国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和6年3月14日(木)11:25~11:32

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件につきましては、令和5年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等についてがございました。私からは以上でございます。

問  大臣にお尋ねします。令和5年のサイバー空間をめぐる脅威の情勢がとりまとめられました。クレジットカードの不正利用や、インターネットバンキングを悪用した不正送金が深刻な状況にあるほか、犯罪実行者募集の投稿対策も課題とされています。この受け止めと、警察への指導方針について大臣のお考えをお聞かせください。

答 (大臣)令和5年のサイバー空間をめぐる脅威の情勢については、お尋ねのとおり、インターネットバンキングに係る不正送金額が過去最多でございます。5,600件弱の件数もございまして、金額的にも87億円を超すような状況でございます。インターネット上では、違法情報や、いわゆる「闇バイト」の募集等、有害情報が氾濫するなど、状況は極めて深刻な情勢が続いていると承知をいたしております。
 クレジットカードの不正利用、インターネットバンキングに係る不正送金については、利用者が被害にあわないための各省庁との連携の強化を図ることによる環境整備や警察の対処能力向上を推進してまいりたいと考えております。
 また、違法・有害情報対策といたしましては、令和5年9月にインターネットホットラインセンター等の取扱情報に犯罪実行者募集情報を追加をいたしました。引き続き、サイト管理者等への削除依頼等の対策を強力に推進してまいりたいと考えております。
 さらに、令和6年度予算案、現在審議中でございますが、この中におきまして、サイバー特別捜査隊をサイバー特別捜査部に昇格させる組織改正要求等を盛り込んでいるところでもございまして、今後とも、サイバー空間の安全・安心を確保すべく、サイバー部局の強化、また、こういったところでのサイバー空間への対処ということについて、警察を指導してまいりたいと考えております。

問  長官にお尋ねします。昨年の少年非行と子供の性被害の状況がまとまったところですが、去年、刑法改正などもあった影響も出ているかと思いますが、SNSをきっかけにした被害依然として多く深刻な状況かと思います。今回の状況への受け止め、警察としての取組についてのお考えをお願いします。

答 (長官)令和5年中の子供の性被害の状況でありますが、依然として憂慮すべき状況であるというふうに認識をしております。ここでは特徴を二つほど挙げたいと思います。
 一つは、子供を被害者とする不同意性交等罪の検挙件数が、前年比で約1.5倍と大幅に増加をしたことであります。
 いろいろ要因はあろうかと思いますが、今ご指摘がございました刑法の改正によって性交同意年齢が引き上げられましたことによる処罰範囲の拡大でありますとか、罰則の構成要件が明確化されたことが一つ影響していると思います。また、政府としても性犯罪の被害申告や相談のしやすい環境の整備を進めてまいりました。もちろん子供を被害者とする犯罪に対しても厳正な取締りを行ってまいりました。こうしたいろいろなことが影響しているのではないかと思います。
 二つ目の特徴でありますが、今お話がございましたがSNSに起因する事犯で被害に遭う小学生が、10年前と比べて5倍近くになっており、近年大幅に増加していることが挙げられると思います。この要因も色々あろうかと思いますが、特に、小学生へのスマートフォンの普及が非常に顕著になっているということが影響しているのではないかというふうに思います。
  子供に対する性犯罪・性暴力は、言うまでもないことでありますが、被害者の心身に有害な影響を及ぼすわけでありますし、人権を著しく侵害するものでもあります。決して許されないことは当然でありまして、私ども警察では、引き続き子供に対する性犯罪に対して厳正な取締りを進めるとともに、被害防止の対策として、SNS事業者団体等の関係機関・団体と連携しつつ、子供がインターネットを適正に利用するような環境づくり、こうしたことを総合的に取り組んで、子供の安全確保に努めていきたいというふうに考えております。