国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和4年7月12日(火)17:30~17:47

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   (大臣)この度、選挙遊説中の安倍元首相が銃撃を受け、亡くなられたという重大な結果につきまして、要人の警護警備に責任を有する警察を所管する大臣として、非常に重く受け止めております。
 警察庁からは、このような重大な結果を招いたことを踏まえれば、地元警察における現場での対応のみならず、全国警察を指導する立場にある警察庁の関与の在り方も含め、今回の警護警備には問題があったと認識している、との報告を受けております。
 私からは、警察庁に対し、警護警備に関する検証・見直しのための体制を立ち上げるよう指示したところ、先ほど開催した臨時の国家公安委員会におきまして、警察庁から警護警備に関する「検証・見直しチーム」を立ち上げるとの報告がありました。
 次長を長とし、8月中に一定の結論を得るべく作業を進めるとのことであります。私から、このような重大な事案が二度と起きることのないよう、しっかりとした検証を行い、警護警備の強化に向けた見直しを図るよう、警察庁に対して指示をいたしました。私からは以上でございます。
 (長官)この度、選挙遊説中の安倍元総理が銃撃を受け、お亡くなりになるという重大な結果を招いたことに対しまして、警察として要人警護警備の責任を果たせなかったものと、極めて重く受け止めております。警察庁長官として慚愧に堪えません。
 今回の警護警備に関しましては、このような重大な結果を招いたことを踏まえれば、警護警備の体制・配置、あるいは警護措置要領といった現場の対応のみならず、警察庁の関与の在り方等にも問題があったものと認識をしておりまして、都道府県警察を指揮監督する立場である警察庁長官としての責任は誠に重いと考えております。
 今の段階で私が果たすべき責任は、国家公安委員会の管理の下で、警護警備の問題点を早急に洗い出し、具体的な対策を検討した上で、このような重大な事案が二度と起こることのないよう、警護警備の強化に向けた見直しを行うことであると考えております。私からは以上でございます。

問   大臣に御質問があります。「検証・見直しチーム」の発足を受けての所感をお聞かせください。本日、どういった報告を受け、指示を出しましたか。よろしくお願いします。

答  (大臣)選挙遊説中の安倍元首相が銃撃を受け、亡くなられたという重大な結果につきまして、要人の警護警備に責任を有する警察を所管する大臣として、非常に重く受け止めております。
 本日の国家公安委員会においては、警察庁から「検証・見直しチーム」の立ち上げのほか、今回の事件の概要についての報告を受けました。私からは、このような重大な事案が二度と起きることのないよう、しっかりとした検証を行い、警護警備の強化に向けた見直しを図るよう、警察庁に対して指示をしたところでございます。

問   長官にお聞きします。先ほどもおっしゃっていただきましたが、改めまして、今回の事件の受け止めについてお聞かせください。

答  (長官)この度、選挙遊説中の安倍元総理が銃撃を受け、亡くなられるという重大な結果を招いたことは、警察として要人警護警備の責任を果たせなかったものと、極めて重大に、重く受け止めております。

問   もう一点、長官にお聞きします。事件について、長官ご自身が感じられている警備の問題点についてお聞かせください。

答  (長官)これから検証を行ってまいりますので、現時点でということを御理解いただいた上で申し上げたいのでございますが、一つには警護警備体制、あるいは配置といったもの、それは人員の数であったり、あるいは配置をするのが制服か私服かとか、あるいは後方の配置がどうであったのか、そういったものについては、しっかりと問題点として検証すべきであろうというふうに考えております。
 さらには、この現場での警護措置要領という点についても、例えば、銃器への対応が充分であったのかということもございますし、あるいは予兆の乏しい人に対する対応というのが十分であったのか、あるいは緊急時における対応要領、事案が発生したときの即時的な対応ということが十分できたのかという点については、やはり問題なしとはしないというふうに思っております。
 さらには、装備資機材の点でどうだったのか、訓練等十分なされて、能力の向上が図られていたのかといった点もあろうかと思います。
 さらに、冒頭申し上げましたが、警察庁の関与ということについても、若干申し上げたいと思います。元内閣総理大臣の警護警備につきましては、特段の情勢がない限りは、警護の実施に当たって、警察庁に対して具体的な警護計画の報告を要しないということになっておりまして、今回の警護警備においても、警察庁は具体的な警護計画の報告は受けておりません。ただ、これは私は言い訳にはならないと思っております。このような重大な結果を招いたわけでございます。本当にこれで良かったのかということを、しっかりと問題意識をもって、特に、警察庁は都道府県警察を指揮監督する立場でもありますし、特にこの警護ということに関しますと、警護活動に関する準則と言いますか、現場でどのような形でやるのかという、そういう決まり事も作る立場でもございます。そういった観点から、必要な見直しはしていくべきではないかというふうに思っております。

問  長官にお願いします。大臣から検証チームの立ち上げの指示を受けられたと思いますが、今後の見直しのスケジュール感についてお聞かせください。お願いします。

答 (長官)今後の進め方ということのお尋ねでございますが、具体的には、この「検証・見直しチーム」において、これから、今回の警護警備の事実関係を詳細に調査・把握をした上で、問題点の抽出といった検証を行います。さらに、その結果を基に、警護警備の在り方と言いますか、警護警備の強化に向けた見直しの在り方、そういったことについてしっかりと検討していくということでございますが、その作業過程におきましては、定例会のみならず、今日のように臨時に開催していただく国家公安委員会に随時御報告をさせていただき、その委員会の場で、しっかりと御議論をいただいた上で御指導いただくという、そういう過程を経ながら作業を進めていきたいと思っております。
 最終段階では、チームにおいて、検証の部分と見直しの部分、双方について報告の素案をまとめさせていただくことになろうかと思いますが、最終的には、当然、国家公安委員会に御報告をさせていただき、御了承を得られれば、それを基に全国にも示達するわけでございますが、そしてまた、必要な対応をとる訳でございますが、併せて、支障のない限り、公表させていただくということと致したいと考えております。冒頭、国家公安委員会の管理の下でと申し上げましたが、このような意味合いで申し上げたつもりでございます。
 また、日程的には、これは何よりも迅速に進めなければならないと思っております。要人警護というものは、毎日あるわけでございますので、とにかく早急に結論を得るという必要がありますが、そういった議論を経ながら結論をまとめていくということでございますので、一定の時間はかかろうかと思います。8月中に一定の結論を得たいと考えております。

問  長官にお尋ねいたします。事件を受けての御自身の責任、進退についてお聞かせください。

答 (長官)冒頭申し上げましたが、今の段階で、私が果たすべき責任というのは、今申し上げた検証と見直し、この作業に全身全霊を向けること、そして、二度とこのような重大な結果をもたらすようなことが起きないように警護警備の強化に向けた見直しをしっかりとし、そして、それを全国警察にしっかりとそれを根付かせると、それが私の今果たすべき役割だと考えております。

問  長官にお尋ねします。先ほど言及ありましたが、今回の警察庁としても問題があった、責任があったという御発言でしたが、警察庁としての、その問題点、具体的にどういうところに問題点があって、責任があるというふうにお考えか、改めてお伺いします。

答 (長官)それは、これから検証し、また、見直しをする過程で、先ほど申しましたとおり具体的な警護計画が警察庁に上がるというのは、極めて限定的であるということでもございますので、これまでなぜそういうふうになっているのかということも、しっかりと見極めながらではございますが、それとまた併せて、警察庁としてやるべきことというのはそれだけに限らず、警護員の訓練だとか、そういったことを主体的にやるべきではないかとか、配置について何らかの指示と言いますか、指揮をすべきではないかという考え方もあろうかと思います。様々な考え方がある中で、いずれにしても、今回このような重大な結果を招いたということについて、警察庁の責任はないと絶対に言い切れないわけです。ですから、私は、そういう意味で警察庁としても見直すべきものをしっかりと見直すということを、決意をもって考えているところでございます。

問  今回、事件から4日後、このタイミングで長官が会見されるということに関しまして、その理由なり所感なり、お考えがあればお願いします。

答 (長官)この事件直後ということで、警察庁としては対策本部を立ち上げまして、そして、奈良県警察から事件の概要、あるいは、当日の警護警備体制を色々聴取するなどして、情報収集、事案の把握に努めてきたわけでございます。そんな中で色々な問題点というのが、ある程度浮き彫りになってきた。検討体制についても、今回臨時で国家公安委員会を開いていただいて、そこで御承認を得たということでございますので、このタイミングで会見に臨んでいるということでございます。御理解をいただきたいと思います。

問  大臣にお伺いします。今回の検証結果について、対外的な視点でチェックするということについて、国家公安委員会によるチェックで十分なのか、それとも、さらに外部の有識者等にチェックをしてもらう必要があるのか、これについての大臣のお考えをお伺いできればと思います。

答 (大臣)警護警備に関する「検証・見直しチーム」に有識者を入れるべきではないかというような御意見もございますが、それぞれの国家公安委員の方は高い見識を有する非常に立派な方ばかりでございますので、今回、他の分野から有識者を招くということは考えておりません。

問  長官にお尋ねします。今回の事件は、殺傷能力のある銃を手作りして、実際に犯罪に使用したという点でも、極めて異例の事件であったと思います。今回のような犯罪実行以前の段階で、火薬等凶器になり得る物品の購入者等への対策については、どのようにお考えでしょうか。

答 (長官)その点でございますが、警察におきましては、爆発物の製造を企図する者が、爆発物の原料となり得る化学物質を入手することを防ぐことが重要であると、これはもう当然のことであろうかと思います。
 このため、警察におきましては、その関係省庁・事業者と連携をいたしまして、爆発物原料の販売事業者に対して、販売時の本人確認、あるいは、販売記録の保管、不審情報の通報を要請するなど、不審者への販売防止等に必要な取組を推進しているところではございます。
 こうした取組についても、さらに、今回の事案を受けて、強化できるところがあるようであれば、しっかりと検討して、そしてまた実施に移してまいりたいと考えているところでございます。