国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 令和6年5月9日(木)11:20~11:26

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件につきましては、国会の状況等の報告がございました。私からは以上でございます。

問  大臣にお伺いします。昨年4月に、自転車の乗車時のヘルメット着用の努力義務化がありまして、1年が過ぎたわけですが、東京ですとか大阪あたりの地域によっては、着用率が伸び悩んでいるという現状があるということで、この原因と今後の対策について、大臣のお考えがあればよろしくお願いいたします。

答 (大臣)御発言がありましたように、昨年の4月から、改正道交法によりまして、自転車の乗車中のヘルメットの着用が努力義務となったところでございますが、警察庁でこの間、サンプル調査を行いまして、着用率はだいたい全国平均で10%程度にとどまっているとの報告を受けております。御指摘のように、残念ながら、まだまだ定着していない状況にあると認識をいたしております。
 しかしながら、着用率が約60%と高くなっている県もございまして、愛媛県でございますが、昨年中の自転車乗車中に頭部に致命傷を負った死者も1人と少なくなっていると報告を受けております。この亡くなられた方はヘルメット未着用であられたそうでございますが、言うまでもなく、ヘルメット着用の重要性は明らかであると思っております。
 愛媛県の取組でございますが、愛媛県におかれては、ヘルメット着用率を向上させるために、平成25年に条例の制定や高校生の自転車通学時のヘルメットの着用、こういった取組を以前から継続的に行われてきたものと伺っております。こうした好事例を紹介しつつ、関係機関、団体と連携した継続的な取組を続けることが極めて重要であると認識をしているところでございます。
 今後とも、関係機関等との連携を強化することは言うまでもなく、あらゆる機会を捉えましてヘルメット着用の重要性を周知いたしまして、着用を働き掛けるための取組を強化するよう、警察を指導してまいりたいと思っております。
 私からも、御自分の大切な命、身体を守っていただきたいと思っておりますし、そのためにヘルメットの着用、未着用では結果が全然違いますので、そういったことをお伝えしていきたいと思っております。

問  長官にお尋ねします。太陽光発電所の銅製ケーブルの盗難事犯が各地で相次いでいます。一部の県では、売買時の身分確認の義務付けといった内容の条例制定の動きもあるところです。他の県で売ることもできるわけですし、広域的な取組が求められていると思います。この種の事件について警察はどのように分析し、受け止めているか、どのような対策を進めていくか、お考えをお願いします。

答 (長官)今お尋ねがございました太陽光発電施設における銅線盗、これを含めて金属盗全般の認知件数が最近大変増加をしているという状況であります。一昨年には全国で1万件程度の認知件数でありましたが、昨年は1万6千件を超えている状況であります。
 都道府県別に見ますと、昨年の認知件数は、茨城県が最も多くて3千件程度、続いて千葉、栃木、群馬、埼玉、これらがいずれも千件以上となっておりまして、北関東を中心に被害が広がっている状況にございます。
 太陽光発電施設からの銅線盗については、いくつか検挙事例がありますが、その事例を見ますと、外国人のグループが複数の県で犯行を重ねて、被害品をまとめて買取業者に売却をしている、こういった実態が見られます。こういう手口は、ドラッグストアや衣料品店で大量の万引きが今も多く発生しておりますし、あるいは自動車盗、これも依然として減らない状況でありますが、これらに共通した犯人像、手口であると見ております。
 こうした外国人等によって組織的に敢行される窃盗事件、これが不法滞在外国人の収入源になっているということが窺われるところでありまして、治安上も大きな課題であると考えております。
 こうした事案については、これまでも捜査・抑止の両面で対策をとってきたところでありますが、この度、警察庁内に審議官を長とするワーキンググループを設置いたしました。部門の垣根を取り払った上で、制度面も含めて取組の検討を進めることとしております。都道府県警察に対しても、関係部門が連携して対策を強化するように指示をする予定にしております。
 こうした事案が新たな警戒の空白とならないように、関係省庁とも連携をした上で対策を推進してまいる所存であります。