国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 令和6年3月7日(木)11:49~11:55

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。松村委員長が欠席のため、私が代理いたします。案件については、令和5年における交通事故の発生状況についてなどがございました。以上でございます。

問  長官にお伺いします。今お話ありましたが、令和5年における交通事故の発生状況がとりまとめられました。その中で携帯電話等の使用による死亡・重傷事故、近年増加していることが明らかになりましたが、それに対する国民への注意喚起をお願いできればと思います。また、自転車の関連事故について、現在、国会に道路交通法改正案が提出されていることを踏まえまして、今回の事故状況の受け止めと今後の対策について、長官のお考えをお伺いします。

答 (長官)まず携帯電話の関係でございますが、自動車の運転中に携帯電話等を使用したことによって発生をしました死亡・重傷事故の件数が、ここ3年連続で増加をしております。昨年令和5年中は122件で、統計を取り始めました平成19年以降で最多の数字となっております。
 この携帯電話を使用しながらの運転は、使用していない場合と比較して死亡事故に至る割合が4倍近く高くなっておりまして、非常に危険であります。
 そこで、国民の皆様へのお願いでありますが、携帯電話を持って通話しながらの運転、これは絶対にやめていただきたいということ、また、メッセージを打ったり、動画を視聴したりしながら、つまり携帯電話の画面をじっと見ながらの運転、これも絶対にやめていただきたいというこの2点を国民の皆様に強くお願いをしたいと思います。
 次に、自転車の関係でありますが、自転車関連の死亡・重傷事故につきましては、特に、注意をする点として2点ここでは申し上げたいと思います。1つは対歩行者の死亡・重傷事故の割合が増加傾向にあるということ、もう一つは本来歩行者の安全が守られるべき歩道において多く発生しているということ、この2点であります。
 こうした情勢等を背景として、自転車の交通ルールの遵守を求める声が高まりを見せているところでありまして、これを受けて、先般、自転車の交通事故防止のための制度を盛り込んだ道路交通法改正案を国会に提出をしたところであります。
 私ども警察庁といたしましては、この法案の早期成立に向けて努力をしてまいります。それとともに自転車に関する効果的な交通安全教育や広報啓発、悪質・危険な交通違反の取締りなどの諸対策を引き続き強力に進めてまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。SNS型投資詐欺、それからロマンス詐欺について、被害額を初めてまとめたところです。昨年1年間で455億円ということで特殊詐欺を上回る非常に深刻な状況かと思いますが、今回のこのまとめで出てきた状況への受け止め、警察として捜査や対策をどのように進めていくかお考えをお願いします。

答 (長官)極めて深刻な事態であるというふうに思います。令和5年下半期におきまして、SNSを使った非対面型の投資詐欺、ロマンス詐欺の被害が急増しております。年間被害額は450億円以上に上っております。特殊詐欺の年間被害額が昨年は約441億円でございましたので、これをも上回っておりまして、1日当たりに換算いたしますと毎日1億2,000万円以上の金銭が騙し取られているというような極めて憂慮すべき状況にあるということであります。
 こうした事態を受けまして、私ども警察庁では、特殊詐欺対策、そして匿名・流動型犯罪グループ対策と一体的に対策を推進していくことが効果的であるというふうに考えまして、既に、都道府県警察に対して、捜査と抑止を含む総合的対策を一元的かつ強力に推進するように通達を発したところであります。
 昨年来、「警戒の空白を生じさせないための組織運営の指針」を定めた上で、これに基づく取組を進めているところでありますが、SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺が新たな警戒の空白とならないように、4月から運用を開始する特殊詐欺連合捜査班、略称タイト(TAIT)と呼んでおりますが、この活用も含めて各種対策を強力に進めてまいりたいと考えております。