国家公安委員会委員長記者会見要旨
1 日時 令和6年7月11日(木)11:45~11:52
2 場所 警察庁第4会議室
3 概要 本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。案件につきましては、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反事件被疑者の逮捕につきまして」、こういう案件等がございました。私からは以上でございます。
問 大臣にお伺いします。今年の5月に靖国神社の石柱が落書きされた事件で、今週の火曜日の9日に、日本滞在中の中国籍の男が器物損壊容疑等で逮捕されました。共犯の被疑者2人というのは既に出国しているということですが、この事件についての受け止めと警察の今後の対応についてお聞かせください。
答 (大臣)まず、お尋ねの件につきましては、令和6年5月31日に靖国神社の石柱に赤色の塗料で落書きをした器物損壊罪及び礼拝所不敬罪の容疑で、警視庁が一昨日、9日でありますが、中国人の男1名を逮捕したものでございます。
御指摘の既に中国へ出国をした中国人の男2名についても、警視庁において逮捕状の発付を得て、指名手配を実施したものだと承知をいたしております。
引き続き、本件事案の全容解明に向けて、関係機関と連携をし、捜査を推進するものと承知をいたしております。
問 長官にお尋ねします。ただ今大臣からありました不正アクセス禁止法に絡む事件ですが、一昨日、警察庁のサイバー特捜部、それから警視庁等の合同捜査本部が、いわゆるインターネットバンキング不正送金に絡んで逮捕したところです。今回の事件、指示役・リーダー役ということです。今回の事件についての受け止め、それから、こうした事案への対応についてのお考えをお願いします。
答 (長官)今お尋ねのございました事件は、全国で少なくとも20件、1億2千万円以上の被害を確認しているインターネットバンキング不正送金事件の一環として行われたものであると報告を受けております。4月に発足をいたしました警察庁のサイバー特別捜査部において、逮捕状の発付を得て被疑者を逮捕した初の事件ということになります。
この事件については、これまで警視庁等を中心に進めてまいりました。2年以上にわたる長期の捜査を通じて様々な情報が得られました。それをサイバー特捜部において集約・分析をした上で、一連の事件が同一の犯人の指示の下で行われていたことを突き止めたということであります。さらに、犯罪収益である暗号資産がミキシングと呼ばれる手口等によって追跡が困難にされている状態の中で、サイバー特捜部の高度な技術によって追跡に成功して、今回の被疑者を特定したという経緯をたどっております。
今申し上げたような、複雑なサイバー事案の解明には、国と都道府県のリソースを効果的に組み合わせることが重要であると考えております。サイバー特捜部がこれまで、国際捜査と国内捜査の結節点として機能してまいりましたが、今回のように、国内サイバー捜査のハブとしての機能を発揮できることが重要であると思います。さらに技術力を高めて、デジタル社会の安心・安全の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
問 長官にお伺いいたします。警察庁では、クローズド環境において生成AIを業務に利用するため、システムの構築・検証を行っていく方針であると承知しております。このような取組を行うに至った経緯を含め、今後期待することなど、長官の御所感をお聞かせください。
答 (長官)言うまでもないことでありますが、先端技術の積極的な導入が警察業務の合理化・高度化を図る上で、非常に重要な課題であると考えております。中でも、今お尋ねのございました生成AIは、業務の合理化・高度化に資する先端技術として近年急速に発展を遂げているところでありますが、一般的にはインターネット上のオープンなクラウドサービスとして提供されているということでありますので、そのままでは機微な情報を入力できないといった、警察業務で十分な活用を図る上で困難な課題があると考えてまいりました。
そこで今回の調査研究事業におきましては、警察庁にクローズドで生成AIを利用できる環境を構築して、実際の業務にそれを試行的に活用することによって、合理化・高度化の効果を検証しようとするものであります。
当面は、例えばですが、法令案や国会答弁資料の作成をサポートさせることによって、法制執務や国会対応を効率化するということ。あるいは、外国語への翻訳をサポートさせたり、外国語チャットボットを活用して職員の語学力を向上させたりすることによって、外国機関とのやりとりを効率化するようなこと。さらには、プログラムコードの生成やエラーチェック等をさせることによって、システムの開発や改善を効率化するようなことなどを考えておりますが、これ以外にも幅広く活用の可能性を模索することによりまして、警察業務における生成AIの活用を推進してまいりたいと考えております。