国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 令和6年2月8日(木)11:34~11:37

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。松村委員長が欠席のため、私が代理いたします。案件については、令和5年の犯罪情勢についてなどがございました。以上でございます。

問  長官にお尋ねします。ただ今ありました犯罪情勢がまとまったところですが、刑法犯認知件数、平成14年をピークに減少し続けているところ、令和4年、5年と2年連続増加の傾向となっております。街頭犯罪、侵入犯罪の増加が目立っていますが、治安の悪化の局面に入っているかどうかという捉え方を含めまして今回の情勢への受け止め、警察への取組についてお考えをお願いします。

答 (長官)刑法犯の認知件数につきましては、今お話しがございましたとおり平成の半ばから減少を続けてきたわけでありますが、令和4年から増加傾向に転じてしまいました。今年の1月の数値を見ても、その増加傾向が続いているという状況でありますので、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の令和元年の水準に今接近しつつあるという状況であろうというふうに思います。
 刑法犯認知件数の約3分の1は、街頭犯罪ということになります。その内訳を見ますと、自転車盗ですとか、暴行傷害の増加が目立っております。こうしたことから見ても、新型コロナウイルス感染症の感染状況の変化等が原因となった人流の増加が刑法犯認知件数、街頭犯罪の増加に一定程度影響しているものではないかというふうに思います。
 一方で、刑法犯の特に財産犯の被害額を見ますと、窃盗と詐欺の被害額の合計、これが令和元年中、新型コロナウイルス感染症拡大前の令和元年中は約1,100億円でございましたが、令和5年中は約2,300億円というふうに今倍増以上という状況となっております。
 これは、詐欺の被害額が一昨年に比べて昨年は倍増したということが大きく影響しています。特殊詐欺のほかに、SNSを使った非対面型の、投資詐欺やいわゆる国際ロマンス詐欺、こうした手口による被害が大きく増加しているということであり、極めて憂慮すべき状況にあるというふうに思っています。
 こうした治安情勢に的確に対応するために、昨年来、「警戒の空白を生じさせないための組織運営の指針」を策定して体制の構築を進めているところであります。今申し上げたような犯罪情勢の変化を的確に踏まえた上で、更に効果的な対策を進めていきたいというふうに考えております。

問  長官にお伺いします。犯罪情勢とあわせて特殊詐欺の認知・検挙状況等が公表されましたが、認知件数と被害額がともに前年から増加しています。その中でも、架空料金請求詐欺が特に認知件数、被害額とも増加しているところだと思いますが、長官の受け止めと、今後の対策についてお伺いできればと思います。

 答 (長官)特殊詐欺の被害についても、大変深刻な情勢にあるというふうに思います。令和5年中は今お話しがございましたとおり件数、被害額ともに前年に比べて増加をいたしました。月別に見ますと、8月以降の件数ベースでは、前年同期と比べて減少し、ある程度の押さえ込みが効いているということでありますが、1件当たりの被害額が増加をしておりますので、全体として見ると先ほど申し上げたように、件数、被害額ともに前年に比べて増加になってしまったということであります。
 特に、架空料金請求詐欺の被害が大きく増加しているということでございまして、その内訳を見ますと、パソコンのウイルス除去をサポートするといったような名目で、電子マネー等をだまし取る手口がかなり目立つということが特徴として挙げられると思います。
 また、依然として電話を欺罔手段とする手口が8割を占めております。中でも、国際電話番号の悪用が急増した点に特徴があるというふうに思います。
 こうした状況を踏まえまして、私どもといたしましては、「被害防止」と「取締り」の両方の面から対策を講じていく必要があるというふうに考えております。まず「被害防止」については、先ほど申し上げたような架空料金請求詐欺の手口が目立っているということでございますので、これに関する注意喚起を行っております。電子マネーを販売するコンビニエンスストア等での声掛けですとか、電子マネーの発行事業者における対策の強化の働き掛けを今進めているところです。また、電話の1つのサービスとしてのナンバー・リクエスト等の普及ですとか、国際電話の着信ブロック等を普及させる、そういった犯人からの電話を直接受けないようにするための対策こうしたことについても事業者への働き掛けをしているところであります。
  また、「取締り」の方でありますが、今年の4月から、特殊詐欺連合捜査班、タイト、TAITと言うふうに略称を付けておりますが、これを全国の都道府県警察に構築をして、全国警察で一体となって特殊詐欺の捜査を進める体制の構築でありますとか、匿名・流動型犯罪グループに対する実態解明と戦略的な取締り、更には、外国当局との捜査共助等の推進による、海外拠点の積極的な摘発、こうした取組を総合的に進めていきたいというふうに考えております。