国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 令和6年3月28日(木)11:44~11:50

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。松村委員長欠席のため、私が代理をいたします。案件については、警戒の空白を生じさせないための組織運営についてなどがございました。以上です。

問  長官にお伺いします。令和5年における人身安全関連事案への警察の対応状況がとりまとめられました。ストーカーについては禁止命令等が最多になり、DV事案は相談件数が最多、児童虐待も通告児童数や検挙が最多という状況になりましたが、長官の受け止めと、今後の取組についてお伺いできればと思います。

答 (長官)DV、ストーカーなどの人身安全関連事案につきましては、今お話がございましたが、昨年中は、ストーカー規制法に基づく禁止命令等の件数が同法の施行以後最多となりました。このほかいくつかの指標で過去最多を記録しております。
 この要因としては、様々なものがあろうかと思います。一概に申し上げることは難しいと思いますが、いずれにしましても人身安全関連事案は、危険性やその切迫性を正確に把握することが難しいという状況がございます。事態が急展開して重大事件に発展するおそれが高いというものでございますので、引き続き、私ども警察としてはこの状況は注視すべき情勢にあると認識をしております。
 一方、児童虐待については、死亡児童数が減少傾向にあり過去最少となっております。引き続き、児童の安全確保を最優先に対応していく所存であります。
 また、ストーカー事案につきましては、今般、禁止命令等を受けた加害者全員を対象として、加害者本人の近況を確認するために連絡をしたり、あるいは医学的な治療の有用性を教示するといった新しい取組を全国で開始することとしております。こうした取組を総合的に組み合わせながら人身安全関連事案への的確な対応に引き続き努めてまいりたいというふうに考えております。

問  長官にお尋ねします。先ほど委員からございました「警戒の空白を生じさせないための組織運営」、昨年夏に指針を示して取組を進めてきたところ、今回、取組状況がまとまりましたが、これまでの取組状況をどう長官として評価されておられるか、今後どういった点を特に重点に取組を進めていくか考えをお願いします。

答 (長官)私が一昨年の夏に就任をして以来、安倍元総理銃撃事件の反省などを踏まえて、「全体最適」、そのための「リソースの再配分」をキーワードとして組織運営全般の在り方について検討を進めております。昨年7月には、「警戒の空白を生じさせないための組織運営の指針」を警察庁で策定をして、全国にそれを通達し改革を進めているところであります。
 今回、新年度を迎えるに当たりまして、全国の都道府県警察においてリソースの再配分を行いました結果、最重要課題と位置付けております、サイバー犯罪対策、匿名・流動型犯罪グループの取締り、更には要人警護、こうしたテーマに関して、定員ベースで総勢2,700人以上の体制の増強を図ったところであります。そういう意味で取組は確実に前進しているというふうに受け止めております。
 また、リソースの再配分の他にも、この通常国会に提出をいたしました道路交通法の一部改正案でありますとか、銃刀法の一部改正案、こうした制度改正も取組の一環であります。
 今後、増強しました体制を活用してそれぞれの治安対策を強化するということはもちろんであります。それとともに警察署や交番等の勤務体制の弾力的な運用、例えば、隣接する警察署に当直体制を集約する取組でありますとか、同じように隣接する交番をブロックで運用する取組等を進めるなどいたしまして、それぞれの地域に応じた治安情勢に的確に対応するようにしてまいりたいと考えております。
 令和5年下半期では、前にも公表いたしましたが、SNS型投資・ロマンス詐欺が急増をしております。このように治安情勢は時々刻々と変化をしていくものでございます。そうした中において、情勢を的確に捉えた上で、警察力全体の最適化を図るように引き続きこの取組を進めてまいりたいと考えております。