国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和5年6月22日(木)11:26~11:34

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件については、令和4年における行方不明者の状況などがございました。以上でございます。

問  大臣にお伺いします。今話がありました令和4年における行方不明者の状況についてとりまとめられたところでございますが、総数としては、コロナ前の水準に戻ったとみられ、特に、認知症による行方不明者の届出が一貫して増加している傾向にあると思いますが、大臣の受け止めと今後の取組についてお聞かせください。

 答 (大臣)御指摘のように、令和4年中の行方不明者の届出受理数は8万4,910人であり、コロナ禍前と同水準となった一方、認知症による行方不明者の届出受理数は、統計をとり始めた平成24年以降で最多となる1万8,709人となりました。
 認知症の行方不明事案につきましては、警察だけではなく、自治体や自治会、あるいは消防団、事業者、交通関係の事業者が多いかと思いますが、そういう事業者等と連携を図りながら、地域社会全体で取り組むことが大変重要なことだと思っております。私も兵庫でありますが、選挙区で認知症の方がいなくなって消防団も相当動員をしてその日のうちに見つかる場合が多いですが、相当の方が捜索のエネルギーを費やしていることも承知しております。
 今後とも、警察といたしましては、これらの関係者等との連携を強化しつつ、行方不明者の発見・保護活動が迅速かつ適切に行われるよう、警察を指導してまいりたいと思っております。

問  大臣にお尋ねします。来月1日に改正道路交通法の一部が施行されまして、いわゆる電動キックボード、特定小型原動機付自転車に分類される新しい交通ルールが適用されることになり、要件を満たせば歩道が走れるわけでありますが、安全面の不安の声も依然聞かれてくるところです。新しい交通ルールの下で安全確保にどういうふうに取り組んでいくか大臣のお考えをお願いします。

答 (大臣)御指摘のいわゆる電動キックボードは移動手段として国民の利便性を高めるものと認識しているところでありますが、その利用に当たっては、交通の安全をしっかり確保することが大変重要なことであると考えております。
 新たなルールについて、あらゆる機会を捉えて交通安全教育や広報啓発を推進しているわけであります。教育現場に出かけて行ったり、広報媒体によくお願いしているわけでありますが、それと併せて、関係機関、販売事業者、シェアリング事業者等を構成員とする官民協議会が策定したガイドラインに基づき関係事業者が講ずる交通安全対策を支援するよう、警察を指導してまいりたいと思います。
 また、施行後にあっては、御指摘のように不安の声も様々聞いているわけでございますが、飲酒運転、信号無視等の悪質・危険な違反行為は当然でありますが、それだけではなく、通行区分違反、横断歩行者妨害等の歩行者に危険を及ぼすおそれの高い違反行為にも重点を置いて取締りを実施するなど、交通事故抑止に資する取締りをしっかり強化するよう警察を指導してまいりたいと思っております。

問  長官にお伺いします。先週木曜日の15日、自身の研究内容を中国企業にメール送信したとして、国立研究開発法人産業技術総合研究所の中国籍の職員が不正競争防止法違反容疑で警視庁公安部に逮捕されました。公安部の捜査では、漏洩した研究内容はフッ素化合物の合成に関わる先端技術で、中国企業は情報を受け取った約1週間後に類似した内容で中国で特許を申請したということも明らかとなっております。経済安全保障の観点からも重大な事案だと思いますが、長官としての事件を検挙した所感と、今後警察として、経済安全保障にどのように取り組んでいくかお伺いしたいと思います。

答 (長官)今お話がございましたが、先週警視庁公安部が、国立研究開発法人の研究員として勤務していた中国人男性を不正競争防止法違反容疑で逮捕しております。逮捕事実は、不正の利益を得る目的で、当該法人の営業秘密に当たる技術情報を、中国所在企業のメールアドレスに送信して開示したというものであります。現在、この事案の全容解明に向けて鋭意捜査を進めているところであります。
 我が国が優位性を有する先端技術の秘密保持を図って経済安全保障を確保するという意味では、今回の事案のような犯罪行為を厳正に取り締まるということが重要であると考えております。
 私ども警察といたしましては、こうした犯罪行為の取締りを更に強化していきたいと考えておりますし、企業や研究機関等には、こうした被害に遭わないよう、技術流出の手口等を情報提供するアウトリーチ活動を引き続き推進していきたいと考えております。