国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 令和5年2月2日(木)12:14~12:22

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。谷委員長が御欠席のため、私が記者会見を代理いたします。案件については、令和4年の犯罪情勢等がございました。以上です。

問  長官にお伺いいたします。今委員からもありましたが、昨年の犯罪情勢が公表されました。平成14年をピークに減少を続けてきていた刑法犯認知件数が、20年ぶりに前年比から増加となりました。要因としては街頭犯罪の増加が大きいようですが、コロナの影響で感染状況の変化で人流が変わったことも影響していると思われます。街頭犯罪の増加等、こうした状況について、警察としての受け止めと、今後の対策の方向性についてお伺いできればと思います。

答 (長官)今お話がございましたが、令和4年中の刑法犯認知件数は20年ぶりに前年比増となりました。要因は街頭犯罪の増加というところが大きいだろうと思います。
 その街頭犯罪を罪種別に分析をいたしましたところ、増加件数が多いのは、自転車盗、傷害、そして暴行であり、新型コロナウイルス感染症の感染状況の変化等によって人流が増加したことが一定程度影響したと考えられます。したがいまして、今後の刑法犯認知件数の動向については、引き続き注視していかなければならないと思います。
 また、街頭犯罪以外にも、SNS上でいわゆる「闇バイト」を募集して、応じた者を強盗や窃盗等に加担させるという新たな手口もございました。これが拡大していかないように警戒していく必要があると思います。
 国民の安全・安心を確保するために、警察として、犯罪情勢を的確に踏まえて、必要な諸対策を推進してまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。特殊詐欺の方も昨年の状況がまとまったところです。認知件数、被害額とも前年よりも増えております。特に被害額で見ますと、8年ぶりに増加に転じています。深刻な状況かと思いますが、この特殊詐欺の状況、増えた要因も含めまして、受け止め、それから対策をどう進めていくのか、お考えをお願いします。

答 (長官)特殊詐欺につきましても、令和4年中の認知件数、被害額ともに、前年に比べて増加いたしました。被害額は8年ぶりの増加であります。
 この要因は様々あろうかと思います。一概に申し上げることは難しいと思いますが、例えば新型コロナウイルス感染症の感染状況がもたらす社会の変化等に犯罪者グループが手口を対応させて、それを巧妙化させているといったようなことも要因として考えられるのではないかと思います。
 私ども警察におきましては、関係機関と連携して広報啓発活動をやっておりますし、金融機関やコンビニエンスストアにおける声掛けの促進等も行っております。また、犯行に利用された電話の利用停止要請等の犯行ツール対策もやっております。さらに、特殊詐欺事件の背後にいるとみられる暴力団準暴力団等の犯罪者グループに対する多角的・戦略的な取締りも進めております。
 私は就任以来、特殊詐欺対策を重要課題の一つとして位置づけております。こうした対策を強化するための警察組織内のリソースの再配分が重要であると考えております。特殊詐欺の撲滅に向けて効果が上がるように、そうした取組をさらに加速化させていきたいと考えております。

問  長官にお伺いします。組織的・広域的な強盗等事件の関連で、2019年の特殊詐欺事件で窃盗容疑等で逮捕状が出ている4人の身柄について、フィリピン政府が、2月8日から予定されているマルコス大統領の訪日までに同時に送還する意向を示しています。今後のスケジュールの見通しのほか、4人と同一グループによるものとみられる一連の特殊詐欺事件の被害規模や摘発状況、現在の広域強盗事件の対応状況についてお聞かせください。

答 (長官)まず、御指摘の4人の被疑者が首謀した疑いのある特殊詐欺事件の方から申し上げますと、これまでに判明したところでは、被害金額が60億円以上に上っており、これまで、被疑者約70人を検挙しております。
 そのうち、36人につきましては、2019年の11月に、当方の捜査情報をフィリピン当局に提供するなどした結果、フィリピン国内で身柄を拘束され退去強制となったものであります。
 この4人の被疑者についても、ちょうど同じ時期から、フィリピン当局に順次退去強制の要請を行ってまいりました。
 現在、早期の退去強制に向けて、両国間で調整を行っております。私ども警察といたしましては、調整が整い次第、速やかに4人を逮捕できるように、捜査員の派遣の準備を進めているところであります。
 一方、一連の強盗等の事件につきましては、これまで全国の都道府県警察において、多数の実行犯を検挙しております。先ほどからの4人の被疑者が首謀したのかどうかを含めて、現在、全容解明に向けた捜査を進めているところであります。
 先般、関係都府県警察の刑事部長を警察庁に招致して、捜査会議を開催いたしました。こうした取組等を通じて、引き続き、関係都府県警察の緊密な連携の下で、首謀者の早期検挙を図ってまいりたいと考えております。