国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 令和6年6月6日(木)11:29~11:37

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。松村委員長が欠席のため、私が代理をいたします。案件については、「第8回日越治安当局次官級協議の開催結果について」などがございました。以上です。 

問  長官にお尋ねします。ただ今ございました日越治安当局次官級協議が先週行われまして、両国間にはいろいろ治安対策、犯罪対策の問題の課題があるわけですが、今回の協議の結果も踏まえまして、両国間の連携をどのように更に進めていくか、国際連携、国際協力のあり方全体への考え方も含めましてお願いします。

答 (長官)組織的な詐欺等の国境を越える犯罪が多発をしております。そうした中で、私ども警察では、外国捜査機関等との間で、海外拠点の摘発や、被疑者の引渡しに係る捜査協力等について協議を進めるなど、国際捜査連携の強化に努めているところであります。
   特に、特殊詐欺グループの海外拠点が多く所在しております東南アジア諸国につきましては、昨年以降、これまで6か国の捜査機関と20回を超える対面での協議を行っております。そうした結果もあり、昨年中は、ベトナムを含む海外拠点8箇所が摘発をされました。また、我が国に送還された特殊詐欺事件被疑者を69名検挙したところであります。
 こうした中で、8回目となる今回の日本・ベトナム治安当局次官級協議を開催したわけであります。国境を越える組織的詐欺の取締りはもちろんでありますが、それに加えて、来日ベトナム人犯罪対策、あるいは、マンガ海賊版サイト対策等について協議を行い、今後更に連携を深めていくことでベトナム側と一致をしたところであります。
 特に、今お話もございましたが、来日外国人犯罪に占めるベトナム人による犯罪の割合が最も多くなっているという状況も踏まえつつ、協議を行ったところであります。今後とも、日越間で緊密に連携をして、これら諸課題に的確に対処してまいる所存であります。

問  長官にお伺いいたします。先月、ペーパーカンパニーを使ってマネー・ローンダリングを行ったとして、13名の被疑者を大阪府警が逮捕した事件について、長官の受け止めと、この種のマネー・ローンダリング対策についてお考えをお聞かせください。

答 (長官)今お尋ねのございました事件は、約500法人のペーパーカンパニーの名義で、約4,000に上る法人口座を開設した上で、マルチ商法や投資詐欺等の犯罪収益を収受、隠匿していたという容疑であります。大阪府警においては組織的犯罪処罰法違反等の容疑で被疑者13名を逮捕しております。
 この被疑者らは、SNS等で法人代表者となる者を募集して、これらの者にペーパーカンパニーの設立や法人口座の開設をさせていたものでありまして、匿名・流動型犯罪グループの典型的な手口であるとみております。
 今般、大阪府警におきましては、更なる犯罪被害を防止するなどの観点から、被疑者らが管理している法人口座について、関係の金融機関に対して口座凍結の要請を開始したと報告を受けております。
 今後、私ども警察といたしましては、法人口座の不正譲渡の取締りを強化していきたいということと、関係省庁と連携しつつ、その法人口座の開設時等における実質的支配者等の確認の徹底や、犯行に利用された口座の凍結等の不正利用防止対策を推進していきたいと考えております。さらに、実態のない法人がマネー・ローンダリング等の目的で悪用されることを防ぐためのより効果的な方策についても検討を進めてまいりたいと考えております。

問  鹿児島県警の前の生活安全部長が情報漏えい容疑で逮捕された事件で、昨日開かれた勾留理由開示請求の手続の中で、元生安部長が、県警職員が行った犯罪について本部長が隠蔽しようとしたことが許せなかったなどと報道がありますが、この件を含めてこの事件に関する長官の所見をお願いします。

答 (長官)今お尋ねのございました事件は、鹿児島県警察の前生活安全部長が、同県警の他の部長の氏名、住所、電話番号等を問い合わせ先等と記載した上で、公表を望んでいないストーカー規制法違反事件の被害女性の実名等を第三者に漏らしたという、国家公務員法違反事件であります。
 昨日裁判所で行われました勾留理由開示の手続の中で、今お話のございましたような主張がなされたと承知をしておりますが、そこで述べられました2つの事案につきましては、鹿児島県警において被疑者を逮捕するなど、いずれも必要な対応がとられていたとの報告を受けております。いずれにしても、これら被疑者の主張については、本件捜査の中で必要な確認が行われていくものと考えております。
 この元生活安全部長、警察職員の模範となるべき立場にあった者が逮捕されたということは、極めて遺憾であります。引き続き、鹿児島県警において、事件の全容解明に向けた捜査を推進していくものと思います。
 また、鹿児島県警において、職員の非違事案が続いていることは、警察庁としても重く受け止めております。今後、警察庁におきましても、鹿児島県警察における捜査・調査の結果を踏まえつつ、鹿児島県警察に対して、必要な監察を実施するなどしてまいりたいと考えております。