月に公表いたしました「犯罪収益移転危険度調査書」におきましても、他の業態よりも相対的に危険度、つまり犯罪収益移転の危険性の程度が高い取引と評価をしているところでございます。
 こうしたことを踏まえまして、国家公安委員会・警察庁におきまして、届け出られた情報の分析を強化し、その分析結果の都道府県警察等における活用を促進するとともに、関係省庁とも連携して、マネー・ローンダリング対策の一層の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。