国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和6年4月11日(木)11:20~11:27

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について御報告を申し上げます。案件につきましては、「令和5年における生活経済事犯の検挙状況等」などにつきまして報告がございました。以上でございます。

問  大臣に質問させていただきます。冒頭にもありましたが、「令和5年における生活経済事犯の検挙状況等」についてまとまりました。幅広いトピックがあるかと思いますが、今回の特徴と今後の取組の方向性について、お話を伺えればと思います。

答 (大臣)まず令和5年における生活経済事犯の検挙状況の特徴といたしましては、全体として、前年と比べまして若干減少をいたしましたが、利殖勧誘事犯については、国際金融取引、例えばFXへの投資をうたったものや、ソーシャルメディアといった情報通信技術を悪用するものがみられまして、相談が増加傾向にございます。また、営業秘密侵害事犯につきましては、企業における人材の流動化を背景といたしまして、転職・独立時に営業秘密に関する情報を持ち出すなどの事犯がみられるなど、依然として検挙が高水準にあることなどが挙げられるかと思います。
 生活経済事犯につきましては、情報通信技術の発達や国際化の影響によりまして、その手口がますます複雑化、また巧妙化している状況にあると承知をいたしております。社会の変容に伴って生じる新たな犯行態様につきましても、迅速かつ的確な対処が求められます。関係機関と連携しつつ、適切に対処するよう、警察を指導してまいりたいと思っております。

問  長官にお尋ねします。岸田総理に向けて爆発物が投げ込まれた事件から、まもなく1年になります。その前の年に安倍元総理銃撃事件がありました。それを踏まえ、警察庁は警護の仕組みを改めて、体制を強化している中で、岸田総理の事件が起きたということです。その事件を踏まえまして新たな取組、例えば主催者側との連携の強化、更なる体制強化ということを打ち出して取組をしてきているところですが、これまでの取組の状況について、長官はどう御覧になっているか、今後どう進めていくか、お考えをお願いします。

答 (長官)今お話がございましたように、安倍元総理銃撃事件の後、警護を強化している中で、昨年の4月、未遂ではありましたけれども、岸田総理に対する爆発物使用襲撃事件の発生を許してしまったということについては、重く受け止めなければならない、改めてそういう思いでおります。
 この事件では、警察と演説会等の主催者との連携のあり方、それと、集まった聴衆の方々の安全の確保、この二つが新たな課題として浮き彫りになりました。
 まず主催者と警察との連携のあり方については、これまでのところ、私ども警察側の要請に沿って、警護対象者と聴衆の方々との間に適宜の間隔を空けていただいているというようなことでありますとか、手荷物検査・金属探知機による検査等の安全確保措置、これについても概ね実施をしていただいているという認識でおります。一方で、ケースによっては、会場の物理的な制約でありますとか、あるいは行事の性格、内容等によっては、主催者側の意向を踏まえて、警察側で警護員の増強配置をするといったような補完措置を講じた上で、安全確保を行っているというようなこともございます。
 もう一つのテーマである聴衆の安全の確保につきましては、主催者の方々に責任意識を持っていただけるように働き掛けを今も継続しているところであります。主催者と警察が合同で聴衆の避難誘導訓練を実施するといった取組を行っているケースもございます。
 警護中の要人に対する襲撃を許すというようなことは、二度とあってはなりません。警護については、一つ一つの事例から得られる教訓を踏まえて、不断の見直しをしていく必要があると思います。
 特に、主催者をはじめとする国民の皆様の理解と協力をいかに確保するか。もう一つは実践的訓練と先端技術を利用した資機材の活用等を通じた警護の高度化をいかに図っていくか。この二つの点を中心に、今後対策を更に強化していきたいと考えております。
 警察庁では、令和4年8月の新警護要則の施行以後、警護計画案の審査をこれまで約5,600件実施してまいりました。こういった事例の積み重ねも踏まえつつ、そして今後実施される各種選挙も見据えて、警護の万全を図ってまいりたいと考えております。