国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和5年3月23日(木)11:20~11:29

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件については、令和4年における生活経済事犯の検挙状況等がございました。以上です。

問  大臣にお伺いいたします。今大臣からもございましたが、昨年の生活経済事犯の検挙状況がまとまったところです。今回の特徴と今後の取組についてお伺いできればと思います。

答 (大臣)令和4年における生活経済事犯の検挙状況の特徴でございますが、全体として、前年と比べて若干減少しました。しかし、営業秘密の管理に関する企業の意識の高まり、あるいは国民の動物愛護に対する関心等を背景に、営業秘密侵害事犯や動物虐待事犯等の検挙が増加傾向にあるということが挙げられると思います。
 生活経済事犯は、社会経済情勢の変化や国民の日常的な経済生活における安全・安心への問題意識を反映した事犯であり、国民の関心も高いことから、関係機関等と連携しつつ、適切に対処するよう、警察を指導してまいりたいと思います。

問  大臣にお尋ねします。昨年の組織犯罪情勢もまとまったところです。薬物情勢ですが、大麻事犯の検挙がやや減っているとはいえ、依然として高い水準にあります。覚醒剤等は減っているとはいえ、依然として高い水準と思いますが、覚醒剤も含めて、大麻、覚醒剤の情勢への受け止め、警察としての対応についてお願いします。

答 (大臣)覚醒剤や大麻等に係る薬物事犯の検挙人員は、御指摘のとおり前年より減少しておりますが、引き続き1万人を超えるような高い水準にあり、薬物事犯をめぐる情勢は、依然として厳しい状況にあると認識しております。
 薬物事犯の検挙人員について見ますと、覚醒剤事犯については、前年より大幅に減少し、長期的にも減少傾向にあるものの、そうは言ってもいまだ薬物事犯全体の半数を占めている状況にございます。
 大麻事犯につきましては、過去最多の前年を下回りましたが、依然として高水準にあり、全体の4割以上を占めております。これを年齢層で見ると、20代以下の占める割合が約7割を占めているという状況でございまして、大変、若年層における大麻の乱用拡大が懸念されているところであります。
 若年層における利用拡大が本当に大変懸念されているところでございますので、引き続き、関係機関と連携しながら、覚醒剤をはじめとする薬物の供給を遮断すること、また需要根絶に向けて、取締りの徹底であるとか、あるいは若年層向けの大麻乱用防止等の広報啓発活動に取り組むよう、警察を指導してまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。暴力団情勢もまとまったところです。六代目山口組と神戸山口組、それから池田組も含めた対立抗争の状態が続いています。全体として見ると構成員等は減っています。それから、検挙も初めて1万人割っているという状況にありますが、一方で、いわゆる準暴力団の活動は活発化しているという指摘もあります。こうした情勢をどう受け止めていらっしゃるのか、暴力団対策をどう進めるか、お願いします。

答 (長官)まず暴力団情勢から申し上げますと、暴力団の勢力は、今お話がありましたとおり、全体としては減少傾向にありますが、中でも六代目山口組は神戸山口組傘下組織を吸収するなどして、その勢力をほぼ維持しております。
 一方で、その神戸山口組の方は、その勢力を六代目山口組から分裂をした当時から比べますと約8分の1に減らしているという状況であります。そういう中で、六代目山口組は神戸山口組に対する執拗な攻撃を続けておりまして、なお予断を許さないという認識をしております。
 私ども警察といたしましては、引き続き、巻き添えの被害等が生じないように、これら抗争に対する必要な警戒・取締りを徹底するということと、暴力団を弱体化・壊滅させるための各種取組を今後とも続けてまいりたいと考えております。
 もう一つ、準暴力団等でございますが、これらの勢力が特殊詐欺等の犯罪を敢行して、治安上の大きな脅威となっていると認識しております。
 準暴力団でありますとか、その周辺の不良集団は、犯罪によって得た資金を元手に、風俗営業等に進出して、マネー・ローンダリングを行っているなどの実態もうかがえるところであります。私ども警察といたしましては、暴力団、準暴力団はもちろんでありますが、より外縁の不明確な不良集団も含めまして、警察組織内の部門の垣根を越えて実態解明を図り、あらゆる法令を駆使して取締りを更に徹底してまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。毎日新聞では1995年に起きた警察庁長官狙撃事件に関して、3月20日付の朝刊で、「事件当日、狙撃犯を名乗る知人の逃走を手伝ってしまった」とする元自衛官の証言を報じました。元自衛官の証言が事実であるならば、知人である中村泰受刑者が実行犯である可能性があることを補強する意味合いがあると考えられますが、元自衛官の証言をどのように考えられるか、お伺いできればと思います。また、元自衛官から事情を聴く意向があるかどうかも伺えればと思います。あともう一点なのですが、警視庁は、2010年の公訴時効成立当時、「オウム真理教の組織的、計画的テロ」という見解を公表しましたが、現在、警察庁としてこの見解をどのように捉えていらっしゃるか、お伺いできればと思います。

答 (長官)今お尋ねのありました事件につきましては、御案内のとおり、警視庁において所要の捜査を行いましたが、結果として真相の解明に至らなかったものであります。そのことについては、私も残念に思っておりますが、いずれにいたしましても、平成22年に既に公訴時効が完成したものとして警視庁が捜査を終了しておりますので、今お尋ねの点につきましては、コメントは差し控えたいと思います。