国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和6年1月11日(木)11:30~11:42

2 場所 警察庁第4会議室

3  概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況についてでございますけれども、案件につきましては、「令和6年能登半島地震」に伴う警察活動についてなどがございました。本日は以上です。

問  今お話がありました能登半島地震について、大臣にお伺いしますが、国家公安委員長として、これまでの警察活動についてのご所感と、今後力を入れていく取組などあればお聞かせください。

答 (大臣)まず冒頭、既に10日目でございますけれども、200名以上の方がお亡くなりになられました。また、多くの方が被災なされました。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災なさった全ての方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。その上で、私は防災担当大臣も兼ねておりますが、国家公安委員長としての立場で今日は申し上げたいと思いますけれども、警察の役割というのは、こういう被災の時には、やはり被災者の皆さん方の救命・救助活動、一人でも多くの命を守る、助ける活動を今頑張っていただいております。また、被災地では、警察官がいらっしゃるということで治安の安定、被災者の皆様方の安心を生んでおります。こういった重要な任務があると認識をいたしております。そういう意味では発災後、その日のうちに地元の石川県警はじめ全国からの派遣部隊の方々も続々と到着をいただいて1,000人以上、本日は1,100人以上でございますが、方々に入っていただき、非常に条件の厳しい中で一人でも多くの命を救おうと活躍をいただいていること、本当に頭が下がる思いでありますし、引き続き強化をし、地元の皆様に安心・安全を与え続ける立場でやっていただきたいというふうに、まず所感として思っております。
 その上で、申し上げますと、発災以降は、警察におきましては、冒頭申し上げた石川県警の皆様をはじめ、他県からの特別派遣部隊をその日のうちに石川県に派遣をいたしまして、全力で捜索・救助等に当たっていただいております。これまでに警察は96名の方々を救助しております。その中には、6日の日でございましたか、珠洲市内におきまして、発災後124時間を超える中、福岡県警察と警視庁の救助部隊が、関係機関と緊密に連携をいたしまして90代の女性を倒壊家屋から救助したものも含まれております。
 引き続き、一人でも多くの命を救うべく、懸命に捜索・救助に当たってまいります。
 次に、交通についてでございますが、7日から、被災地に向かう道路の一部の区間の通行を災害対応車両等に特化するための交通規制を実施することにより、円滑な交通を確保しているところでございます。これにつきましては、半島ということで、また、被害が甚大であったということで、空・海からのアクセスも色々と救援物資を運ぶに当たってやっておりましたが、なかなか厳しい状況が続いておりまして、陸路を何とか防災担当大臣として確保しようということで、当初4トン車、その後9トン車が通れるようになってまいりました。そのことによりまして、支援型物資が最初に届ける時には12時間程かかってしまいましたが、これでは多くの命が救えないと、何とかその方策として警察において、のと里山海道、こちらのほうで特別ルートを確保することによって円滑な交通便ができるように、お陰様で現在は交通渋滞なく、金沢から輪島までは3時間弱、早い時には2時間強で着けるような状況を確保できているところでもあります。
 加えて、避難生活が長期化する中、被災地における犯罪被害の防止や被災された方々の不安の解消は重要な課題であると認識をしておりますので、発災後、石川県内では、避難中の家屋への空き巣や避難所における置引きなど、震災に便乗した犯罪を17件程把握をしており、悪質商法の可能性のある相談も受理をしておりますので、こういったものに対して現在、被災地のパトロールにつきましては、車両約30台・120人の体制で、避難所での相談対応については、車両約20台・40人体制で活動をしており、今後は、被災者が安心して二次避難所等に移動できるよう、パトカー等による被災地の警戒・警らを更に強化するものと承知をいたしております。
 あわせて、ウェブサイト・SNS等を活用した情報発信を実施するほか、また、女性警察官を中心といたしまして避難所内の被災した方々へ相談対応を行うなどして、被災された方々に寄り添った活動をし、また、防犯の指導等も行っているところであります。引き続き、こうした活動が必要であろうと思っております。
 特に、私から指導いたしましたのは、今後、現在の厳しい環境下での避難生活が続いておりますが、石川県をはじめ、国といたしましても二次避難、こういったことを今お勧めをしております。そうなりますと地元を離れる、家が自分の見られる範囲にないということにとても不安を抱かれます。こういったものへの不安解消のための充実を図っていただくために、人員の増強であったり、その伝え方の手法であったり、こういった検討をしていただくように、指示をしたところでございます。私からは以上です。

問  長官にお尋ねします。大川原化工機が東京都等を訴えた裁判で、先月、都と国に賠償を命ずる判決を出しました。警視庁公安部による逮捕、捜査が違法だと認めております。今回の捜査の問題点を指摘されているわけですが、今回の判決についての長官としての受け止め、それから捜査の問題点が指摘されているわけですが、いわゆる捜査についての調査、検証の必要性も含めまして、この問題についての警察としての対応についてのお考えをお願いします。

答 (長官)お尋ねの判決につきましては、警視庁におきまして、その内容を精査しました結果、上級審の判断を仰ぐことが適当であると、こういう結論に至りまして、昨日、控訴の手続を取ったというふうに承知をしております。
 これを3つの争点に分けて少し詳しく申し上げますと、まず外為法の輸出規制要件となる「殺菌」に乾熱殺菌が含まれるという捜査機関側の解釈、この点が合理的かどうかということにつきましては、「ねつ造証言」などもございましたけれども、被告側である東京都・国の主張が認容されました。その一方で、残りの2つの争点、すなわち本件の噴霧乾燥機がその申し上げた輸出規制要件に該当しているかどうか、とりわけ、装置内全部の殺菌が乾熱殺菌によって可能かどうかという点につきましては、捜査側で再実験を行っていれば、測定口部分が装置内全部の殺菌が困難となる最低温度箇所であることを容易に明らかにすることができたなどとして、警視庁は通常要求される捜査を怠った、というふうにされました。また、取調べ及び弁解録取書作成の違法性につきましては、原告に対する取調べの過程で装置内の細菌が一部でも死滅すれば殺菌に当たると原告を誤解させて、それに乗じて本件の噴霧乾燥機が殺菌できる性能を持っていることを認める供述調書に署名・指印をさせたことは偽計を用いた取調べである等とされたところであります。
 警視庁におきましては、今申し上げた後者の2つの点についてはこれまでの主張と大きく異なり証拠上受け入れることは難しいということで、上級審の判断を仰ぐこととしたものであるというふうに報告を受けております。
 他方で、捜査が法と証拠に基づいて緻密かつ適正に行われなければならないことは、これは言うまでもないことであります。警視庁においては、本件に関して、結果として公訴取消という異例の手続が取られたこと自体については真摯に受け止めているというところであります。今回の件を契機として、公安部に新たに捜査指導官を置くなどして指導体制を強化していくという報告を受けております。
 なお、検証についてのお尋ねがございましたけれども、警視庁においては、引き続き国家賠償請求訴訟の上級審での審理に対応するプロセスで、本件捜査に係る事実関係等について更に確認・整理をして、今後の捜査に判明した教訓事項を活かしていくというふうにするものと承知をしております。
 私ども警察庁といたしましても、本件公訴が取消になったことについては真摯に受け止めるべきものであるというふうに考えております。警視庁を含め全国の都道府県警察に対する指導を更に徹底してまいりたいと考えております。