国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 令和5年12月21日(木)11:39~11:47

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会の状況について申し上げます。松村委員長がご欠席のため、私が記者会見を代理いたします。案件については、銃砲による凶悪事件を踏まえた対策についてなどがございました。以上でございます。

問  長官にお尋ねします。自転車の関係ですが、長官の就任以降、重点課題の一つに自転車の交通秩序の改善を挙げていらっしゃいました。今回、有識者検討会が中間報告書をまとめまして、結構踏み込んだ内容だと感じておりますが、今回の報告書、それから自転車対策に対するお考えをお願いします。

答 (長官)交通事故全体がここ長年にわたって減少傾向で推移をしてまいりましたけれども、そういった中にあって自転車については、近年、対歩行者の事故が増加傾向にございます。しかも、自転車側に法令違反が認められる事故も多いといった特徴がございます。
 また、自転車と同様の交通ルールが、特定小型原動機付自転車、いわゆる電動キックボードでありますけれども、これに適用されておりますので、自転車の交通秩序の状況が、今後のこうした小型モビリティの交通秩序にも大きく影響をするのではないかというふうに考えられます。
 そこで、7月に「警戒の空白を生じさせないために当面取り組むべき組織運営上の重点」の一つとして、お話がございましたように、自転車交通秩序をいかに維持するかといったことを掲げてまいりました。この点については、安全教育、それから違反処理、そして交通規制この3つの点にわたって対策を強化する必要があるであろうというふうに考えております。
 今回の中間報告書も、そういった問題意識でまとめていただいております。交通安全教育については、官民の知見によって、ライフステージに応じた安全教育についてのガイドラインを作るということ、違反処理については、16歳以上の自転車利用者による交通違反を交通反則通告制度、いわゆる青切符の対象とすること、交通規制については、車道を通行する自転車を保護するための措置を講ずること、といった点が挙げられております。
 今後は、次期通常国会に道路交通法の改正案を提出すべく所要の準備を進めてまいりたいと考えております。また、関連する施策についても早急に検討を進めたいというふうに考えております。以上です。

問  長官にお願いします。1年振り返りが必要となるんですけれども、今年は年始に広域強盗が発覚しまして、「匿名・流動型犯罪グループ」の摘発を推進することになったと思います。また、G7広島サミットの大規模警備もありましたし、4月には岸田総理の演説会場で爆発物を投げ付けられる事件がありまして、昨年の安倍元総理の事件を受けて見直した要人警護態勢が更に改善を求められたと思います。銃による事件も相次いだりして体感治安の悪化も心配されるところでしたが、改めて今年1年を振り返って長官のご所感をお伺いできればと思います。

答 (長官)本年は、我が国はG7の議長国ということであり、5月には広島でサミットがございました。これをはじめ、つい先日、私ども警察庁が主催をする茨城水戸内務・安全担当閣僚会合に至るまで、多数の関係閣僚会合などの国際会議が開催をされました。開催国の警察として会議の安全かつ円滑な進行を確保するための警備、これが重要な責務であったわけでありますけれども、これについては無事完遂することができたというふうに考えております。
 ただ一方で、警備実施には百点満点はないということを常に念頭に置きながら様々な見直しも進めてまいりました。ご指摘のあった4月の岸田総理襲撃事件についても大きな反省材料となったところであります。警備だけではなくて、業務の全般にわたって見直しを進め、7月には「警戒の空白を生じさせないための組織運営の指針」を作って、これに基づいた取組を進めてきた、そういう1年であったと思います。
 ご指摘のございました要人警護、それから匿名・流動型犯罪グループに対する取組、それもその大きな代表例の1つであろうというふうに思います。
 まず要人警護でありますけれども、先ほど申し上げましたように今年4月の岸田総理襲撃事件、そして昨年の安倍元総理銃撃事件、こうした事件の発生を受けて、第一線の態勢強化、そして会議あるいはイベントの主催者との連携強化等の取組を進めてまいりました。
 更にローン・オフェンダーへの対策、これも課題となっているわけでありますけれども、今回、インターネットで銃砲の密造方法等を公開しているサイト等への対策をはじめ、銃砲による犯罪を防止するための対策が重要であるという観点から、銃刀法改正案を次期通常国会に提出すべく、現在その準備を進めているところであります。
 また、ご指摘の広域強盗事件でありますけれども、非常に匿名性が高い、そして、緩やかな結び付きで離合集散を繰り返しているグループ、これを対策の中心に据えなければならないという状況が一連の事件の捜査で明らかになったところであります。
 団体や構成員がはっきりとしている暴力団を中心に据えてきたこれまでの組織犯罪対策の在り方を転換させるほどのインパクトのある事件であったというふうに言えると思います。
 部門や都道府県警察の垣根を取り払って、匿名・流動型犯罪グループ、トクリュウというふうに呼んでいますけれども、これに対する戦略的な取締りをさらに強化してまいりたいと考えております。
 「警戒の空白」を解消するための取組は、リソースの再配分を含めて、幅広く課題があるということでございますので、引き続き全国警察一丸となってその取組を今後とも進めてまいりたいと考えております。