国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和5年7月6日(木)11:10~11:22

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  おはようございます。本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件につきましては、行政事業レビューにおける公開プロセスの結果などがございました。以上でございます。

問  大臣にお伺いします。先日、警察庁が、ウクライナ国家警察から職員の方を受け入れ、身元確認に関する研修をされると発表がございました。研修の意義について大臣のお考えをお聞かせください。

答 (大臣)お尋ねの研修は、国連開発計画(UNDP)を通じて、ウクライナ国家警察からの支援要請があったことを受け、日本警察として、身元確認のノウハウのほか、検視等の精神的な負担の高い業務に従事する警察職員の心のケアに関する研修等を行うものであります。
 ウクライナでは、戦禍により御遺体の身元確認が難航しているものと承知しており、今回の研修を通じて、東日本大震災等に際して多数の御遺体の身元確認に当たった警察の経験あるいは知見が共有され、ウクライナ国家警察の一助となることを期待しております。
 私といたしましては、今回の研修のような、日本らしい支援ということが重要であると考えており、今後も支援要請等がありましたら、積極的に協力するよう警察を指導してまいりたいと思っております。

問  大臣にお尋ねします。安倍元総理が銃撃された事件からまもなく1年になります。事件を受けて、警察は警護の在り方を見直して取り組んできたわけですが、4月には岸田総理の側に爆発物が投てきされる事件も起きたところです。改めて、選挙期間中、特に警護の難しさが浮き彫りになっているわけですが、1年を振り返りまして、選挙と警護の在り方を含めましてお考えをお願いします。

答 (大臣)昨年7月8日の安倍元総理銃撃事件を受けて、警察では、警護の検証・見直しを行い、その途中で私も大臣を命じられたわけでありますが、警察庁の関与を抜本的に強化するなどした新たな警護要則を昨年の8月26日に施行しました。
 以降、この新たな警護要則の下で、全国の警察で、警護体制の増強等各般の警護強化の取組が進められてきたわけでありますが、本年4月に、和歌山で岸田総理が爆発物の投てきを受けるという事案が発生しました。大変残念であり、結果を重く受け止めなければならないと思っています。本事案につきましては、検証を進める中で、警察と主催者との連携や安全確保といった警護上の更なる課題が明らかになったと思っているところであります。
 私といたしましては、選挙期間中における警護については、警察と主催者とが十分話し合うことによって良い方向に行くものと期待しておりますし、また、そのように進めていかなければならないと思っております。今後とも、警察には、主催者への働き掛けの強化等の取組を通じて、警護対象者、また、その場におられる聴衆の安全確保に万全を期すよう、指導してまいりたいと思います。

問  長官にお伺いいたします。今、大臣からもございましたが、安倍元首相の銃撃事件から1年に際しまして、改めて、体制面を含めて要人警護の強化は具体的にどれぐらい進んでいるか、長官としてのお考えをお伺いいたしします。また、和歌山の岸田首相への事案を受けまして更なる取組をされているものだと思いますが、G7広島サミットであるとか、この要人警護に関する1年間を振り返って、今後警察としてどのように取り組んでいかれるか、お願いします。

答 (長官)昨年7月、安倍元総理銃撃事件が発生して、まもなく1年になろうとしております。この機会に改めて思い起こしますと、警察が警護をしている中でその犯行を許してしまったことについて、痛恨の極みであったという思いをまた新たにしているところであります。
 また、この銃撃事件からわずか1年足らずのうちに、和歌山で岸田内閣総理大臣演説会場における爆発物投てき事案の発生を許してしまったということについても、重く受け止めなければならないと思っております。
 これらの事案につきましては、それぞれ警察庁においても国家公安委員会の管理の下で徹底した検証、確認作業を行いました。そこで得られた教訓を基に、新警護要則の下で、現在、警護計画の審査や警護体制の強化に取り組んでいるところであります。
 また、5月のG7広島サミットについては警護警備を完遂いたしました。国民、県民の皆様の御協力の賜物であると思っております。ただ、警護警備が完遂できたからといって、それが100点満点であったということでは決してないと思っております。必ず何らかの教訓があるという視点で、確認の作業を行っているところであります。そこで得られた教訓を全国警察でも共有しながら、引き続き、警護体制の強化、装備資機材の充実等の取組を着実に進めてまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。今週月曜日、全国本部長会議で「警戒の空白を生じさせないための組織運営の指針」を示して都道府県警に取組を指示したところですが、今回の指針の取組、狙い、どう進めていくか、改めてお考えをお願いします。

答 (長官)私ども警察庁におきましては、安倍元総理銃撃事件の発生を許した反省の上に立って、単に警備部門の問題であるということにとどまらず、警察組織全体を取り巻く治安課題の現状を踏まえて、安易な前例踏襲や部門間の縦割り等を排した組織運営の在り方について検討を進めてまいりました。
 その検討を踏まえて、今月3日でありますが、全国警察本部長会議におきまして「警戒の空白を生じさせないための組織運営の指針」を示して、全国警察に指示したところであります。
 この指針は、情勢の変化と組織の現状を俯瞰的に分析した上で、警察力全体の最適化を図ることを主眼としております。特に、サイバー空間における対処能力の強化や匿名・流動型犯罪グループに対する戦略的な取締りの強化等の7項目を当面の最重要課題と位置付けた上で、部門を超えたリソースの重点化や能率化、メリハリのある組織運営等を警察全体で強力に推進することとしております。
 この指針の策定と併せまして、警察庁におきましても、私を長とする推進本部を設置いたしました。都道府県警察にも同様の推進体制を構築するよう指示しているところであります。この推進本部の下で、都道府県警察で取り組むべき事項の具体化や取組の実施状況の把握等を着実に進めた上で、警察力全体の最適化の取組を進めてまいりたいと考えております。

問  長官にお伺いします。一部週刊誌で内閣官房副長官の木原衆議院議員の親族に関する事案について報じられておりますが、警察当局のこの事案への対応についてお聞かせください。

答 (長官)週刊誌の記事について逐一コメントすることは差し控えたいと思います。
 なお、一般論で申し上げますと、事件性の認められない事案については、人権上の観点からもコメントできないと考えております。